All Chapters of (改訂版)夜勤族の妄想物語: Chapter 181 - Chapter 190

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3. 「異世界ほのぼの日記」149

-149 恋人達の実力- 光の発言に開いた口が塞がらない一は急に恥ずかしくなってきた。熱が出た様に顔を赤くし、逃げる様にその場から離れ化粧室へと向かった。一がいない間も食を進める一同、以前から光は気になっていた事をナルリスに聞いてみた。光「ナル、今になって聞くけどそうしてこんなに料理が上手なの?誰かに習った訳?」ナルリス「両親を殺されてから生きる術の一つとしてせめて料理だけでも出来る様になろうと御厨板長や地元のカフェのシェフの下で家庭料理を中心に勉強させて貰っていた事があったんだ。」 以前入った焼き肉屋の板長と自らの恋人の意外なつながりに驚きを隠せずにいた光、板長に今度お礼を言わないといけないなと料理を楽しみながら思った。毎晩この料理を楽しむ事が出来たら良いのにと、この吸血鬼と今以上に幸せになれたら良いのにと結婚を少し意識し始めた時に恋人がどれだけ自分に厳しいかを改めて知る事になった。ナルリス「今の様に掛け持ちじゃなくて料理だけで稼げる様になるのが今の目標なんだ、いつかは自分の店を持ちたいとも思っていてね。」男性達「じゃあ、私達の前で実力を証明して見せなさい。」 突然、4人の男性達が声を揃えてナルに言うと光がその方向に目をやった。声の正体はまさかの御厨板長、そして3国の国王だった。御厨「ナルリス、今日はもう遅いから明日の正午、我々4人に自慢の料理をフルコースで振舞って貰おう。その味を見て我々が合格を出したら店を出しなさい、店舗等の資金を全て出してやろう。どうだ、実力を恋人の前で証明するには丁度いいだろう。」 ナルリスは師の前で少しも悩む事無く首を縦に振った。ナルリス「やらせて下さい。」 吸血鬼が決意を表明すると3国の王がこそこそと相談し、そして満場一致した結果をナルリスに伝えた。どうやら今回の「試験」についての重要事項らしく、それを聞いた瞬間ナルリスは紙とペンを用意して色々と考え始めた。どの素材を使い、どんな料理を作ろうかを頭を抱えずっと悩んでいる、ペンを震わせる程だったからよっぽどだろう。光「王様たちは何て?」ナルリス「王宮の調理場で4品のフルコースを作れって、テーマは「恋人への想い」だそうだ。食材は自由に使って良いと言ってた。そうだ・・・、光ちょっと良いか?」 ナルリスが耳打ちで光に相談した事に、光自身は了承したのだが国王達に確認
last updateLast Updated : 2025-05-06
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3. 「異世界ほのぼの日記」150

-150 幸せな2人の味- 吸血鬼の説明を聞くと、その思いを与する様に振舞われた料理の残りを改めて味見し始めた。2人が一から作った2人の料理、国王達と御厨板長は涙を流しながら咀嚼をしていた。御厨「2人でないと作れない味か。エラノダはどう思う?」エラノダ「そうだな、兄さん。太陽の光をたっぷり浴び、丁寧に作られた野菜がこんなに美味いとはね。お2人はどう思いますか?」デカルト「あくまで家庭の味で勝負してくるとは、これから送るであろう幸せそうな生活が目に浮かぶ様だ。」パルライ「この出逢いが運命だったという事を何よりも表している気がします。」 4人は1分も経たない内に試験結果を決めた、どうやら満場一致らしい。御厨「では皆さん、宜しいですか?せーの・・・。」4人「合格です!!」 それを聞いた吸血鬼は手本の様な男泣きを見せた、そんな中エラノダから提案が出された。エラノダ「ナルリス君、街の中心地で店を出しませんか?一等地をご用意致しましょう。」 ナルリスは数秒程考え込み、国王の提案に対し答えた。ナルリス「折角のご提案ですが、お断りさせて頂きます。先程申し上げました通り、私の料理には光の採った新鮮な野菜が必要不可欠です。私は本人の作った野菜の美味しさを新鮮なまま皆さんに伝えるべく、光の家の隣にお店を出したいと思っています。」エラノダ「そうですか・・・、ではご希望の場所にお店を建てましょう。せめて資金は我々に出させて下さい。お2人が作った美味しい料理へのお礼です。」 エラノダの言葉に再度涙を流したナルリス。ナルリス「王様、感謝致します。」一「ほら、これで実力が証明されただろ。やる事があるんじゃないのか?」ナルリス「・・・、はい!!」一「ほら・・・、行ってこい!!」 涙を拭き取ったナルリスは一から預けていた紙袋を受け取り、中から小さい箱を取り出して光の前に向かい跪いた。ナルリス「光、いや吉村 光さん。口下手なのでシンプルに言います、ずっと待たせていた事謝罪します。So, will you marry me?」 一同が何でそこだけ英語なんだよとツッコミを入れたがったが、空気を読んで何も言わずにいた。数秒程静寂が続く、そして光が声を震わせながら答えた。光「一度死んじゃったけど、今までの人生の中で一番幸せです。勿論、喜んで!!」 光の言葉にそこに
last updateLast Updated : 2025-05-06
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4. 「異世界ほのぼの日記2」①

4.「異世界ほのぼの日記2~異世界でも夜勤になったので堂々と昼呑みします。~」佐行 院-① 序章~多分、死んだ~- 相変わらず平和なネフェテルサ王国で結婚してから十数年経った転生者・吉村 光(よしむら あかり)とヴァンパイアのナルリス・ダルランの間には16歳の娘が生まれていた。名前はガルナス、種族はハーフ・ヴァンパイア(ダンピールとも言う)で隣のバルファイ王国にある魔学校に通っているのだが・・・。光「ガルナス、いい加減起きなさい!!遅刻するよ!!」ガルナス「起きてるって、もう準備終わるから。」 廊下の奥の部屋から髪をぐしゃぐしゃのままにしながら制服を崩れ気味に着て玄関へと走るガルナス、そんな娘を台所から母親が止めた。光「ほら、お弁当。」ガルナス「ありがとう、行ってきます。」女性「おはよう、ああ良い香りだね。今日も上出来。」 ガルナスが玄関を出ようとするのとほぼほぼ同時、トイレから出てきた祖母・赤江 渚(あかえ なぎさ)が台所にやって来て焼き上がりを楽しみに待っていた朝一のトーストを取ろうとすると・・・。ガルナス「おばあちゃん、もらってくね!!」渚「もう、またかい。相変わらずだね、また焼き直しか。このパン高いんだがね。」光「従業員割引きで安くなっているから良いでしょ。」渚「そうだね、光また頼むよ。」 光はこの世界に来て以来、今は無理のないペースでだがずっとパン屋の仕事を続けていた。渚はバーサーカー・シューゴが店主をする拉麺屋台の2号車で今も各国を回っている。渚本人が提案したメニューがお客に好評で今では女将と言っても過言ではないが何故か「女将さん」と呼ばれるのは嫌らしく、「お姉さん」と呼ばなきゃサービスが悪くなってしまうそうだ。 光の家の隣には店がある、光と結婚する直前にナルリスが希望したレストランだ。光の家庭菜園で採れた野菜を使った家庭料理を中心に出している、その店の前を横切り魔学校への通学バスまで走るガルナスをオーナーシェフであるナルリスやウェイトレスでダーク・エルフのミーレンが見送った。ナルリス「おーい、走ったら怪我すっぞ。」ミーレン「まだ大丈夫だからゆっくり行ってらっしゃい!!」ガルナス「行ってきまーす。」 どうやら店の2人の声は届いていないらしく、娘は速度をどんどん上げていった。足にはかなりの自信があるらしく、魔学校で
last updateLast Updated : 2025-05-11
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4. 「異世界ほのぼの日記2」②

-② 新たな転生者~ここ、どこ?~- 自分に向かって叫ぶ黒野の顔を見ながら落下した好美、死を覚悟した瞬間川が見えたという。いや、どう考えても浅い川の中に寝っ転がっている。全身に冷たさを感じ、好美は体を起こした。びしゃびしゃに水を含み重くなった制服で岸に着くと、一先ず日光で服を乾かす事にした。 そんな好美に女性が近づいて来て声を掛けた。女性「・・・・・・(異世界語)?」好美「はい?」女性「・・・?・・・、(日本語)アナタココデナニシテル?」 カタコトだが女性が日本語で話してくれたので好美は少し安心した。好美「に・・・、日本語だ。」 この瞬間、神様お得意の『あのスキル』が発動した。転生者には一番有難いとされる『自動翻訳』だ。 いきなり女性の言葉が分かるようになった好美は少し動揺している。女性「(自動翻訳発動)良かった、あたしらの言葉も分かるみたいだね。」好美「あ、あの・・・。」女性「あー、大丈夫大丈夫。あんたが初めてじゃないんだよ。あんた、「日本からの転生者」ってやつだろ?ウチの旦那もそうだからさ。ここはネフェテルサ王国、取り敢えず着いてきな、そのままじゃ風邪引いちゃうよ。」好美「あ・・・、はい。」 好美はそのまま女性に付いていく事にした、聞いた事が無い国名にヨーロッパの田舎っぽい風景と服装。なのに何故か軽トラが右往左往する世界に戸惑っていた。 女性の家に着くと、促されるまま服を借りて脱いだ制服を乾かす事にした。するとその女性の旦那らしき男性が帰って来た。男性「ただいま。」女性「おかえり、あんた大変だよ。あそこにいる人、新たな転生者だってさ。」 男性が好美に近づき警察手帳を出したので、思わずギョッとしてしまう好美。男性「ふむ・・・、初めまして。この国で警察署長をしている林田と申します。あそこにいるのは妻のネスタです、宜しければお名前をお伺い出来ますか?」好美「倉下好美・・・、です。」 好美が恐る恐る名乗ると林田夫婦は優しい笑顔でテーブルへと誘った、温かな紅茶の良い匂いが広がる。 ゆったりとした時間を少しの間過ごしていると、日本人らしき女性達が2名程夫婦の家へと入って来た。どうやら好美より先にこの世界に転生してきた先輩らしい。女性①「川にいたってのはあの人ですか?どう見てもこの世界の服装を着ているみたいですけど。」ネスタ「
last updateLast Updated : 2025-05-11
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4. 「異世界ほのぼの日記2」③

-③ 神の存在~あ、ありがたや・・・。~- 好美は目の前で展開される異次元の話に少し動揺していた、未だに神の存在を信じ切れていない。そんな好美をよそに光と渚は説明を続けた。渚「自分の葬式の映像を見せられたり「応相談だけど、希望に合わせて世界を作り替えてやる」とか「たまに様子を見に来る」とも言われるね。」光「それにきっと貴女も『作成』っていう凄く便利なスキルを渡されると思うから、後でまた説明するね。」渚「転生者のいつもの件っぽいからこっちの世界の人には「儀式」とか「恒例のイベント」って呼ばれているよね、多分そろそろじゃないかな。」 すると3人の耳に声が流れ込んできた。声「こらこら、全て聞こえているぞ。「恒例のイベント」とは何だね。それと私の台詞を取るでない、お決まりの物を全て。でもちゃんとこの子にも例のスキルは与えるし相談に応じるつもりだ。倉下好美と言ったな、来なさい。」 すると目の前が真っ暗になり好美は倒れ込んでしまった。目が覚めると目の前に顎鬚を蓄えた老人が1人、杖を片手に待ち構えていた。好美「貴方が・・・、神様?」神「そうだ、私が神だ。ただ今から言おうとしていた台詞を全部言われてしもうた上にネタバレもされとる、あいつらめ・・・。」 好美は一先ず気になっている事を1つずつ片付ける事にした、最初は日本での自分の現在だ。好美「私の葬式って?」神「お前さんは黒野とかいう先輩の目の前で落下して、後頭部を強打。そのまま帰らぬ人にという事になっておる。正直私からすれば君の映像は見るに堪えない、どうしようか。」好美「やめておきます、何か怖いので。」 神が杖の先を好美に向けた瞬間、眩しい光が瞬いた。その光が消えた瞬間、好美の体の周りを光が包んで急に自分が強くなっていくのを感じさせていた。 改めて神からの説明を受け、言われた通り両手を前に出しステータス画面を出した。スキルの所に『作成』と書かれている。神「右手を出して欲しい物を念じるんだ、出来るだけ強くだぞ。」 説明した通り右手を出して「バランス栄養食」と念じてみた、その瞬間お馴染みの小箱が現れた。 それを見た瞬間、目の前の神が呟いた。神「光の奴もその箱を出しておったな、どうしてなんだ。」好美「お腹空いてたから、以上。」神「立派だ、それ以上の理由はないわな。」 好美が栄養食を食べ終えると
last updateLast Updated : 2025-05-11
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4. 「異世界ほのぼの日記2」④

-④ 便利な世界で働く、そして無かった物を作る- 1京円に驚きながらもこの世界の通貨が日本と同じ「円」である事、そしてキャッシュカードやクレジットカードが使える事を知った好美。ただ大金持ちは狙われやすいのでこの世界でも働くべきだと2人に勧められた。 案内されるがままに冒険者ギルドへと向かい、奥の受付カウンターへと歩を進めた。おどおどしている好美をこのギルドの受付嬢でアーク・エルフのドーラ林田が迎えた。好美「私、冒険者になるつもりは・・・。」光「この世界ではこれがルールなの、郷に入っては郷に従えって言うでしょ。」好美「私エルフと話した事なんか・・・、言葉・・・。」ドーラ「あの・・・、どうかされました?」 人間と同じ言葉を平気で話す目の前のエルフに驚きを隠せない好美、数秒かけて落ち着きを取り戻すと手続きを始めた。 難無く手続きを終え、ギルドカードを手に入れた好美は早速仕事を探し始めた。好美「王宮の見回り?私に出来るかな・・・。」 本当に偶々なのだが、ギルドにいたネフェテルサ国王のエラノダが自ら面接を始めた。ただ相も変わらず私服で抜け出しての御忍びなので好美は目の前の人物が国王と気付いてはいなかった。エラノダ「えっと・・・、倉下好美さんね。見回りのお仕事のご経験は?」好美「初めてなんですけど、私でも出来ますかね?」エラノダ「大丈夫ですよ、簡単なお仕事ですし王国軍の者に丁寧に教える様申し伝えておきますね。」好美「あ、ありがとうございます。」エラノダ「因みにですが、いつからシフトは入れますか?」 転生するきっかけとなった「あの夜勤」の翌日に日本でいた頃は合コンの予定があったが、今はこっちの世界に来てしまったので全くもって関係なくなってしまっている。好美「いつでも・・・、大丈夫です。」エラノダ「分かりました、では採用等についてのご連絡の為に好美さんのお電話番号をお願いします。」 好美はまだこの世界に家を持っていないのでスマホの番号をそのまま伝えた。次は家探しだ、早速3人で不動産屋に出かけようとしたら好美のスマホに未登録の番号から着信があった。好美はこの世界での初めての電話に恐る恐る出た。好美「も・・・、もしもし。」男性(電話)「もしもし。倉下好美さんの番号で御間違えないでしょうか。」好美「はい、そうですが。」男性(電話)「よかった
last updateLast Updated : 2025-05-11
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4. 「異世界ほのぼの日記2」⑤

-⑤ 違くない?- 好美は日本にいた頃、徒歩で通勤できる範囲に住んでいた。朝日を浴びながら散歩感覚でゆっくりと家へ帰る、帰り道の途中に「パラダイス」があるあのスーパーが建っていた。 そこで割引の惣菜やスナック菓子を買い、それを肴に家での昼呑みを楽しんでいた。少し良い事があった時は缶ビールを1本余分に購入し堂々と呑みながら帰った。こちとら仕事帰りだ、正直朝だろうと知ったこっちゃない。 なので車など必要なかったので免許も持っていなかった、たまに遠くに呑みに行く時は近所のバス停からバスで目的地へと向かえばよかったのだから。 ただ今、3人は車屋の前にいる。先程通り好美は免許が無いから買っても運転など出来ないのだが。好美「車・・・、ですか?私免許持って無いんですけど。」渚「いや違うんだよ、この建物の地下がギルドになってんの。」 促されるまま好美は「珠洲田自動車」へと入って行った、店主の珠洲田本人がにこやかに3人を迎えた。珠洲田「いらっしゃいませ・・・、ん?なっちょじゃないか、まさかまた屋台を故障させたのか?」 渚の使い方が荒いのか今年に入って拉麵屋台を5回も修理に出していた、珠洲田も呆れ顔を見せている。渚「一昨日の今日で壊している訳がないじゃないか、この子をギルドに登録して欲しくてね。」珠洲田「この子・・・、いらっしゃいませ。申し遅れました、私ギルドマスターの珠洲田です。ご登録で宜しいですか?」好美「は、はい。宜しくお願いします。」渚「スーさん、あたしと態度が偉い違うじゃないか。」珠洲田「初めてお越しの方だぞ、緊張しているじゃないか。」 そう言うと、珠洲田が温かな緑茶を振舞いながら説明を行い、好美は言われた通りに登録用紙への記入を進めていった。 好美の事がタイプなのだろうか、ギルドマスターの珠洲田が珍しく自らずっと対応している。珠洲田「因みに好美さんはどの様な商売をお考えですか?」好美「コンビニを作ろうかと。」珠洲田「そう言えばこの世界にはありませんでしたね、建物のご予定はどちらに?」 好美はまだこの世界に来たばかりなので場所に全く詳しくない、その上ここでの登録を済ませた後不動産屋へと向かう予定だったので建物など探してもいない。珠洲田「では建物が決まり次第お知らせ頂けますか、登録が必要なので。」 そうして珠洲田自動車を後にした3人
last updateLast Updated : 2025-05-11
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4. 「異世界ほのぼの日記2」⑥

-⑥ 商売への交渉開始- 光と渚が購入したての高層ビルを用途で使い分けができる様にと作り替えた後、2階~14階への入居者を早速募集すべく好美自らポスターの作成を行った。同時に1階のコンビニのオープニングスタッフを募集する事にしたのでその旨も書いた物を作成していく。 作成したばかりのポスターを不動産屋に持っていき、早速貼って貰えるように依頼してきた。不動産屋「すぐ剥がすことになるかも知れませんよ?」 意味深げな言葉を残しつつ、ポスターを受け取った不動産屋は店の大きな窓にポスターをでかでかと目立つ様に貼ってくれた。 一旦、1階のコンビニ部分に戻り店舗の窓にもポスターを貼り付ける事にした好美。この店の従業員に対しては月家賃を中心に割引きを用意する事にした。従業員は家賃2割引き、また店の商品は全て1割引きを予定している。売り上げや利益の事は大丈夫なのだろうかと心配されたが、神によって振り込まれたお金はまだ十分に残っているので心配ない。 店にはマンションの内側からも入店可能でいつでも買い物ができる様になっている、このマンションの住民になるとエレベーターに乗るだけですぐ買い物が可能になった。 因みにエレベーターは特殊な作りになっていて、1階~14階は各階へのボタンがあるのだが好美が住む1番上、つまり15階のボタンだけが無い。これは「せめて家だけはプライベートな空間に」と渚の気遣いでの仕様で、好美が設定した4桁の暗証番号を階層のボタンで押すと15階へ行けるようになっている。 屋上の露天風呂もプライベートの空間にすべく、敢えて共同のエレベーターではなく15階から屋上へと延びるもう一つのエレベーターを使用する事になっていた。 エレベーターで地下駐車場へと降りるとそこから直接隣国のバルファイ王国、及びダンラルタ王国への住民専用地下通路が設置されていた。隣同士なのでバルファイ王国からダンラルタ王国へ直接行けない訳では無いのだが、距離的にはこのネフェテルサ王国を経由して行く方が近いらしい。特に魔学校へ行く学生が使うだろうと光が言っていた。 好美のマンションから光の娘であるガルナス達が毎日利用するバス乗り場には少し距離があるので、地下通路に専用のバス乗り場を作れないかと光に相談すると少し待つ様にと伝えられたのでその通りにするとすぐ『瞬間移動』でやって来た。光「少し、話
last updateLast Updated : 2025-05-12
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4. 「異世界ほのぼの日記2」⑦

-⑦ 交換条件と住民- 結愛の交換条件が気になる好美は少しドキドキしていた、この交渉次第では数億円単位の金が動いていくはずだ。好美は慣れない『念話』で話し続けた。好美(念話)「条件・・・、ですか?」結愛(念話)「2点ほどあるのですが、少々お待ち頂けますか?」好美(念話)「え?まさか・・・。」結愛「そのまさかですよ、好美さん。」好美「えっ?!」 話の流れで『瞬間移動』して現れた結愛に驚く好美、この世界でも車は必要ないなと改めて思いつつ一先ず話を進める事にした。結愛「この通路ですか・・・、これがバルファイ王国に繋がる訳ですね?」好美「車が通れるように少し広めに作っているのでスクールバスでもご利用いただけるかと。」 少し考えた結愛は深く頷き好美に例の「交換条件」を伝えた。結愛「では好美さん、気になっておられる条件なのですが、①この通路に魔学校直通のルートを追加する事と②2階~5階部分を魔学校の学生寮や貝塚財閥の従業員が使用する社宅として提供する事です、勿論その分の家賃はお支払いいたします。いかがでしょうか?」 物凄い好条件、断る理由などない。好美「分かりました、勿論大丈夫です!!」結愛「ではそれでお願い致します。」 結愛と強く握手を交わした好美は、早速不動産屋に連絡して2階~5階についての事情を説明した。不動産屋(電話)「貝塚財閥が絡むとなると断る訳には行きませんね、了解しました。」 そう言って不動産屋は事情を理解してくれ、好美もポスターに「6階以上の部分」と書き加え募集を始めた。 すると1時間もしない内にまた不動産屋から連絡が来た、何と今の時間で全部屋が埋まってしまったという。流石は街の中心地だ、その人気を舐めてはいけない。結愛から聞いたのだが寮や社宅の部分も全て埋まってしまったという、満員御礼といったところか。 次はコンビニの従業員だ、オーナーは勿論好美だが正直経営に関しての知識が無い。そこで入居予定の者から募集する事にした、すると過去バルファイ王国で経営学を学んでいたという4人が現れたので雇う事に。面談はまたおいおい。 実は好美がこの世界に転生する数年前からなのだが知能が高く『人化』して人語を話せるなら上級でなくとも自由な入国が許可されるようになっており、それにより今回の入居者の殆どが出稼ぎでの移住を希望していた獣人族や鳥獣
last updateLast Updated : 2025-05-12
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4. 「異世界ほのぼの日記2」⑧

-⑧ 侵入者の目的- 確かここは15階、好美だけのプライベートスペースだったはず。その上ここに来るには暗証番号が必要なはず、どうして自分の真後ろに人が? 少し恐怖心を覚えながら後ろを振り向くとそこには渚がいた。渚「驚かせて悪かったね、光が早く誘って来いってうるさいから来ちゃった。」好美「誰かと思いましたよ、『瞬間移動』ですか?」渚「というよりこのビル、あたしらの魔力で作り替えてるから来れちゃうのよ。まぁ、私か光がたまに遊びに来る程度だから許して。」 知らない人だったらどうしようかと心臓をバクバクと鳴らしつつ、一応バスタオル巻いておいて良かったと安心していた。確かにこの設計は渚と光からのプレゼントだ、2人の行動を否定する事はできない。いつか自分もあんな魔法を使えるようになるのかなと少し微笑んだ。 しかし、今日はもう用事は終わったはずだ。今は何もかも忘れて思いっきり昼吞みを楽しみたい時間帯、正直言うと邪魔されたくない。今度は何なんだ?好美「何かありましたっけ?」渚「何言ってんの、あんたの歓迎会だよ。もう皆集まってるから早く服着てきな。」 渚にそう言われると、持っていた缶ビールを急いで飲み干し服を着る為テーブルへと向かおうとした。その瞬間・・・。渚「あらま・・・。」好美「す・・・、すぐ服着てきますから!!」 屋内へと急ぐ好美を見送りながら渚は顔をニヤつかせた。渚「これは良い物を見ちゃったね、アハハ。」 数分後、日本から『転送』させて来た私服を着た好美が走って出て来た。先程まで一人で呑んでいたせいか、それとも急いだせいか顔が赤い。ただ息切れしていたのは確かなので後者なのだろう。 渚が急いで出て来た好美に自分が買って来た缶ビールを手渡し小さく乾杯すると、何とも美味そうな表情で呑んだ。何故か先程の物より美味く感じている、やはり誰かと呑む方が美味いと思える物なのだろうか。渚「ははは・・・、美味そうに呑むね。あげた甲斐があったよ。」好美「ありがとうございます、何よりもビールが大好きなんです!!」渚「その言葉を聞けて安心したよ、向こうにも沢山用意しているから楽しみにしてな。じゃあ、行くよ。」 そう言うと渚は右手を高く上げ、2人の頭上で円を描いた。その瞬間ある民家の裏庭に到着し、2人の目の前で光が冷やしたグラスに生ビールを注いでいた。光「おか
last updateLast Updated : 2025-05-12
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