All Chapters of (改訂版)夜勤族の妄想物語: Chapter 261 - Chapter 270

312 Chapters

4. 「異世界ほのぼの日記2」79

-79 お供えと三つ巴- 同級生3人が昔を懐かしみ、美味い料理と昔話、そして悪戯を肴にワインを酌み交わしたその夜の事だった。街の中心地に聳え立つ高層ビルのオーナーである倉下好美は王宮での夜勤に備え準備していた。 好美が相も変わらず弁当を作り忘れていたので恒例と言った様子で余り物を詰めた弁当をデルアが手渡す、夜間の営業に影響しなければ良いのだが。 今日は火曜日だ、という事は恒例の「あの日」なのだ。ナルリス・ダルランの妻、ダルラン光からいつもの香り高き「お供え物(2日目のカレー)」を受け取ると大切に『アイテムボックス』へ入れ、早速夜勤へと向かった。 王宮へ到着し、挨拶を交わした好美には以前から気になっている事が1点。好美「ニコフさん、鍋って誰が光さんに返しているんですか?」ニコフ「申し訳ないのですが、私も存じ上げないのです。私達の休みの曜日に返却されているのでしょう。」 すると、光ご本人から『念話』が。光(念話)「その鍋ね、ここだけの話だけどいつも最後に食べてるエラノダさんがお忍びで返しに来てんのよ。」好美(念話)「エラノダさんって、王様の?!」光(念話)「うん、いくらあたしが取りに行くって言っても聞かなくて。これ、ニコフさんには聞こえてない様にしているから内緒ね。」 『念話』で話していた間、見た目ではずっと沈黙していた好美の様子を心配そうに将軍長が伺っていた。ニコフ「どうかされましたか?『念話』か何かで?」 好美は咄嗟に胡麻化した。好美「ちょっと、エリューの事で。店と言うか企業秘密なのでお気になさらず。」ニコフ「オーナーさんも大変ですね、お察しいたします。」 すると、聞き慣れた声が控室に響き渡った。「コノミーマート」のナイトマネージャーを兼任するサラマンダー、エリュー本人だ。エリュー「おはようございます。」好美「おはようございます。」 好美は挨拶の後、即座に空気を読む様にとエリューに『念話』を飛ばした。ニコフ「おはようございます、丁度今貴女の話をしていたのですよ。」エリュー「好美ちゃん、えっと・・・、もしかしたら昨日の話?」好美「そうそう、昨日皆で余った唐揚げを馬鹿食いした話・・・。」エリュー「ああ・・・、揚げすぎちゃったあれね。本当にごめんなさい。」好美「いえいえ、美味しかったからいいのよ。」 そう言った会話を交わ
last updateLast Updated : 2025-07-01
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4. 「異世界ほのぼの日記2」80

-80 王女の力と騒動- 妹達を加えた三つ巴の三姉妹が「お供え物(2日目のカレー)」に夢中になっている中、その光景に見入って未だ感動が冷めていないサラマンダーは目をうるうるとさせて思わず素が出てしまっていた。エリュー「おらぁ500年程生ぎでぎだが・・・、んな貴重な光景見る事出来だんは初めでだ。」好美「あんたその訛り・・・、何処の出身なの。」 好美がこれからエリューと王宮やコノミーマートでちゃんと会話や仕事が出来るか不安になっている中、瞬時に冷静に戻ったエリューは恐る恐る姉妹に質問した。エリュー「あの・・・、御三方は頻繁に会われているのですか?」トゥーチ「いや・・・、俺達3人が揃ったのは久々なんじゃねぇの?」 次女はカレーに夢中だった妹を軽く注意しながら思い出した。セリー「トゥーチ、はしたないですわよ。そんなに頬張って神らしくない、お姉様それにしてもこうやって私達姉妹が揃って食事するのは15年振りでしょうね。」クォーツ「ほう(おう)・・・、ほうはっはは(そうだったか)?」セリー「お姉様まで!!皆様、申し訳ございません。」 やけに腰の低い次女の横で好美の胸中では別の問題が発覚しかけていた、誰も次女と三女までが天界から降下して来る事を予想していたはずがない。 儀式を行ったエリューすら分からなかったのだ、ニコフや好美は勿論、カレーを用意した光本人までも。という事は・・・。好美「ニコフさん・・・、まずくないですか?」ニコフ「好美さん・・・、正直言って私も同感です。」 妹達の出現により、いつも通りの量だけが用意されていたカレーがいつもの倍の勢いで減っていく様子を見て2人は顔を蒼白させていた。そう、全然足らないのだ。 好美はさり気なく鍋の中を見てより一層顔を蒼白させた、当初たっぷりのカレーで満たされていた鍋の底が見え始めている。不意に思い出したのだが、このダルラン家のカレーは王と王女も後ほど食べる物でもあった。 時間は午前1:30、正直言って光が起きている様には思えない。念の為、『念話』を飛ばそうとしたその時・・・。女性「お・・・、お姉ちゃんが3人もいる・・・!!」 噂をすれば影というやつか、厨房の出入口にお馴染みの部屋着姿をしたペプリ王女の姿が。初めての光景に震えが止まらずにいる、そんな王女に当然の様に三女が突っかかった。トゥーチ「おう
last updateLast Updated : 2025-07-01
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4. 「異世界ほのぼの日記2」81

-81 代替え- ニコフが調理を行っている寸胴鍋を良い匂いに誘われた好美がこっそりと覗くと、食欲を湧かせる匂いの正体はバターや小麦粉で炒めていた牛肉や玉ねぎ、そして薄めに刻んだマッシュルームであった。 暫く炒めていく内に玉ねぎがしんなりしていき、牛肉に火が通る。寸胴鍋に新鮮なトマトから手作りした特製のトマトピューレ等を入れて煮込んでいった。 好美と同様に良い匂いに誘われた王女が将軍長にやたら丁寧な口調で尋ねた。ペプリ「何をされていますの?」ニコフ「王女様、突然の勝手な行動お許しください。空腹でどうしても食べたくなっちゃいまして。」ペプリ「それは構いませんが、何を作っておられるのかしら?」エリュー「随分と優しい匂いですね。」ニコフ「早くに両親を亡くした私の為に、親父替わりだったかつての将軍長が作って下さった思い出の料理です。」 太陽の光をたっぷり浴びて綺麗な赤色に育った新鮮なトマトが沢山採れたとダルラン光から聞き、妻である鳥獣人(ホークマン)のキェルダと家庭菜園に向かった際に「是非に」とお裾分けを沢山貰っていた事を思い出したのだ。 本当は湯むきサラダや冷やしトマトにする予定だったのだが、「王様や王女様の為なら是非」と城に持って来ていた。ペプリ「かつての将軍長ってもしかして御厨さんの事ですか?」ニコフ「そうです、白飯を沢山食べたいとリクエストした際に初めて教えてくれた料理です。先程とは違って甘い物になるので、少し違和感がございますが宜しければ王女様もいかがでしょうか。」 厨房内に甘い匂いが一気に広がり、三つ巴の三姉妹や好美の腹の虫が鳴る音が響き渡った。匂いの正体は有名な洋食が日本で訛った事や、牛肉や野菜のごった煮を作った大手書店の創業者の名前など由来が数説あるあの有名な料理。好美「もしかしてハヤシライスですか?」ニコフ「好美さんはご存知でしたか、先程とは違って全くスパイシーではないのですが良かったら味見をお願いできませんでしょうか。」ペプリ「あの・・・、私はほったらかしですか?」 ペプリだけではなく、先程までお供え物のカレーを腹いっぱい食べていたはずの古龍達までもが涎を垂らしながら寸胴鍋に釘付けになっていた。クォーツ「おい・・・、俺達も食って良いか?」セリー「何を仰っていますの?お姉様は毎週こちらでカレーを食べているのでしょう?少
last updateLast Updated : 2025-07-06
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4. 「異世界ほのぼの日記2」82

-82 あの人- ニコフが作ったハヤシライスの香りがそこら中に広がる厨房の出入口からやんわりとだが誰かの視線を感じた好美、少し怖くなりながらも目線を刺さる視線の方向にやるとそこにいたのは見覚えのある女性に少し似ていた。 好美はただ人違いだと失礼だからと一先ず軽く会釈を交わし食事へと戻った、すると出入口の方向から声が。女性「ペプちゃん、先程から良い香りがすると思ったら何を食べているのかね。どれ、私も1杯もらおうか。」ペプリ「お母・・・、様!!」ニコフ「王妃様、これはこれは・・・。こちらはあくまで家庭料理ですので王妃様のお口には合わないかと思われますが。」王妃「何を言っているの、私の舌には豪華な料理より家庭的な物の方が合う事を言ってなかったかい?」 聞き覚えのある声や口調なのだが、見た目が全くもって違うので好美は話を聞き流した。未だに出入口から覗き込む王妃は好美の方を向いて話しかけた。王妃「それに好美ちゃんだって冷たいじゃないか、せめて一言あっても良いと思うんだけど。」好美「王妃様恐れ入りますが、どこかでお会いしましたでしょうか?」王妃「今更何言ってんだい、毎日会っているでしょう。」好美「あの私・・・、王妃様の御顔を拝見させて頂いたのは初めてなのですが。」王妃「あ・・・、そうか。ごめんね、この顔じゃ好美ちゃんでも分からないか。」 すると王妃は魔力で軽くメイクを施し、部屋着であるバスローブから着替えた。まさかのその姿に驚きを隠せない好美。好美「嘘でしょ・・・、レーゼじゃない!!」 そう、カフェのウェイトレスで「コノミーマート」に納品を行うリッチのレーゼその人だったのだ。自ら軽トラを運転しておにぎりやサンドイッチを毎日納品しているあのレーゼがまさかのこの国の王妃。 好美は今までの自分が失礼な事をしでかしていないか必死に思い出そうとしていた、その様子から心境を察した王妃は優しく語り掛けた。レーゼ「騙すような事して悪かったね、街にいる人たちの様子を同じ目線で伺いたかったからカフェのオーナーに無理言って働かせて貰ってたのさ。」好美「本当にごめんなさい、申し訳ありません、いや申し訳ございません!!」レーゼ「気にしないでよ、あたしも堅苦しいのは苦手だしこれからも一緒に仕事したいから今まで通りさせて頂戴な。」好美「う・・・、うん。」 流石に抵
last updateLast Updated : 2025-07-06
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4. 「異世界ほのぼの日記2」83

-83 姉の為- 普段共に働く身近な人の超が付く程の意外な事実を知った1晩の夜勤が明けた朝7:00、好美はいつも通り自らが所有するビルの1階部分に店の様子を伺う為『瞬間移動』した。 「コノミーマート」の前にはいつも通りパンや弁当といった商品を搬入するトラックが駐車しており、また今までと変わらず隣には王妃の・・・、いやカフェのいちウェイトレスであるレーゼの軽トラックがやって来ていた。好美「おはようございます王・・・、いやレーゼ。」レーゼ「おはよう、晩に見たのは夢だったって事にしておいてね。一応、秘密にしているから。」 本人曰く、王妃たるもの常に国民にとっての「高嶺の花」であるべきであるらしく、街の住民に混じって働くなど元々もっての外だと先代の王妃に言われ続けていたのだとか。 一応、旦那であるエラノダ国王含め王族の許可は取っているらしいのだがいつも街に出る時に執事が厳しい目線を向けて来るそうだ。 王宮でいつも国王が執事を押さえつける場面を想像してどこかシュールさを感じた好美。 そんな中でこれから通学だろうか、店舗部分奥にあるエレベーターから魔学校の制服を着た1人の女の子が降りて来た。 拉麺屋「暴徒の鱗」の調理場から大きい弁当箱を持った女性がその子に近付く、どうやらナイトマネージャーのピューアと女子高生のメラの人魚姉妹らしい。 姉のピューアは店長のイャンダ、そして副店長のデルアに仕事の引継ぎを行った後にエレベーターで自宅へ帰っていった。この後控える料理教室の準備でもするのだろうか。 好美は別の事を感じていた、魔学校に向かう最初のバスのまで乗車時間までまだだいぶ早い。ダルラン家のガルナスと待ち合わせてからいくつもりなのだろうかと思っていると、人魚姉妹の妹が手を振りながら好美に近付いて来た。メラ「好美さーん、おはようございます!!」好美「おはよう、まだバスまでは早くない?」メラ「そうなんです、実は好美さんに相談がありまして。」 こんな事は初めてだ、ただ先程会っていた自らの姉では駄目なのだろうか。スマホで時間を確認しつつ、丁度すぐそばにいた店長の許可を得て「暴徒の鱗」の調理場の奥にある小部屋へと連れて行った。 小部屋の中は静けさに包まれ、水道の蛇口から水が滴る音が聞こえて来ていた。先程イャンダがまだ今日は部屋を使っていないと言っていたから締めて
last updateLast Updated : 2025-07-06
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4. 「異世界ほのぼの日記2」84

-84 サプライズの為に- メラが一の店でアルバイトを始めてから十数日が経過し、その日はピューアがいる「暴徒の鱗」での夜営業を手伝う日となっていた。好美「いらっしゃい、お好きなお席へどうぞ。」 相も変わらず赤いバンダナと黒いTシャツの姿での拉麺屋の仕事が板について来た好美、ただ深夜に店に来る客は居酒屋として利用する人達が多く見受けられた。 顔を赤らめた客が〆としてラーメンを頼む人もちらほらいるからこの店の本来の姿は保たれている気がする。 そんな中、深夜3:00頃に客足が落ち着き少し暇になった店の調理場で叉焼を切りながらピューアが切り出した。ピューア「好美ちゃん、ちょっと良いかな?」好美「どうした?」ピューア「最近メラが家に帰るのが遅い気がするのよ、私に何か隠しているのかな。」 目の前の人魚は妹が一の経営する「暴徒の鱗」の1号店でアルバイトを始めた事を知らない、サプライズはまだ執行されていない様だ。好美「ごめん、私も最近会っていないから何も知らないの。」 嘘だ、一の店でしっかり働けているかちょこちょこ様子を見に行っているのだ。それに階は違えど同じ屋根の下に住んでいるから必ずしも全くもって会わないとは限らない。 この事は光も知っていた、実はメラがアルバイトを始めてから数日後に娘のガルナスが一緒に働きたいと申し出て陸上部が休みの日にお小遣い稼ぎとして働いていた。光「社会勉強になって良い事じゃない、それに親戚の店だからもしもの時にも安心して娘達を預ける事が出来るし。」 光もメラのサプライズに協力していた、しかしいつまで騙すような事をしなければいけないのだろうか。 好美はピューアの誕生日を知らなかった、さり気なく聞こうかと思ったがどうやって切り出せば良いのか分からない。好美は正直頭を悩ませていた、ただ今はいち拉麵屋のオーナーとしての仕事を全うすべきだとも思っていた。 そんな中、店の固定電話に一件の着信があった。その客によればどうやら店を予約したいようなのだが、どう考えても聞き覚えのある声。客(電話)「明後日の19:00に2名で予約したいのですが。」好美「分かりました、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか。」客(電話)「えっと・・・、チェ・・・。いやダルランでお願いします。」 相手の事情を察した好美は少し笑いながら予約を承った、日にち
last updateLast Updated : 2025-07-06
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4. 「異世界ほのぼの日記2」85

-85 準備開始- 翌々日、そうピューアの誕生日。夜勤を終えた好美は今夜の為に早めに寝ておく事にした。 これは前日の話だが、ケーキの件をイャンダに伝えると乗り気になった店長は店を貸し切りにして祝おうと申し出た、店の関係者総出で祝おうと言うのだ。 メラの希望通りケーキは本人の手作りにする事になった、材料は本人がバイト代で買うと言っていたが折角のお祝いだからと店の方からも半額を出す事になった。勿論好美も了承済みだ。 ケーキは店の厨房の奥の小部屋で作る事になった、しかし1つ懸念すべきことが。好美「イャンダ、ケーキなんか作れんの?」 今は拉麵屋の店長だが、正直言って元軍人のイャンダにお菓子のイメージがない。しかし目の前の元竜将軍(ドラグーン)の目は自信に満ち溢れていた。イャンダ「おいおい、一応元厨房担当だぞ。ケーキなんて朝飯前だっての。」 その時、小部屋の外から2人の会話を聞いていた副店長のデルアが声を掛けて来た。デルア「まさかと思うが、いつものロールケーキを作るつもりか?」好美「いつものロールケーキだって?」 そう、当時バルファイ王国で厨房を任されていたイャンダは王族のおやつ当番になった時に必ず同じロールケーキを作っていた。 それを聞いた好美は早速パルライに『念話』で詳しく聞く事にした。好美(念話)「パルライさん、イャンダってロールケーキが得意だったの?」パルライ(念話)「美味しいかった事は美味しかったけど、正直毎回だったから飽きちゃってたんだよね。まぁ、味は保証するよ。」 一応好美が確証を得たのでイャンダが得意としていたロールケーキを作る事になった、その事を聞いたメラは嬉しそうな笑顔を見せてアルバイトへと向かった。 翌日、遂にその日が来た。この日は学校が昼までだったのでメラは早速マンションに帰ると1階の店舗部分へと向かった。気合を入れ、エプロンを締めた人魚は早速イャンダの指導の下でロールケーキ作りを始めた。 メラにはセンスがあったらしく、作業はてきぱきと行われたので思った以上に早く生地が出来上がったので早速焼成に入る。イャンダ「良い具合に焼きあがったな、俺より上手いんじゃねぇか?どれ、ちょっと1口・・・。」デルア「やめとけよ、ちゃんとそのままの形で置いておこうぜ。」イャンダ「冗談だよ、それにクリームも何も乗せてないんだぜ。ほら、
last updateLast Updated : 2025-07-06
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4. 「異世界ほのぼの日記2」86

-86 貸切の宴- 好美の『瞬間移動』で店舗部分へと移動してから3分程経過したが今日の主人公は未だに状況を把握しきれずにいた、落ち着いて『人化』したのはいいものの店が見慣れない状態に変わっているので少しの焦りをも隠しきれていない。ピューア「あ・・・、あの・・・、これ・・・。これは夢なのかな・・・。」 寝ぼけている事も手伝い、ピューアはまだまだ夢の中だと勘違いしている。普段はシフトの関係で顔を合わせる事の無いメンバーまで集まっているので訳が分からなくなっていた。 そろそろ本人に今いる場所が夢の世界ではなく現実世界である事を認識させてあげる必要があるようだと皆が空気を読むと、一斉にクラッカーの紐を手に取った。オーナーの好美が代表して音頭を取る。好美「せーの・・・。」 皆が紐を引くと想像以上に大きな爆発音と同時に紙紐が飛び出した。全員「誕生日おめでとう、チェルドナイトマネージャー!!」 貸切にしているが故に皆が顔見知りで心から主役の人魚をお祝いした、お祝いと優しさの気持ちの籠った拍手がそこら中から鳴り響いた。 その拍手喝采のお陰でやっとピューアは目を覚ました、そして目の前のメンバー全員が自分の為に集まってくれた事に心から感謝していた。ピューア「あ・・・、ありがとうございます。皆さんにどうお礼を言ったらいいのか。」イャンダ「おいおい、礼は俺達にじゃなくて言い出しっぺに言いな。」好美「本当、本人が内緒にしろって言うからずっと隠すの大変だったのよ。」 ピューアが辺りを見回すと目線の先で妹が大きな花束を持って待ち構えていた、その後ろには決して大きいとも立派とも言えないが苦労して作ったと思われる誕生日ケーキが用意されていた。具材としてピューアが好きなフルーツが沢山飾りつけされている。しかし好美は少し違和感を覚えていた、確か「ロールケーキ」と言っていたはずだが目の前に鎮座しているのはどう見ても「ホールケーキ」だ。聞き間違いだったのだろうか、でも気にする事も無いかとそのままにしておいた。 好美の心を読み取ったのか、イャンダが小声で説明した。イャンダ「元々横長に焼けていたケーキを切り分けて、ピューアちゃんが大好きなフルーツを沢山盛れる様に重ねたんだよ。」好美「ふふ・・・、悪くないじゃない。」 その瞬間、店舗全体の電灯が消えて皆が驚いていた。停電だろうか
last updateLast Updated : 2025-07-08
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4. 「異世界ほのぼの日記2」87

-87 一家からの贈り物- 宴の主人公は大好物の中華料理を肴にビールをどんどん吞んでいた、乾杯してから数分した後にお祝いに参加しようと元々その場にいた渚以外のダルラン家のメンバーが大きな皿を持ってやって来た。好美「光さん、いらっしゃい。その大きな皿は何ですか?」光「実はパーティーにぴったりな中華料理を一応手配してきたんだけどね、やっぱり焼きたてが良いかなと思って敢えて焼く前の物を持って来たのよ。オーブンって借りても良い?」 好美は調理場にある業務用のオーブンへと案内した、まだ焼く前のその料理の姿を見て驚きを隠せずにいる。 蓋を開けた中には・・・、土の塊が。好美「あの・・・、おままごとでもするんですか?」光「何言ってんの、これが極上の料理になるんじゃない。」好美「?」 未だに中身が想像できない好美は少し嫌がっていたが、光の事は信用しているので言われた通りにオーブンへと入れた。 次に油を中華鍋で熱して潰した米を揚げていく、その横で中華スープで作ったうま煮に片栗粉を加えていく。 瞬く間に餡が出来ていくと出来立てのおこげと別の皿に入れて提供し始めた、サクサクのおこげと餡がピッタリで美味しい料理を今日の主役の下に。ピューア「餡掛けおこげ、丁度食べたかったんです。紹興酒があれば良かったんですが。」好美「言うと思った、用意しているよ。」 普段この店には紹興酒を置いていなかったのだが、今日は特別に用意した。 これは好美から中華料理が好きなピューアへの誕生日プレゼントであった、しかもただの紹興酒ではない。ピューア「これ、「永昌源の古越龍山陳年10年」じゃない。高かったでしょ。」好美「思ったより安かったし、丁度箱入りがあったからネットで買ったの。」ピューア「凄く嬉しいよ、ありがとう。料理にも合うね。」 少し離れた所から様子を伺っていたナルリス・ダルランが恐る恐る近づいて来た、手にはビールの入った緑色の小瓶を持っていた。ナルリス「おめでとう、ただ俺のプレゼント出し辛くなっちゃったね。」ピューア「ありがとうございます、何を持って来て下さったんですか?」 美味しい本格中華にピッタリなあのビールをケースで取り寄せていた様だ。ピューア「青島ビールじゃないですか、頂いても良いですか?」ナルリス「勿論です、お嬢様。宜しければ、私の娘からお酌をさせて頂
last updateLast Updated : 2025-07-08
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4. 「異世界ほのぼの日記2」88

-88 想定外のとんでもない事実- 皆の酒が進む中、「暴徒の鱗」の端でとある出来事が起こった。事件の発覚のきっかけは気を利かせた光の行動だった。 10分程前に遡るのだが、光がジョッキを片手に主役のピューアに一言聞いた。光「何かご飯もの欲しくない?」ピューア「そうですね、石焼ビビンパ的なやつ食べたいですね。」 実はその数十分前から七輪を取り出してピューアを取り囲むように数人で焼き肉をし始めていたのだ、ただタレ代わりに皆豆板醤のみという変わった状態だったが皆気にしていなかった。塩だれという案もあったのだが、今日の主役の人魚はとことん激辛を貫きたいと聞かなかったらしい。好美「作って来ましょうか、確か石焼鍋あったと思うので。」 偶々なのだが新商品として叉焼とスープ、また醤油ダレを使った「石焼鍋チャーハン」と渚が開発した「辛辛焼きそば」をベースにした「辛辛チャーハン」を開発しようかと考えていたのでそれ用に購入しておいた石焼鍋があったのだ。 その石焼鍋を取り出して、ご飯を・・・ん?!何?!炊飯器が空っぽだと?!好美「えーーーーーーーーー?!嘘でしょーーーーーーーー?!」 厨房中に悲鳴を響かせたオーナーの記憶が正しければ最低でも5升は炊いていたはずだ、しかし目の前の炊飯器は明らかにすっからかん・・・。 「そう言えば」と思い出した理由となる事実が。そう、あのガルナスとメラが揃ってしまっているのだ。 しかも恰好のおかずとなる激辛中華が大量に、特に麻婆豆腐なんて最高のおかずになるからご飯が無くなるの想定の範囲・・・外だった!! 5升あれば大丈夫だろうと思っていたのに2人でペロリと平らげてしまったらしい、2人の胃袋はブラックホールなのだろうか。光「ごめん、2人抑えるの忘れてたわ。それどころか多分私やらかしたわ。」好美「ど・・・、どうやらかしたんですか?」 数分前、酒が進む中、給仕役として酒を各々の席に運んでいた女子高生達2人に光が一声かけた。光「2人共お疲れ様、もう大丈夫よ。ほら、ご飯沢山炊いてるらしいから「何日か食べなくてもいい位に食べちゃいなさい」。」 光の言葉を聞いた2人は喜び勇んで炊飯器に食らいつく、大量の中華料理に焼肉と最高のおかずがあったのでご飯が進まない訳が無かった。好美「光さん、本当にやらかしているじゃないですか!!どうするんですか
last updateLast Updated : 2025-07-08
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