All Chapters of 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Chapter 1641 - Chapter 1650

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第1641話

「僕は姫華さんがわがままで横柄で、気性が荒い人だとは思いません。誰だって怒ることはあるでしょう?仏のほうに怒ることなく穏やかにいられる人なんてこの世にいませんよ。もし姫華さんがおば様の言うような性格だったとしても、僕は怒ることはないですし、どんな相手だって受け入れることができますから、姫華さんのようなタイプには相応しいと思いますよ」その言葉に詩乃は言葉を失ってしまった。確かに善は穏やかな性格の持ち主だ。人を受け入れる寛容さもある。「おば様、僕が星城出身でない以外に、何か不満なところがあるでしょうか?教えてくださればそこを変えてみせます」詩乃がはっきりと言ってきたので、善のほうも同じくはっきりと返した。「あなたはどこをとっても非常に優秀ですよ。姫華のことを追いかけるようになる前はとても高く評価していました。言ったと思いますけど、うちは娘は一人しかいないので、遠くにお嫁に出すことはできないのです。あなたと姫華は淡い恋心を抱き始めた段階でしょうから、その気持ちを断ち切るには間に合います。お互いに傷つけあうことがないうちにね」「僕は長期にわたって星城で仕事をし、ここで暮らしています。友人もほとんどが星城にいますし、新しく買った家だって神崎家の隣です。おば様、僕の戸籍が星城ではないだけで、他は星城で暮らす人たちと何も変わりないと思います。姫華さんのためなら、僕だって住民票を星城に移してもいいんです」この時、詩乃は黙っていた。姫華は当初、理仁のことが好きすぎて誰の言うことも聞かなかった。実際その性格は母親譲りなのだ。詩乃は物事によっては、誰かに説得されても、何を言われようとも、まさに今のように自分の意見を貫き通す。いくら善が行動を起こしても、どれだけ誓っても、彼女は娘が彼と結婚するのは認めなかった。「ピコンッ」この時善のLINEに新しいメッセージが届いた。彼は携帯を取り出して、そのメッセージを見た。それは姫華が母親に何か言われてないか心配するメッセージだった。もしそうであったら、自分に免じて母親のことは恨まないでほしいというのだ。善は穏やかで優しい表情をしていた。彼はすでに詩乃のことを義母として見ているのだから、恨むわけがないだろう?ただ、彼はまだ未来の義母を安心させるまで行動で示せていないから、詩
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第1642話

良い印象がある時には、人の欠点でも良く見えて、悪い印象の時には全てが長所だとしても悪く見えてしまうものだ。「神崎さん、こんばんは」一颯は笑顔で姫華に挨拶を返した。そして彼は姫華の後ろを見てみたが、神崎夫人の姿はなかった。今回は神崎夫人が食事に誘ってきたので、彼女がいると思っていたのだ。一颯が通りすがりに詩乃が地面に座っているのを見て、どうしたのか車を止めて聞いたのがきっかけで、彼女を家まで送ってあげた。それは彼にとっては大したことではないのだから、ここまで気を使う必要はないのにと思っていた。しかし、詩乃のほうは彼のことをまるで命の恩人であるかのように感謝感激してくるものだから、一颯はかなり気後れしていた。姫華も何度も電話をかけてきて、お礼に食事に誘いたいと言ってきた。それを彼はやんわりと断わっていたのだ。詩乃にしつこく食事に誘われるものだから、これ以上誘ってこられないように、一度食事をすることに決めて、今日ここへ現れたわけだ。一度お礼として受け取っておけば、今後はもうしつこく誘ってくることはないだろうと考えたのだった。「母なら竹の間で白鳥さんをお待ちしていますよ」すると姫華が説明した。それを聞いた一颯はホッと安心した。姫華と二人きりで食事をするわけでないのであれば問題ない。一颯は今姫華はかなり変わったと思っていたが、それでも彼女と二人きりで食事はしたくなかった。もし、芸能記者に撮られてしまい、ゴシップニュースに上がると面倒だ。彼は星城では非常に気を使う身分なのだ。彼は結城家の現女主人である麗華の甥であり、結城理仁の従弟にあたる。もし、ゴシップニュースに現れれば、あっという間に注目の的になってしまう。白鳥家は昔から目立たないように暮らしてきた。一颯はそんな白鳥一族の中でネットで注目を浴びる最初の人間になどなりたくなかった。「白鳥さん、こちらへどうぞ」姫華は一颯をホテルの中へ案内した。一颯は控えめに頷いて姫華と一緒にホテルの中へ入って行った。そして二人はすぐに竹の間に到着し、姫華がドアを開けて先に一颯を通した。中に入ってみると、そこには詩乃と善もいたので、一颯はまた胸をなでおろした。「神崎夫人、それから桐生さんも、こんばんは」一颯はまず二人に挨拶した。善は立ち上がり彼を迎
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第1643話

一颯はちらりと姫華に目を向けてから笑って言った。「神崎お嬢様のスープはきっととても美味しいでしょうね。ただ、私は普段あまりスープは飲まないんです」姫華は一颯の従兄である理仁を追いかけ回していた頃、何度もスープを作っては届けていた。そのことを一颯は知っているのだ。詩乃は笑顔のまま言った。「一颯さんも姫華の作ったスープを飲んだことがないでしょう。一度味わったら、毎日でも飲みたくなるくらい気に入りますわよ。というわけで、今度はうちに食事に来てくれるということで」一颯は笑った。「もし時間があれば、是非お邪魔します」それを聞いてようやく詩乃は満足し、姫華に言って注文させた。姫華は店員を呼んでメニューを持って来てもらい、それを一颯に渡した。「白鳥さん、食べたいものを注文してくださいね」一颯は笑って言った。「ここは神崎家の経営するホテルですから、どんな料理も絶品でしょう。神崎さんはよくご存じでしょうから、あなたが注文してください。私はスープはあまり飲まないだけで、特に好き嫌いはありませんから」実は一颯はスープが好きだ。そんな彼がさっきスープはあまり飲まないと言ったのは、詩乃が本当に姫華にスープを作らせると思ったからだ。そう言っておくしかなかった。「では、適当にいくつか注文しますね」姫華は自家ホテルのお勧め料理と、もちろんスープも注文した。食事中、詩乃はずっと一颯にこれもあれも美味しいと料理を皿に取ってあげて、熱烈にアピールし続けていた。彼の隣に座っている善には一度も話しかけることなく、完全に対照的だった。善は性格もいいし、忍耐強い。詩乃からわざとこのような扱いをされて自ら退室させようとしているのは明らかだ。しかし、やっと好きな女の子ができたというのに、これくらいのことで退室してしまうわけがないだろう?一颯は見たところ姫華のことをなんとも思っていないが、たとえいつか彼が姫華のことを好きになったとしても、善も一颯に勝つ自信はあった。姫華の心に善がいる限り、いかなる困難も乗り越えられるのだから。今回はなんとも居心地の悪い食事会になった。食事の後、一颯は適当に処理しなければならない用事があると嘘をついて帰ると言った。「姫華、白鳥さんをお送りしてちょうだい」これは命令だ。すると一颯が急いでこう言った。「私は
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第1644話

一颯の車が見えなくなり、二人がホテルへ戻ろうとしたところに、詩乃が中から出てきた。「おば様」そこへ善が声をかけた。詩乃は会釈し返事とした。その後、姫華に向かって言った。「姫華、お母さんにちょっと付き合ってちょうだい。しばらく夜の街に出ていなかったから」姫華は善のほうを見た。善は空気を読んでこう言った。「おば様、姫華さん、僕はちょっと用があるので、ここで失礼します」姫華は申し訳なさそうに小声で言った。「善君、お母さんが言うこと、することを気にしないでね」それに善は落ち着いた眼差しで応えた。彼は度量の大きい男だ。未来の義理の母親からいくらひどい扱いをされても、全くそれを気にすることはなかった。詩乃は自分の車のほうへ歩いていき、姫華はおとなしく母親の後ろについて行った。母娘は同じ車に乗り、姫華の車はホテルの駐車場に置いてあった。車に乗ると、詩乃は娘の額を突っついて言った。「お母さんは何度も言ったでしょ。桐生さんとは距離を取るようにって。あの男は賢いキツネよ。あなた、彼の罠にはまってるってことわからないの?彼に騙されたとしても、良くしてくれてるなんて思うでしょうね。彼はあなたに相応しくないんだから。完全に好きになってしまう前に、さっさと彼と関係を断ち切ってしまいなさい」それに対し、姫華は不機嫌そうに大きな声を出した。「お母さん、私この年になるまでに二人の男性を好きなったけど、どちらも気に入らないのよね。前は結城さんのことが好きで、その時だって私には合わないって言ってた。結城家と神崎家はライバルだから、合わないって。私が結城さんを好きなのは自分を苦しめてるだけってね。ええ、結城さんと唯花が結婚して私は諦めたわ。その後やっと善君と仲良くなったのよ。彼と一緒にいると素の自分でいられるの。彼がいくら狡賢い人だったとしても、私に対しては真心で接してくれれば問題ないのよ。お母さんがそうやって反対するなら、善君に彼女になるって伝えるわ。そして周りにも隠さず彼と付き合うからね!」この時、姫華は本当に鬱憤が溜まっていた。自分の目に狂いはないと思っている。結城理仁にしろ桐生善にしろ、どちらも優秀で素晴らしい男性だ。しかし、彼女が理仁のことを好きな時、家族中から反対されていた。そして、今度は善を好きになると、またまた
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第1645話

「たとえば善君と結婚して向こうの家族からひどいことされても、お母さんもお兄ちゃんも何もしてくれないっていうわけ?」姫華は詩乃に聞き返した。「それに私は簡単に誰かにいじめられるようなタイプじゃないわよ。逆にこっちがいじめる側でしょ」詩乃は言葉を詰まらせてから言った。「あなたは星城であれば大きな顔してても誰もあなたに突っかかってはいかないわよ。それは、神崎グループが後ろに大きな山のように構えているからなの。あなたのお兄さんが後ろ盾になってくれて、すべて解決してくれているからよ。もし桐生さんと結婚することになったら、あなたはA市で生活することになるわ。遠くにお嫁に行ってしまったら、うちからこんなに距離があるのに、誰があなたを大事にして頼りになってくれるっていうの?」姫華は理路整然と話した。「善君は星城で仕事をしてて、長期間ここで生活するのよ。私が彼と一緒になっても、ずっとここで暮らすわ。A市に帰るとしても、それはお正月とか行事のある時にだけ、ご家族と一緒にいるくらいよ。何かトラブルになることだってある?それに桐生家がどのような一族かはお母さんだってよくわかっているはずよ。桐生家の年配者世代はみんな今っぽい考え方を持っているんだから、嫁に嫌がらせするようなことは絶対にないわ」詩乃が口を開いた。「桐生家に嫁いだお嫁さんたちはどの方も手に負えるようなタイプではないでしょ?それぞれに強力な後ろ盾がついているんだから」蒼真の妻は望鷹の篠崎家の令嬢であり、次男の桐生旭(きりゅう あさひ)の妻も有名一族のご令嬢だ。そして弘毅の妻はもし何かトラブルでもなければあの名医の弟子にあたる酒見医師である。どの女性も手強い相手だ。「私には頼りになる家族はいないっていうわけ?私が結婚して遠くにいけば、神崎家は私の後ろ盾にはなってくれないっていうのね?私が実家に帰ってきても、家に入れてくれないんだ」詩乃は娘に言い返されて言葉を失ってしまっていた。それに怒りで卒倒しそうなくらいだった。「桐生家のような由緒正しいお家柄でも、お母さんが安心して私を結婚させようとしないのなら、じゃあ、やっぱり一生独身でお母さんの隣にいた方がいいわ。そして今後は三十歳になるのにまだ結婚しないだとか私の目の前で文句を言わないでよね」詩乃は黙っていた。「この子ったら、あなたを手放
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第1646話

ただ、たまに両親が姫華のためを思ってやってくれていることは、必ずしも彼女が望んでいることではなかった。母親が何も言わないので、姫華は車から降りるしかなかった。彼女が降りると、詩乃はまた車を出すように運転手に命令した。この状況に運転手は少し呆然としてしまい、後ろを振り返って詩乃に向かって言った。「奥様、お嬢様は……」「足があるんだから、自分で帰ることくらいできるわ」詩乃は淡々とした口調で言った。「またあの子を車に乗せたら、絶対に大喧嘩するに決まってる」彼女は娘を降ろして、互いに冷静になりたかったのだ。娘が家に帰れないと心配することはなかった。運転手は仕方なく、また車を走らせるしかなかった。姫華は道の端で遠ざかる母親の車がすぐに他の車の流れに合流するのを見つめていた。「本気で私を道端に捨てて行ったわ」姫華はなんとも複雑な心情で、少し悲しく思っていた。彼女はまたホテルまで戻って車を運転するのは面倒だと思い、タクシーを拾って唯花の家の住所を伝えた。唯花にこの辛さを吐き出しに行くのだ。ちょうど姫華が到着した時、一颯も理仁の家に来ていた。従兄弟同士仲が良いのだが、一颯はあまり理仁と一緒にいることはなかった。誰かに理仁の身分にあやかって、美味い汁でも吸おうとしているなどと噂されたくないからだ。理仁と唯花の二人もさっき食事を終わらせたばかりで、庭で手を繋ぎぶらぶらと散歩していた。そして一颯が来ると、夫婦は家に戻っていった。一颯にお茶を出したところで、執事が入ってきて唯花に伝えた。「若奥様、神崎家のお嬢様がいらっしゃっています。彼女はタクシーで来られたようで」唯花は少し意外そうに瞳を揺らした。「姫華、自分の車はどうしたのかしら」何か思いついたらしく、彼女は急いで立ち上がると、すぐに外に向かいながら言った。「何かあったんじゃないでしょうね」例えば交通事故とか。唯花はそれを真っ先に想像した。交通事故にでも遭わなければ、姫華はタクシーでここまで来ないだろう。一颯は姫華が来たと聞くと、ソワソワし始めた。唯花について一緒に外へ行こうと思っていた理仁は、そんな従弟の不自然な変化に気づいた。そして理仁は一緒についていくのをやめ、心配そうに一颯に尋ねた。「一颯、大丈夫か?このソファは豪華すぎただろうか、なんだ
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第1647話

一颯の話を聞いて、理仁は真顔になり従弟をからかうのはやめ、真面目な表情で彼を見つめて言った。「一颯、まさか本気で神崎嬢のことを好きになったんじゃないだろうな?」「そんなわけないよ」一颯は急いで否定した。「今夜神崎夫人の企みに気づいたばかりなんだ。何度か道端で夫人が困っていて家まで送り届けたのは、彼女の策略だったんじゃないかって疑ってるんだ」一颯は馬鹿な男ではない。詩乃の意図に気づいてから、思い返してみると、神崎夫人に出会ったのも、きっと彼女の計略のうちだったのだろうと思い始めていた。詩乃は夫との仲がとても良く、夫婦は引退してからというもの、詩乃がどこへ行くにも夫がついて来ていた。詩乃が散歩をしていたのに、夫は一緒にいなかった。それに足を捻挫したときにはちょうど携帯を持っていないなんて、そんな偶然があるだろうか?「理仁、神崎さんは以前君のことが好きで堂々と追いかけていただろう。俺は絶対彼女と一緒になることなんてないよ、だってなんだか……よくない気がするからさ」理仁は言った。「それは重要じゃないぞ。彼女は俺のことが好きだったが、俺は彼女とは何もなかったからな。俺が既婚者だと知ってからは二度と付き纏ってくることもなかった。恋愛にはきちんとした考えを持っているようだな。今重要なことは、彼女が好きな人は桐生善君だってことだよ。桐生家の五番目の坊ちゃんさ。二人はまだ正式に付き合ってはいないが、誰が見てもすぐにわかるよ。神崎嬢と桐生さんはとても気が合うみたいだし、二人は自分の感情をそうそう手放したりしないタイプだ。その間に割って入ろうとすれば、自分のほうが傷つくに決まってる」理仁は一颯が姫華に合わないとは思っていない。一颯が姫華を好きになることにも反対などしない。ただそれは姫華が誰か好きな人がいない場合だ。今彼女には好きな人ができたのだから、理仁も従弟が彼女と一緒になるのは応援できない。理仁は以前、姫華が自分のことを好きで負った心の傷が、今度従弟に及び、同じ目に遭わせたくはなかった。「理仁、俺は別に彼女のことが好きだなんて言ってないよ。桐生さんと神崎さんが一緒にいるのは俺も見たんだ。それに彼がいてくれてよかったよ。じゃなきゃ、今夜の食事会は本当に気まずさの塊でしかなかったはずだ」食事中、善がいたので彼と話すことができた。
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第1648話

姫華は理仁と一颯の二人に挨拶した。「神崎さん、どうも」一颯もいつも通りの様子に戻っていた。姫華は彼と目を合わせて、二人同時に心の中で本当に偶然すぎる!と叫んでいた。二人とも示し合わせたわけでもなく、同じくここへやって来た。「桐生さんは、神崎さんと一緒に来られなかったんですか?」と一颯は笑顔で姫華に尋ねた。姫華はそれに答えた。「彼はちょっと用事があるらしくて、ホテルで別れたんです。お兄さんの奥さんが出産するから、ここ数日はA市に帰るそうです」一颯はひとこと「そうですか」と返事した。すると唯花が口を開いた。「遥さんの出産予定日はまだなのに、こんなに早く生まれるの?」「善君はそう言っていたけど、私もよく知らないわ」「だけど、遥さんって双子を妊娠しているのよね。双子だと予定日よりも少し早めに出産するって聞いたことあるわ」遥がもうすぐ出産すると聞いて、唯花は少し羨ましそうにしていた。遥は本当に人生の勝ち組だ。唯花と遥のどちらも良家の若奥様という立場で、多くの人にとってみれば唯花も人生の勝ち組に当たるだろう。遥と比べてみると、唯花は自分はまだ足りていないように感じていた。そもそも唯花はまだ妊娠もしていないからだ。そして彼女の後に結婚した明凛までも妊娠しているのに、唯花にはまだその兆候すらない。しかし、結城家も夫である理仁も優しい。彼女に子供を生むプレッシャーをかけてこない。しかし、唯花は少しでも暇があったり、誰かがもうすぐ子供を生むだの、妊娠しただの聞いてしまうと、すぐに表情を暗くしてしまう。「理仁、そろそろ出産祝いを用意しておく必要があるんじゃない?遥さんが出産を終えて、お宮参りの時期になったら、お祝いに行くでしょ。赤ちゃんに初対面するお祝いを事前に準備しておかないと。私、遥さんと話している時に、絶対お祝いに行くって約束したのよ」その祝いにやって来る人は唯花を含めて大勢いるだろう。遥の友人たちもこぞってお祝いにやってくるはずだ。久保家の若奥様である優奈も必ず来るだろう。優奈も出産を控えているが、遥の出産祝いに来るのは問題ない。「新生児用のベビー服を何セットか買いましょう。あとはおばあちゃんに何を贈ったらいいか聞いてみようっと。お宮参りの頃、お祝いに行く準備をしておかなくっちゃ」理仁は落ち着いた
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第1649話

一颯は世間で噂されているような人ではない姫華を見て、あまり長居したくなくて、立ち上がり別れの挨拶をした。「理仁、奥さん、これで失礼します」「もう少しゆっくりしていかないんですか?夜食でも一緒にいかがです?」唯花は彼を引き留めた。一颯は笑って言った。「私はあまり夜食は食べないんです。一度食べたら長時間体を鍛えないと、スタイルを保てないですからね。私はまだ独身だから、見た目はやっぱり重要なので」唯花も笑った。「白鳥さんは理仁さんと同じで、スタイルをキープするために夜食を食べないって言うんですね」一颯がどうしても帰ると言うので、唯花もこれ以上引き留めることはせず、理仁が従弟を見送るのを見ていた。「唯花、ちょっとあなたの車を貸してよ。ここに泊まるのはやめとくから」姫華は来た時は思わずここに泊まって帰りたくないと言っていたが、冷静に考えてみると、お邪魔虫にならないように、やはり車を借りて自分の持ち家で数日過ごしたほうがいいと思った。「ここで一晩泊まっていけばいいのに」「遠慮しとく。結城さんは表では何も言わないでしょうけど、私がここに一晩泊まったら、彼は相当不機嫌になるに決まってるもの」この男の独占欲は半端ない。だから、姫華はなるべく余計なことはしないことにした。「あなたに対して不機嫌になるようなら、彼には書斎で一人で寝てもらうわ」姫華は笑って言った。「じゃ、それこそ私は帰らないとね。もし、そんなことさせちゃったら、一生彼から恨まれそうだもの」唯花も笑った。夫は俺様野郎なのだ。すると唯花は快くいくつも鍵がぶら下がったキーケースを持ってきて、それを姫華の前に置いた。「ガレージに何台も止まっているから、自分で選んでね」姫華はその中から適当に鍵を一本取って言った。「ただの足代わりだし、どれだっていいわ」この時、理仁は従弟を見送って戻ってきたところに、姫華のそのセリフが聞こえてきて、心の中で悪態をついていた。彼の車は適当に選んでも、どれも高級車ばかりだ。それは彼女は選ぶ必要などないだろう。もしもガレージに軽トラックでも止めていたら、彼女はそれを選ぶだろうか。そしてすぐ姫華は帰っていった。彼女が帰ってから、理仁は愛する妻を抱きしめて二階に上がり、彼らの部屋に戻ってから唯花が尋ねた。「姫華が来た時、白鳥さん
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第1650話

善はその翌日の午後のフライトでA市に帰った。彼が戻ってから二日後に遥は無事出産を終えた。男の子と女の子の双子だ。善は真っ先に姫華に電話してその喜びを分かち合った。初めて一族内に次の世代が生まれたわけじゃないが、彼にとっては少しだけ状況が違う。前は従兄弟が子供を生んで、今回は実の兄の子供が生まれたのだ。善から電話がかかってきた時、彼女はまだ自分の持ち家で過ごし、実家の神崎邸には戻っていなかった。詩乃は唯花を通じて娘が自分の家で暮らしていると知り、自分から彼女に連絡することはなかった。母娘とも互いに相手を納得させることはできず、ほぼ冷戦状態となっている。詩乃は自分は間違っていない、娘が物分かりが悪く、親不孝者で全く自分の意見を聞かないと思っていた。姫華のほうは母親は頑固で全く自分を曲げることがないと思っていた。善は結婚した後の問題も全て解消するために完璧にやっているのに、母親は彼がただ星城出身ではないというだけで、断固として意見を変えることはなかった。「生まれたの?」姫華は善から遥が出産を終えたと聞き、とても喜んですぐに善へお祝いの言葉を送った。「善君、おめでとう」「ありがとうございます。男の子と女の子の双子で、晴れて甥っ子と姪っ子が同時にできましたよ。うちの家族もみんな喜んでいます。特に兄ですね、思わず打ち上げ花火まで買って来ようとしたんですよ。でも、こんな住宅地で打ち上げ花火を上げるわけにはいきませんから」「男女の双子だなんて、ああ、とっても羨ましいわ!」姫華はそう叫ぶと笑って言った。「遥さんがすっごく羨ましいわ。一度に息子と娘が生まれたのよ。きっと赤ちゃんはとっても可愛いんでしょうね。写真はあるの?ちょっと何枚か送って」「赤ちゃんはまだ保育器の中なんです。ただ一回しか見ることができてません。今はまだ赤ちゃんはとても小さいんですよ。写真を撮ったら姫華さんに送りますね。母が赤ちゃんは毎日変わっていくと言っていました。時間が経つほどにもっと可愛くなるんでしょうね」二人の赤ん坊はまだ出産予定日よりも早く、双子であることもあり、出産時には2500キロ未満だった。それで今は保育器に入っているのだ。「本当におめでとう。羨ましいなぁ、うちのお義姉さんも男女の双子を生んだらいいのに。あ、ダメね、理紗さんは双子は妊娠してな
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