陽一は言う。「どうやって村に行く?」時也は言う。「もう三輪自動車を手配させた。あの村の道は、三輪自動車しか通れない」「どれくらい待つのか?」時也は時計を見てから言う。「あと……30分くらい」「わかった」……凛はメッセージを送り終え、スマホをしまい、振り向くと一の焦る視線とぶつかってしまう。「行こう、車を手配した。村の入り口で待ってる」タイミングが妙に良かった話だ。大山の次男は昨夜、依頼を受け取る気はなかった。だが今朝、夜も明けぬうちに、急に気が変わった。多額の報酬を払うから町で二人を迎え、しかもすぐに出発し急いで来るよう求められたようだ。そのまま行くより、凛たちを乗せた方が両方で儲かる。一は言う。「間に合わないから、早く……」しかし凛と早苗はポケットに手を突っ込み、その場に立ち、動く気配すらないのだ。一は疑問に思う。凛は言う。「私たちは行かないよ」早苗が相槌を打つ。「うんうん~」一は焦って言う。「昨夜約束したじゃないか!?」早苗は瞬きながら言う。「誰が約束したの?ずっと先輩とおじさんが話してただけで、私たちは何も約束してないよ」一は黙り込んでしまう。「聞いてくれ、ここにいるのは本当に危ないんだ!危険すぎる!壮太と壮二の二人は……狂犬みたいな奴だ!気が狂えば誰でも噛みつく、君たちは……」凛はその話を遮る。「一」「……何?」「私たちは、友達でしょ?」一は黙ったままだ。凛は詰め寄る。「はっきり言ってよ、友達なの?」「友達だからこそ、僕の家のことで、君たちを巻き込みたくないんだ!危険にさらしたくない!」耕介みたいな前例が目の前にあるから、一は本当に怖がっている!あの血の海、上村家の両親が古川家の兄弟に土下座する光景を思い出すだけで、今でも胸が締め付けられる。夜中に目が覚める時も、涙が出るほど後悔する。自分のせいで友達が傷ついて、それなのに自分は無力な役立たずで、何もできないのをもう見たくない。「頼む、頼むから、帰ってくれ!町で始発のバスに乗って、新幹線の駅に行けば、今日の午後には帝都に着ける」凛は言う。「あなたの気持ちはわかる。私たちのことを思っての行動だってことも。でも、私たちの気持ちは考えた?」「あなたの家の事情も知ったし、昨日あのチンピラたちとも
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