夜になって、若子はシャワーを終えてベッドの上に寄りかかっていた。手元のスマホで、修とビデオ通話中だ。千景は今、バスルームでシャワー中。画面の中で暁の顔が映ると、若子は手を振って呼びかける。「暁、ママだよ、見えてる?」「ママ、ママ!」暁はカメラに向かって手を伸ばすけれど、当然何も触れられない。修が優しく息子の手を握る。「暁、ママはもうすぐ会いに来てくれるよ」「そうよ、暁。ママ、すぐに会いに行くからね。いつでも暁が一番大事な宝物だよ」若子は本当は、今すぐ画面の中に飛び込んで暁をぎゅっと抱きしめたかった。子どもと一緒にいられないのは、本当に辛い。でも、そばに千景がいてくれるから、なんとか平気でいられる。その時、千景がシャワーから戻ってきた。上半身裸のまま、ベッドの端に腰掛ける。その姿がそのまま画面に映り込んだ。修はその様子を見て、眉をひそめる。心の中では分かっている。若子が千景と同じベッドで眠っていることなんて当然だ。二人は今、恋人同士なのだから。だけど、こうして画面越しに、千景が半裸で若子の隣にいるのを見ると、どうしようもない痛みが胸を刺した。千景も、自分が画面に映ったことに気付き、少しだけ離れて座り直す。「若子、もう遅いから、暁と寝るよ。お前も早く休んで」「分かった、修。じゃあおやすみ」若子は画面越しに暁に手を振る。「暁、いい子で寝るのよ。また来週、ママが会いに行くから」画面越しにそっとキスを送って、修が通話を切った。若子は小さく息をつき、スマホを脇に置いた。やっぱり自分の子どもだ、気にかからないはずがない。母乳があまり出なくて、暁が生まれてからは、ほとんど粉ミルクで育ててきた。自分で授乳したのは、ほんの数回だけだった。「また子どものこと、考えてた?」千景が肩を抱いてくる。若子はうなずく。「うん。静かになると、どうしても暁のことを考えちゃう。そばにいないと、胸がぽっかり空いた感じがして......」そして、どうしようもなく寂しくなる。千景は若子をそっと引き寄せ、唇に軽くキスを落とす。「君は、暇になるとダメみたいだな。じゃあ、俺が忙しくしてあげないと」唇を重ねて、そっと若子のパジャマに手を伸ばす。「ちょ、ちょっと待って」顔が真っ赤になった若子は、慌てて千景の手を掴
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