夜が明けるとまた僕らは山登りを開始する。アレンさんから聞いていた通り、襲い掛かってくる魔物の数も増えてきていた。「エアカッター!」「……そこ」前ではフェリスさんが、後ろではアカリが次々に魔物を屠っていく。アレンさんは高みの見物で、僕に関してはもはや傍観者でしかない。「目を離しては駄目よ。魔物の動きをしっかり覚えておきなさい」「はい」ソフィアさんに言われるがまま僕は二人の戦闘を眺める。魔物が死角から襲い掛かってきても危なげなく倒していた。どうやって死角への攻撃を躱しているのかはどれだけ見ていても分からなかった。ソフィアさんに聞くと全然参考にならない答えしか返ってこない。「死角の敵への対処?そんなの経験がものをいうのよ」この調子である。何の参考にもならない。それができたら苦労しない。順調に山を登っていくとやがて少し開けた場所へと出た。やっと腰を下ろして休憩ができる。そう思った矢先、隣にいるソフィアさんが手で僕が前に行かないよう押さえた。「え?」「気付かないの?いるのよそこに」「何がですか?」良く見てみればアレンさん達も戦闘態勢を取っていた。しかし僕の目にはただ広いだけの空間にしか見えない。「えっと……何がいるんですか?」「プリズムゴーレム。あのクロウリーが生み出したゴーレムさ。日本での言い方に変えるなら自動迎撃システムってやつかな」なるほど、分かりやすい。となると僕らは歓迎されていないって事だろうか。「視認できない透明な障壁で身を覆っていてね。生半可な冒険者では倒す事はできない仕様になっているんだ」「恐ろしいですね……」「まあボクらからすれば問題はないけど、今まで出会ってきた魔物に比べたら遥かに危険だからカナタは絶対にソフィアの側を離れないようにね」見えない脅威なのだから、
Last Updated : 2025-04-08 Read more