-㊵ 死者からの手紙- 女子2人が新郎新婦を祝福する中、守は辺りを見廻していた。その様子を見て不審に思った桃が香奈子に分からない様に小声で尋ねた。桃(小声で)「さっきから何やってんのよ、お祝いする気ある訳?」守(小声で)「結愛がいないんだよ、招待状はちゃんと渡したはずなのにな・・・。」 ずっと社長を探す守の下に式場の従業員が近づいて来た。従業員「あの・・・、恐れ入りますが宝田 守様で宜しいでしょうか。」守「はい、そうですが何か・・・。」従業員「貝塚財閥の社長様からお手紙を預かっているのですが。」守「結愛から俺に?分かりました、受け取ります。」 守が白い封筒を2通受け取ると従業員はその場を去った、手紙を見てみると1通は香奈子宛でもう1通は守宛らしい。守「これは祝電で読んでもらった方が良いんじゃないかな・・・。」 そう思った守は先程の従業員を探した、しかしどこに行っても見つからなかったので受付に手渡した。受付「お預かりいたします、宝田様のお名前でお預かりすれば宜しいでしょうか?」守「「貝塚結愛」でお願いします。」受付「あの貝塚財閥の結愛社長の事でしょうか?」守「そうですけど、何かありましたか?」受付「失礼ですが、貝塚社長は先日竜巻に巻き込まれて亡くなったとお伺いしたのですが勘違いでしたかね?」守「いや・・・、初めて聞きましたけど。」受付「そうですか・・・、ではお預かり致します。」 守は自分宛の手紙を懐にしまって式場に戻った、教会では新郎新婦が誓いの言葉を牧師の後に復唱しようとする直前だった。 一番の見せ場に間に合った守は音を立てる事無く桃の横に座った、一息ついて親族の席の方を見ると光江と隆彦が涙を流して震えていた。牧師「今この2人は神の下で夫婦となろうとしています、新郎小比類巻裕孝、貴方は目の前の女性を妻とし、病める時も健やかなる時も愛する事を誓いますか?」 どうやらこの日は光江に気遣って母方の姓を名乗っている様だ。裕孝「はい、誓います。」牧師「宜しい、新婦吉馬香奈子、貴女は目の前の男性を夫とし、病める時も健やかなる時も愛する事を誓いますか?」 香奈子は産みの父である隆彦と再会して以来ずっと「吉馬」の姓を名乗っている。牧師「さぁ、皆さんシャッターチャンスですよ!!Then, you kiss to the bride
Last Updated : 2025-11-24 Read more