Semua Bab (改訂版)夜勤族の妄想物語: Bab 251 - Bab 260

312 Bab

4. 「異世界ほのぼの日記2」69

-69 審査結果- 遂に好美の作った料理の番となった、勿論審査員2人には誰が作ったのかは今まで通り内緒にする。しかし、好美の表情を見るとバレてしまいそうで怖かったから渚は落ち着く様にと缶ビールを勧めた。 2人に最後の料理、「(D)自然薯の細切り、鰹出汁醤油かけ(好美)」が配布された。2人にとったら自然薯と言えばやはりとろろだったので少し違和感を覚えていた。とろろにして白飯にかけて食べる物のイメージ、ずっとそれだけを抱いていた。 配られた料理に箸を延ばす、細切りの自然薯を取り海苔と隠し味の山葵が混ざった出汁醤油のタレを存分に絡ませて1口。 すると、2人の口から大きく「シャリッ」という音が聞こえた。その食感が食欲を増幅させ白飯を進ませた。隠し味のツンとした山葵が白飯をまた誘う。メラ「美味しい・・・、お箸が止まらない。」ガルナス「こんなの初めて、とろろ以外知らなかったから嬉しい!!」 女子高生2人は服を汚さないために身につけていた紙エプロンを存分に汚しながら夢中に食べていた、3杯ずつ白飯を食べ終わった頃には2人の唇には海苔が所々付いていた。 2人はテーブルに置いた茶碗に向かって箸を投げて息を切らしながらグラスの水を飲んだ、勢いよく飲み干した後の2人の表情は恍惚に満ち溢れていた。メラ・ガルナス「最・・・、高・・・。」 渚は2人の表情を見てため息を1つ。渚「ふぅ・・・、こりゃ結果は決まった様な物だね。」好美「え?」ピューア「一応聞いてみる?」 ピューアの言葉を聞いた光は即席で『作成』した札を2人に渡した、札には料理に割り振られたアルファベットが記されている。 2人はどれが1番美味かったかを数分かけて相談した、長く話し合った結果がようやく纏まった様だ。審査員達はその結果を声を揃えて伝えた。メラ・ガルナス「せーの・・・、全部です!!」渚「ありゃ、これは意外だったね。という事は・・・。」 渚はそう言うと鋭い視線を感じた、光が渚に向かってニヤリとした表情を浮かべて笑っている。光「お母さん、私の勝ちだね。ほら、1万円出して。」 そう、親子は賭けをしていた。渚は「D(好美)が勝つ」に、光は「勝敗が決まらない」に各々1万円を賭けていた。渚「うーん・・・、あんたは天才なのかい?」 そう言いながら渚が財布から渋々1万円札を取り出すと、光は素早く取り
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-23
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4. 「異世界ほのぼの日記2」70

-70 人魚の願い- 好評だった料理に何かお礼がしたいと4人は相談し始めた、2人の為に何かできる事はないだろうかと女子高生達に質問した。正直今なら、2人の為に何でもするつもりだ。 その時光はある事を思い出していた、先日メラがナルリスのコロッケを食べた時にその味に、いやナルリス自身に惚れこんでいた事を。そして惚れた男に男を見せて欲しいと願い出ていた事を。ただ、何を願おうとしていたのかはっきりと聞けていなかったのだ。光「そう言えばメラちゃん、うちの旦那に何かお願いしようとしていたんじゃない?」ピューア「そうそう、あんたこの前何か言おうとしていたじゃない。」 2人の言葉を聞いてメラは急に体を硬直させた、先程まで伝わって来ていた本人の高揚感が嘘の様だ。目の前の人魚(マーメイド)は光に「うちの旦那」と言われてかなり緊張していた様だ。メラ「あ・・・、あの・・・。先日言おうと思ったのですが・・・。」ガルナス「お母さん、もうちょっと聞き方考えた方が良いんじゃいの?それだとメラもなかなか言いたい事言えないじゃん。ほらメラ・・・、ゆっくりでいいから丁寧に言ってみな。」 ガルナスに背中を押されたメラは先日魔学校で担任から渡された1枚のプリントを出した、因みにこの日の為にガルナスも光に渡していなかったという。 また、ガルナスがたまたま理事長室から出て魔学校の中庭にいた結愛に直談判して光や好美達にも内緒にしておくようにと伝えていた。 メラの純粋な気持ちを汲んだ結愛は快諾し、あらゆる角度から情報が漏れない様に手を回して今まで内緒にしていた。 光に連絡用として『付与』されていた『念話』を結愛に飛ばした。ガルナス(念話)「理事長先生、例の件はもう大丈夫だそうです。」結愛(念話)「そうですか、遂に打ち明ける勇気が出たと。」 因みに結愛はこの度、メラがナルリスに告白すると勘違いしている。ガルナス「ほら・・・。」メラ「う・・・、うん・・・。あの・・・、ナルリスさんに今度の遠足に持って行くお弁当を作って欲しいなって思って・・・。」ガルナス「私とお揃いにしたいみたい。」 ただガルナスには忘れていた事があった、ガルナスの弁当はいつもナルリスではなく光が作っていた事を。ガルナス「お父さんのコロッケに惚れこんじゃったみたいなの。」光「この前店で余ったって言ってたあれ?」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-23
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4. 「異世界ほのぼの日記2」71

-71 シェフへの要望- 店の魔力保冷庫に食材を確認して使えそうな食材を一通りメモしたナルリスは改めて女子高生達の前に現れた、戻って来た吸血鬼はシェフの証であるコック帽を被り少し雰囲気を出している。ナルリス「お客様方いらっしゃいませ、お弁当の中身のご希望はございますか?」メラ「えっ・・・、私達ですか?」ナルリス「勿論でございます、可能な限りご希望にお応えさせていただきます。」 憧れの人に「お客様」と呼ばれ緊張する人魚、本人は店の料理を食べた事が無いので少し申し訳なくも思っていた。 中々希望を言い出せない妹の背中を姉がそっと押した。ピューア「ほら、折角の機会なんだから言ってみなさいよ。」メラ「うん・・・、えっと・・・、自家製ハンバーグをお願いしたいです。」ナルリス「ハンバーグですか、そうですね・・・。味付けはいかが致しましょう、特製のデミグラスかシンプルな塩胡椒が可能ですが。」 本来、店ではもう1種類としておろしポン酢味を出しているのだが、弁当にした際もしも傾いてしまった時に汁が駄々洩れてしまう可能性があるので今回は選択肢から抜いた。光「あんたはいつもオムレツとサンドイッチだよね。」ガルナス「うん・・・。」 偶然親子の会話を耳にしたメラは黙っていなかった。メラ「2種類も大丈夫なんですか?!」光「1種類までってルールは無いけど、何か希望はある?」メラ「コロッケ!!あのコロッケが食べたいです!!」 唯一食べさせた物は余り物だったが、自分の作った料理をよっぽど気に行った様子の女子高生を見たオーナーシェフは少し離れた所で涙ぐんでいた。光「何よもう。」ナルリス「いや悪い・・・、こりゃ気合入れて作らないとな。コロッケとハンバーグの仕込みして来るわ。まだ希望があるなら聞いといて。」光「気合入れるのは良いけど、もう入らないでしょ。」 未だ涙ぐみながら「バレたか」という表情を浮かべた父親は店の調理場へと消えて行った。 いつもはハンバーグに特製のデミグラスソースを使用する事が多いのだが、敢えてシンプルな塩胡椒で味付けする事にしてオムレツをデミグラス味にすることにした。 魔力保冷庫内の「ある食材」がそうさせた様だ。ナルリス「待てよ・・・、あれで作って組み合わせて・・・。いけるかも。」 普段店では牛豚の合挽肉を使用するのだが、今回は鶏ももの
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-29
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4. 「異世界ほのぼの日記2」72

-72 シェフの悪戯心- 弁当の内容を考えながら相も変わらず顔をニヤつかせていたナルリスにはとある思惑があった、1人楽しそうにしているオーナーシェフは悪戯好きで弁当を食べた娘達が驚く顔を想像すると最高の気分だった。 早速魔力保冷庫を確認したが、必要とされる食材が見当たらなかったのでとある所に連絡して夕方に取りに行く事にした。 因みに悪戯の為に弁当箱もこちらで用意すると伝えてある。 夕方、ナルリスは連絡した場所に食材を買いに行き、やっとのこさで弁当作りへの前日準備を終えた。ナルリス「おっと・・・、弁当箱を忘れていたぜ。」 今回は広めの2段重ねにする様だ、サンドイッチを入れる時点で深めの弁当箱になるはずなのだが持って行けるのだろうか、ただそんな事など吸血鬼は全然気にしていなかった。 翌朝、早速昨日の夕方手に入れた食材をある調味料で30分程漬け置きしてメラが大好きと言ったコロッケを揚げ始めた。 ゆっくりと丁寧に揚げ、外はサクサクで中はしっとりに仕上げている。そして耳を落とした食パンで挟んでいたのだが・・・。ナルリス「ありゃ、あれだあれだ。」 おっちょこちょいの吸血鬼は昨日仕掛けておいた辛子マヨネーズと特製のタルタルソースを塗っておくのを忘れていた、渡していないからまだセーフ。 隠し味を塗りたくったパンでコロッケを挟むと1口大に切り、弁当箱に入れる。 メインディッシュに入る、前日に仕掛けておいた鶏肉100%の捏ねだん・・、いやハンバーグを焼いてシンプルに塩胡椒で仕上げる。 焼けた鶏ハンバーグを薄焼き卵で包み、通常以上にとろみをつけたデミグラスソースをかけた。これでメインディッシュは出来上がり・・・、のはずだった。 一先ず付け合わせの用意に入る、赤いウインナーに切り込みを入れて油をひかずに炒める。足を開かせつつパリパリとした食感を残し、見た目でも食感でも楽しめる様に工夫していた。 彩りと栄養バランスを考え小さく切ったブロッコリーも添える、細く絞ったマヨネーズをかけておけば取り敢えず味付けは大丈夫だろう。 ここまでの1段目のみで十分な仕上がりと思われるがナルリスにとったらまだ不十分だった、本人にとったらこれがメインディッシュでメインの工程・・・。ナルリス「うーん・・・、それにしても守君には無理言っちゃったな。」 実は昨日、食材を手に入れる為
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-29
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4. 「異世界ほのぼの日記2」73

-73 悪戯味の弁当- 各々の弁当にはメモ用紙が1枚同封されていた、どうやらお品書きの様だ。しかし料理の内容が詳しく書かれているか正直言って微妙なのだが。「1段目-2人の「好き」を合わせてみました-」 ・自家製ハンバーグのオムレツ ・お気に入りの詰まったコロッケサンド etc・・・「2段目-お楽しみメニュー-」 2段目に関しては料理名も書いていない、どういうつもりなのだろうか。「お楽しみ」と書いているのが正直怪しいのだが、ただその時ガルナスは父親が悪戯好きだった事をすっかり忘れてしまっていた。メラ「取り敢えず食べてみよう。」ガルナス「そ・・・、そうだね・・・。」 デミグラスソースのかかった薄焼き卵を箸で割る、中から塩胡椒でシンプルに味付けされた鶏のハンバーグが出て来た。コリコリとした軟骨入りでやはり・・・。メラ「これ・・・、捏ねだん・・・。」ガルナス「珍しいハンバーグだね、店の新作かな。」 しかし流石はレストランのオーナーシェフ、味は当然の様に美味い。 次はメラが好きなコロッケが入った1口サンドイッチに手を延ばす。メラ「ピリっとしてる、辛子マヨネーズかな。」ガルナス「タルタスソースだ、家でも店でも人気のやつだよ!!」 2種類の味を楽しめる良い悪戯に感動している女子高生達、付け合わせのタコさんウインナーとブロッコリーが2人を何となく安心させた。 安心したのも束の間、2人は問題の「2段目」の蓋を開ける事にした。弁当屋でも人気の「あのおかず」と思われる1品とまさかの白飯が詰められていた。 1段目にサンドイッチが入っているのに何故2段目に白飯が?しかし大食いの2人にはそんな事など気にしていなかった、寧ろ大歓迎と言った様子だ。 しかし気になるのは横に添えられた「おかず」、「お楽しみメニュー」と言う割にはシンプル過ぎやしないだろうか。メラ「これ・・・、豚の生姜焼きだよね。好きな事は好きだけど・・・。」 確かに「豚の生姜焼き」は2人共大好きな上に、ナルリスの店でも日替わりランチのメニュー内での上位にランクインしていた。 しかしハーフ・ヴァンパイアはたった今思い出した、自らの父親が悪戯好きだという事を。そう、この2段目に詰められているはただの「白飯と人気おかず」ではないのだ。 これも今思い出した事なのだが先程のサンドイッチに使われてい
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4. 「異世界ほのぼの日記2」74

-74 2人なりの楽しみ方- 2人は弁当を予想外の辛さに耐えながら弁当を完食した後の短い時間を充実させようとしたが、流石は出来たばかりの遊園地、園内はカップルで溢れていてどのアトラクションも1時間単位の待ちが生じていた。 自由時間は残り2時間しかない、2人は2人なりに楽しむ方法を考えた。ただよく考えたらお土産を何も買っていない。 一先ず、お土産は嵩張るから後にしよう。アトラクションはもう無理確定なので他の楽しみ方を考えよう、2人は熟考した。ただ女子高生達の悩みはすぐに解決する。「ぐぅー・・・。」 先程まで2段重ねのとても大きな弁当を食べていたと言うのに2人の腹の虫が鳴った。共通して大食いだという事を思い出し、2人は食べ歩きをする事にした。 園内にはレストランも数店舗あるが屋外にも屋台が点々としており、良い香りがそこら辺中にずっと漂っている。数多の香りが手伝い、2人はどんどん空腹になっていった。 取り敢えず目の前にある屋台で売られているホットドッグを食べる事に、一般的な物の約2倍の長さのソーセージが自慢なのだが正直コッペパンの長さが全く足りていない。 手が汚さないためにケチャップとマスタードはパンの部分だけに付いているのだが、追加したい場合は屋台横に設置されているソースをセルフで使用できるようになっていた。 ガルナスは明太マヨ、そしてメラはチリソースを追加してソーセージに齧り付いた。コッペパンも焼きたてで美味い、正直家で再現してみたい。 ただ2人はまだ足らなかった、次は甘いものを食べよう。周囲を見回すとネバネバモチモチで有名な「あのアイス」の屋台が。 初体験の2人は当然の様に屋台の店主に遊ばれた、2人の声により遠くからでも必死にアイスを求める様子が伺える。ガルナス「あっ、また!!何でくれないの!!」メラ「けち!!」店主「悪い悪い、次はちゃんと渡すから許してよ。」 しかし店主は当然の様に裏切った、先端にアイスを付けた棒を振り回して楽しんでいる。周囲の者達は店主を見てああなって当然だなと笑っていた、そう店主は人をいじるのが好きな鳥獣人族のホークマンなのだ。 2人は約5分程店主と格闘し、やっとの思いでアイスを手に入れた。店主の遊びに耐えていた位だ、かなりの粘りとモチモチ感で2人を楽しませていた。 アイスを頬張りながら次の獲物を探していた、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-29
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4. 「異世界ほのぼの日記2」75

-75 吸血鬼の失敗- ダンラルタ王国にあるサービスエリアで女子高生達が屋台での買い食いを楽しんでいた同刻、ネフェテルサ王国の街はずれにあるレストランの調理場の端っこでオーナーシェフである吸血鬼(ヴァンパイア)のナルリス・グラム・ダルランは・・・、悪戯に失敗して落胆していた!!ナルリス「どうしよう・・・、やらかしてしまったぁぁぁぁぁぁぁ!!」 実は先日、嫁の光に「少し変わっていてビールに合う豚肉料理を考えて欲しい」と頼まれて仕掛けておいたあの「豚ロースの生姜焼き風豚キムチ」をガルナスとメラの弁当に入れる予定だった「少し生姜多めの生姜焼き」と間違えて入れてしまったのだ。 2人共生姜味が好きな事を覚えていたのできっと白飯を空っぽにして帰って来るだろうと期待しながら仕掛けていたのだが、朝早くからの弁当作りで寝ぼけていた為タッパーを間違えてしまっていたらしい。 因みに事件が発覚したのは昼間、その日非番だった光は好美に「昼呑みしないか」と誘われていたので好美所有のビルの屋上に行った際、ナルリスの豚料理(焼く前)のタッパーを持参していた。しかし、いざ焼いた時にお世辞にも「少し変わっている」とは言えない「結構普通な感じのする生姜焼きの香り」がしたので光から「本当にこれなの?」と確認の『念話』があったのだ。 どう考えてもビールより白飯が欲しくなる香りと味だったが故に、違和感を覚えた光からの連絡を受けたナルリスはすぐさま魔力保冷庫内を見て初めて自らの間違いに気付いたのだった。 それから数時間後、今現在に至る。この時オーナーシェフはもう1つ思い出した事があった。ナルリス「大丈夫だ、きっと大丈夫なはずだ。確か2人共辛い物が大好物だったはず・・・!!」 普段からガルナスが家であらゆる料理に一味唐辛子をかけて食べていた事を思い出した、魔学校にも「マイタバスコ」を持参して食堂の料理にもかけている事を聞いている。 友人の人魚(マーメイド)で、今日一緒の弁当を持参して行ったメラも「マイ辣油」を持ち歩く程の辛い物好きだったはず・・・。 その上に、メラの辣油は一般的な赤い蓋の物ではなく黒い蓋の辛さがより一層強い物・・・。 吸血鬼はこの2点を思い出して何とか自分を安心させようとしていた、しかし落胆が酷過ぎてずっとパイプ椅子に座りこんで動かないでいる。 ナルリスの様子をずっとチ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-29
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4. 「異世界ほのぼの日記2」76

-76 吸血鬼も知らない味の秘密- 女子高生の人魚の一言でやっと元気を取り戻した吸血鬼、どうやら間違えて手渡してしまった料理が普段から辛い物が好きな2人の胃袋をぐっと掴んだ様だ。 息を吹き返したかのようにオーナーシェフが数時間もの間座り込んでいたパイプ椅子からやっと腰を持ち上げたのを見たサブシェフは安堵の表情を見せた。 因みに2人は魔学校時代からの同期だったりしたので気軽に何でも話せる仲であった。ロリュー「ナルちゃん、もう大丈夫?」ナルリス「悪かった・・・、何とかな。すまんが、水を飲んで来て良いか?」 ナルリスの台詞を予期していたのか、ロリューの手には水の入ったグラスが。ナルリスはグラスを受け取ると一気に煽った。ナルリス「サンキュー。よし・・、やるか・・・。」 予約が入っている上客の来店に向けて提供する料理の準備を確認した、寸胴の中のフォン・ド・ヴォーとデミグラスソースが減って・・・、いないどころか増えている。おかしい、この2つはこの店の味の決め手で門外不出にしているし隠し味は誰にも言っていない。 ナルリスは恐る恐る味見してみると自分が作った物と全くもって一緒で驚いていた、ただ大量の寸胴鍋が不自然に散らばっていたのが気になったが今はそれどころじゃない。 調理場に復帰していたオーナーシェフを見かけた副店長の真希子が、散らばっていた寸胴を全て『アイテムボックス』に押し込んで目線を低く保ちながら近づいてきた。真希子「ああ・・・、ナル君ちょっといい?」ナルリス「真希子さん・・・、そんな体勢でどうされました?」真希子「フォンとデミグラスなんだけどね・・・。ごめんなさい、ランチで無くなりかけてたから私が『複製』したのよ。気を悪くしちゃったかな・・・。」ナルリス「いえいえ・・・、私の方こそ申し訳ありません。助かりましたよ、作るの結構時間がかかるのでもし無くなっていたら予約に間に合わないかと。ありがとうございます。」真希子「それを聞いて安心したよ、ブイヨンはいつも通りで大丈夫かい?」 実は以前、たまたま真希子が賄い用に持って来たブイヨンの香りに誘われ一口啜った際にその味に惚れこんだらしく、それ以来ブイヨンだけは真希子に任せていたのだ。 どれだけナルリスが頭を下げて頼み込んでも頑なに真希子が製法を教えないので、この店の料理全てが真希子無しでは成り立
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-01
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4. 「異世界ほのぼの日記2」77

-77 思い出に浸る- ナルリスはいちレストランのオーナーシェフとしての対応をしっかりしようとしたが、相手は同級生で昔からの友人だからと制止した。どちらかと言うと久々の再会を懐かしんで欲しいというのが本望だとの事。 この日予約してきた上客にとって目の前の吸血鬼は特別な存在であった、ただのシェフではなく「命の恩人」といったところか、今でも上客はナルリスに感謝していた。 それが故に硬くならずにフランクにして欲しいと言った。上客「あの時の料理、また食べに来たぜ。」ナルリス「他にも料理はあるのに、いつもあれだな。」 メニューを見る事無く、いつも同じ料理と赤ワインを頼む上客は他の物を頼む気はさらさら無かった。いつも同じものを頼み「あの日」を懐かしむ、ナルリスの店に来るのは乗客にとって特別な意味を持っていた。ナルリス「待ってろ、いつもの美味いやつ作って来てやるからな。」上客「ああ・・・。」 この上客に出す料理は、普段のメニューには載せていない特別な物で2人の思い出の味だ。この料理に救われた、この料理があったから頑張れる。そして、今がある。 ナルリスは調理場に戻ると、ハンバーグを焼き色が付く程度まで焼いた後にデミグラスソースの入った土鍋で煮込み出した。 店中に普段から広がっているデミグラスソースの香りが濃くなってきた、上客はいつもこれは料理の出来上がりが近づくサインだと語っていた。 熱々の土鍋で提供するが故の鍋敷きをミーレンが什器と共に持って来た、これもいつもの事なので上客は慣れているかのようにテーブルの真ん中を空けている。 何故か2人分の小皿を一緒に持って来る、これもいつもの事。ただ不自然なこの行動は2人の関係を知るミーレンの心遣いからだった。 土鍋の中でデミグラスソースがぐつぐつと湧き始める、いよいよだと感じたナルリスは鍋掴みを手にはめて提供の準備に取り掛かった。と言ってもまだ提供はしない、チーズをハンバーグの上に乗せてオーブンで焼くのがこの料理の最終工程。 チーズが溶けたら完成、提供へと移る。熱々となった土鍋を両手でしっかりと掴み上客の下へと運んで行く。 ナルリスも上客も自然と柔らかな笑顔がこぼれていた、2人にとっての思い出の味。またこれもいつも通り、デミグラスソースの香りと共に蘇る当時の思い出に浸る。 この客が来る時は他の客は誰1人来な
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-01
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4. 「異世界ほのぼの日記2」78

-78 過去の悪戯と新たな悪戯- 2人が遠い昔の思い出に浸りながらハンバーグを味わっている場面を遠くから見ている者がいた、同級生でサブシェフのロリューだ。 有する資格や知識をフル活用すべくサブシェフとソムリエを兼任していたケンタウロスは、特別料理に合う赤ワインを選んで2人の下へと運んで行った。 その様子はレストランのサブシェフとしてと言うより、ただただ同級生の1人として。ロリュー「おいおい、俺を忘れていたりして無いだろうな。ほら、ぴったりなワインを持って来たぞ。」 3人分持参してきたグラスを1本ずつ、上客であるかつての同級生とオーナーシェフに手渡してワインを注いでいく。 ロラーシュはロリューからワインボトルを受け取ると、サブシェフにグラスを手渡してワインを注いだ。ロラーシュ「何を言う、ここにはお前にも会いに来ているに決まっているだろうが。」ナルリス「ほらよ、お前も食えよ。」 吸血鬼は小皿に小さく切ったハンバーグを乗せると、デミグラスソースを少しかけてケンタウロスに手渡した。 ロリューはハンバーグを1口食べると昔を懐かしむ様に噛みしめていた、実は例のカフェでロラーシュが食べた最初の煮込みハンバーグはナルリスとロリューの合作であった。 勿論、大臣はロリューにも感謝していた。ロリューもナルリスと共にロラーシュの為、カフェの店主に頭を下げていた。 2人に非常に感謝していた大臣は涙ぐみながらハンバーグを味わっていた、2人に救われたミスリス・リザードはそれから真面目に働き今でもダンラルタ国王であるデカルトの下で大臣職を務めている。ナルリス「何泣いてんだよ、再会に乾杯しようぜ。」 ワインで満たされたグラスを改めて手渡し、3人での乾杯を促した。 少し顔を赤らめながら3人は学生時代を思い出していた、そんな3人の座るテーブル席に店の副店長が近づいて来た。貸切にしているが故に暇になってしまったのだろうか。 そう思っていると、副店長は空いていた席に座った。どうやら3人の思い出話に興味を持ったらしい、手にはチーズが数切れ乗った皿が。真希子「やけに楽しそうにしているじゃないか、私にも思い出話をきかせておくれな。」ナルリス「そうですね・・・、今もそうですが私達は3人共悪戯が大好きでした。」 魔学校時代、同じゼミに所属していた3人は教授の所有する乗用車の運転
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-01
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