「大丈夫よ、晧司さん。少し頭痛がしただけ」 彼の胸に手を当てて、落ち着かせながら説明する。「風邪をうつしてしまったかな」「それは、まあ……一緒にいたのであり得るかも」 風邪による頭痛とは違うと思いながらも、まだまだ本調子ではない彼に深刻なことを考えさせたくはなくて、話を合わせた。「何ならあとで、あのお薬を私も飲んでみます」「……一発で効く。それは保証する」 唇を歪めた晧司さんの顔がおかしくて、かわいくて、自然に笑い声が零れた。「ごめんなさい。ふふっ」 空気が緩んでいく。彼は私の頬に手を当て、耳を撫でた。「いいんだ。私はとても好きなんだよ。君のその笑い声がね」 好きという言葉にドキッとした。一瞬ごとに、安心と不安が入れ替わり、入り乱れる。笑い声を好きだと言ってくれただけなのに、大きな意味が込められていると考えたくなってしまう。期待したい思いと、失望したくない警戒心が、私の中で戦っている。 私と晧司さんが体を重ねる関係にあったことは、間違いなく事実。自分の昨夜の反応から、私はそう判断している。 それより何より、私は、この人との間に「好き」という言葉が存在してもいいのか……かつて存在していたのかどうかが知りたい。 聞きたいけど、聞けない。 とろんとしている晧司さんの瞳は、まだ回復しきっていない体調のせいと、薬の作用もあるだろう。 元気になって、私の体や心の状態ももう少し先へ進めるようになったら、聞けるチャンスがあるかもしれない。 晧司さんは、考えをまとめる私をじっと見ていた。
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