看護師は廃棄用具を抱え、処分室へと向かっていたが、中から激しい口論の声が聞こえた途端、驚いて足を止め、急いでその場を離れた。オフィス内には微かに血の生臭さが漂っていた。机の上に置かれた器具の中には、血まみれの肉塊のような組織が詰まっており、その異様な形状には目を背けたくなるほどのおぞましさがあった。いくつかの部位には明らかな感染の痕があり、見る間に変色していった。それは、明日香の体内から摘出された奇形の子宮だった。「最初に『挽回の余地がある』と言ったのは、お前を慰めるための方便に過ぎなかった」哲朗は無造作に器具を手に取り、それをゴミ箱に投げ捨てながら淡々と言った。「この形を見てみろ。とっくに感染が始まっていて、もはや正常な状態ではない。あのまま体内に留めていれば、悪化する一方。摘出しなければ命が危なかったんだ」彼は横に立つ遼一に一瞥を投げかけた。「子どもが産めなくなっても、養子をもらえばいい。明日香みたいな女には、彼女に夢中になれる男がいくらでもいるんだ。『妊娠できるか』なんてどうでもいい」哲朗は遼一の真っ黒な瞳に宿る、異様なまでの静けさと冷気を感じ取っていた。今まで見たことのない、底知れぬ何かが彼から発せられていた。「どうした?心が揺れたか?それとも、後悔でもしているのか?」哲朗は机上のタバコの箱から一本を取り出し、唇にくわえてライターで火をつけると、ふっと煙を吐き、皮肉な笑みを浮かべた。「お前まさか、本気で彼女に惚れてるなんて言い出すなよ?そんな冗談聞きたくない。お前と彼女が一緒になるなんて......そんなもの、天罰が下るぞ」「考えすぎだ」遼一は短く、冷え切った声でそれだけ言い放つと、身を翻して部屋を出ようとした。だがドアの前で一度足を止めた。「きれいに処理しろ。この件は、誰にも知られてはならない」「そこまで信用できないのか?」哲朗はそうつぶやきながら、去っていく遼一の背を見送った。煙草を揉み消し、白衣を脱いで小さなプライベートルームへと入っていく。そこには、艶やかに肌をさらした女が横たわっていた。目じりに色気を宿したその女は、まだ意識を取り戻していないようだった。哲朗は迷いなく布団をめくり、拘束を解き、その体をひっくり返した。そして前戯もなく一方的に肉体を貪る。女は突然の刺激に驚
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