-⑲ 罪のきっかけ- 突然現れたただの町中華の亭主が自らの目の前に座り、警察が積み上げた大量の資料を読み始めた事に多少の違和感を覚えた犯人は演技ではないか、何かの冗談では無いかと疑い始めた。犯人「あんた、誰なんだよ。何処からどう見ても警察の人間に見えないんだが。」龍太郎「さっき言っただろう、警視総監だって。それより冷めるから早く食えよ。」 先程から自らの事を警視総監だと言い張る町中華の店主・龍太郎は自分が資料を見ている間に料理を食べて栄養を付ける様にと伝えた。犯人「食って良いのかよ。」龍太郎「当たり前だろ、でないとこんな事言うかよ。」 確かにそうだ、犯人に食うなと言うなら、増してや自分も食べないと言うなら誰のための料理なのだろうか。犯人「でもよ、こんな時って大体カツ丼だろ?」 普段から刑事ドラマ等を見ているが故の先入観からだろうか、犯人は自らの持つ知識を持ちだした。龍太郎「うちは家族皆で切り盛りしている中華居酒屋だ、俺はずっと中国で料理の修業をしていたんだぞ、カツ丼なんてある訳がないだろう。」犯人「だからって町中華の店主が取り調べってのはおかしくねぇか?」 何処からどう考えても違和感があり過ぎる、目の前に座っているのはスーツを着ている刑事ではなくTシャツ姿の町中華の店主だ。犯人「証拠はあるのかよ、あんたが警視総監だっていう証拠はよ。」龍太郎「そうだな・・・、ちょっと待てよ・・・。」 龍太郎は料理を入れていた岡持の中を探り始めた、しかし証拠になりそうな物はないので料理代の精算用に持っていたポーチの中を探り始めた。奥底に目的の物を見つけたらしくそれを手で泥を掘り出す様に取り出して犯人の方に投げた、それにより炒飯の盛られた皿が落ちかけたので犯人は必死に止めた。犯人「危ねぇな・・・、折角の料理が勿体なくなるだろうが!!」龍太郎「お前は俺が作った町中華の安っぽい料理を大事にしてくれる奴なんだな、ただそれを見てみろよ。」 龍太郎は自らが投げた物を指差した。龍太郎「それを見ても認めねぇか?」 犯人は龍太郎が投げた物を改めて見た、警察手帳だ。犯人「見ても良いのかよ。」龍太郎「許す、開けてみな。」 犯人は恐る恐る警察手帳を開けてみた、特殊な制服を着た龍太郎の写真の下に「警視総監 松戸龍太郎」と書かれていた。龍太郎「それで分かったかよ、
Last Updated : 2025-11-10 Read more