ただ、今一番大事なのは、緒莉がこの件に関わっている証拠を見つけることだ。そうでなければ、すべては無駄になる。今はまだ、罪に問うことはできない。こんな話、口に出してしまえば本当に笑い話だ。何もかも分かっている。緒莉がやったと知っている。だが証拠がないのだ。そんな中、日向が口を開いた。「安心して、紗雪。この件は僕たち、みんなが手を貸すから。悪いのはあの二人だろ?大まかな方向はもう見えてる。あとは時間の問題だ」日向にそう諭され、紗雪も一理あると思った。彼女はうなずき、理解を示す。「ありがとう、二人とも」二人は顔を見合わせ、ふっと笑った。それ以上は特に何の仕草もなかった。ごく普通のことに過ぎない。京弥は面白くなさそうにしていたが、口には出さなかった。これも紗雪にとって当たり前の交友関係だ。まさかそんなことまで干渉するわけにはいかない。そんなことをしたら、本当に最低な人間になってしまう。一方、清那は病室の空気が妙に居心地悪いと感じていた。このまま居続ければ、穴があったら入りたい気分になるだけだ。そこで、彼女はタイミングよく話題を変えた。清那は、きちんと着替えている紗雪を見て、少し驚いたように言った。「紗雪、病室にいるのに......どうして外出するみたいな格好をしてるの?」彼女の心の中ではかなり意外だった。普通なら病室では病衣を着るものだ。少なくとも、もっとゆったりした服を着るだろう。だが今の姿は、まるで今すぐ出かけるつもりにしか見えない。次の瞬間、清那は語気を強める。「紗雪?あなたまさか、起きたばかりで出かけようとしてるんじゃないでしょうね?」細めた目は、まるで取り調べのように厳しい。その様子を見て、紗雪も内心驚いた。いつの間に清那はこんなに勘が鋭くなったのか。今まで気づかなかったことに、逆に驚かされる。しかも、意外にも彼女は言い当てている。隣で京弥は余裕そうに微笑んでいた。やはり、こういう時は気心の知れた人間の方が、紗雪を止められるらしい。自分ではどうにもできないのだ。紗雪はあまり彼の言うことを聞かない。下手に強く言えば、大げさに「自分をなめてる」と受け取られてしまうだけだ。だが今は違う。清那は彼女の親友だ
Read more