彼の指導のもと、凛の効率もかなり向上した。午前中、2つの問題集を終わらせた。蒼成が彼女のテスト用紙を添削する際、驚いたことに正答率がなんと95%に達していることに気づいた。雨宮凛がもう3年卒業したと聞いたけど、最近また入試勉強し始めたらしい。思いがけないことに……これはすごい!大谷先生が彼女を重用するのも納得だ。凛は蒼成のそんな思いには気づかないまま、軽く挨拶をして席を立ち、トイレに向かった。その様子を見ていた晴香は、すぐに後を追った。「ちょっと待って」振り返った凛は、彼女の姿に特に驚く様子もなかった。「どうしたの?」「昨夜、彼におかゆを届けに別荘まで行ったの。すごく喜んでくれて、一口も残さず全部食べたわ」晴香は口元に微笑みを浮かべ、頬に小さなえくぼが浮かんだ。「それだけじゃないの。海斗さん、私を泊めてくれたのよ」「初めて知ったけど、彼ってあんなに荒々しくてセクシーな一面があるのね……一晩中、ほとんど眠れなかった」彼女の言葉は曖昧に含みを持たせながらも、意図的だった。下を向いた睫毛が軽く震え、その様子はまるで彼女がたっぷりと愛情を注がれたことを証明しているかのようだった。凛の胸に鋭い痛みが走り、呼吸が詰まるような感覚に襲われた。「羨ましい?」晴香は彼女の耳元に顔を寄せ、囁くように続けた。「後悔してる?でも残念ね、もうあなたにチャンスはないの」突然、凛の口元に冷たい笑みが浮かび上がった。彼女はじっと晴香を見つめ、一語一語を区切るように言った。「彼がそれをあなただけにしたなんて、誰が証明できるの?」その瞬間、晴香の顔がみるみる青ざめていく。凛は淡々とした表情でさらに続けた。「もしかして……あなたはその中の一人に過ぎないかもしれない。それに、最後の一人でもないでしょうね」そう言い切ると、晴香の表情がどれほど惨めでも、凛は一切気にすることなくすれ違いざまに去っていった。最後の問題を解き終えた蒼成は、ふと気づいた。隣の席がしばらく空いたままだったことに。彼は携帯を手に取り、メッセージを送ろうとしたが、そのとき人影が視界に入った。凛が戻ってきたのだ。振り返った蒼成は、凛の顔がひどく青ざめているのを見て、心配そうに声をかけた。「大丈夫か?どこか具合が悪いんじゃないのか?」凛は掌を強く握りしめ、
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