「僕も会社のことがあるから、どのみち帰らないといけないので」姫華の話を聞いて善は安心できたが、それでもやはり午後星城に帰ることに決めた。会社のことというのは理由の一つであり、最も重要なのは星城に戻って姫華の周りの守りを固めるためである。「じゃ、何時頃到着する?空港まで迎えに行こうか?」善は普段A市に戻る時にはほとんどの場合、プライベートジェットを使っている。ただ、それは今ちょうど兄弟が使用しているので、彼は飛行機に乗って帰るしかない。姫華が空港まで迎えに来ると聞いて、彼はすぐにプライベートジェットで帰る考えを捨ててしまった。そして「チケットを取ったら写メをそっちに送りますね」と姫華に伝えた。「わかったわ、夜一緒にご飯食べよ」善は喜びにあふれ「もちろんです」と返事した。「じゃ、電話切るわね」善は名残惜しそうに言った。「はい、体には気をつけてくださいね。あまり無理をしないように。何か手伝えることがあれば、いつでも何でも言ってください」「わかったわ、今のところ事業は順調に進んでるのよ」唯花から販売先は星城だけに限らず、他にも販路拡大をしなければならないと聞いた。それで二人は相談し合い、隣の市まで市場調査に行ってみる計画を立てた。他所の町で商売になる話がないか探ってみようというのだ。善は笑って言った。「あなた達にはビジネスの才能があるみたいですね。では、お仕事頑張ってください。夜またお会いしましょう」通話を終えると、善は携帯をズボンのポケットになおし、ニヤニヤと笑って振り返り入院病棟に戻ろうとしたところ、両親が中から出てきたのに気づき、二人のもとへ歩いていった。「父さん、母さん、これから帰るの?」「私たちは先に帰るわ。あなたはまだここでお兄さんたちに付き添っていてもいいよ。遥さんのお世話は必要ないからね。お兄さんが全部やっているから」善の母親である伊集院愛美(いじゅういん あいみ)はずっとニコニコと嬉しそうにしていた。長男夫婦は運良く双子で、しかもそれぞれ男の子と女の子を授かった。遥が双子を妊娠していると知った時から、遥の義理の母親である愛美は嬉しくていつもニコニコしていた。やっと孫娘ができた。毎日夫婦は病院まで長男の嫁と双子を見に来ていた。篠崎家の当主夫妻と雨宮家も毎日病院に何度も様子を見
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