美月はそれを聞き、感動に顔を輝かせた。最初にかすかに抱いた疑念も、すっかり消え去っていた。雅人は自分を疑っていたわけではなかった。新井家へ行って、自分のために話をつけてようとしていたのだ。美月は感激して言った。「お兄さん、ありがとうございます。お兄さんは、私に本当に良くしてくださっています」雅人は尋ねた。「では、今も君は新井蓮司を愛しているの?彼と結婚したいと思うの?君が頷けば、僕は奴に君を娶らせる。これは結論だ、仮定ではない」美月は、真剣な表情の雅人を見つめた。その言葉を口にする時の彼は、圧倒的な存在感を放ち、実に堂々としていて、思わず深い尊敬の念を抱いた。彼女は、雅人にはそれを実行する力があると知っていた。今の自分なら、新井蓮司を選ぶのはむしろ自分が損をしているレベルだ。では……果たして、まだ彼と結婚したいのだろうか?愛情?最初から、そんなものはなかった。彼女が惹かれたのは、蓮司の容姿と財産だけだった。それに、どうしてあんな男を透子みたいな子に取られてたまるものか。その後、蓮司は彼女にとって最も条件の良い男だった。何しろ、他の御曹司たちも愚か者ではないし、京田市で新井蓮司に匹敵する男など、そう多くはいなかったからだ。そして今、選択権は彼女の手にある。彼女は確かに、蓮司をそれほど愛してはいない。彼は以前、自分にひどい仕打ちをしてきた。そのせいで、心の底から彼を憎んでいた。今の彼女には家柄も後ろ盾もある。世界中のエリートを自由に選べるし、蓮司より裕福な男を見つけることなど、簡単なことだ。美月は数秒考え込んだ後、ようやく顔を上げ、言った。「……お兄さん、私、やっぱり彼のことが好きみたいです」彼女にはもっと良い選択肢がある。だが、それが蓮司への復讐の妨げになるわけではない。蓮司に無理やり自分と結婚させ、それから離婚し、彼を捨てればいい。とにかく、透子を排除する前に、蓮司と透子が一緒になる可能性を、完全に断ち切らなければならない。「私たちは高校の頃から愛し合って、大学で付き合っていました……彼は私の初恋の人なんです。この気持ちは、骨の髄まで刻まれているんです」美月は唇を噛みしめ、一途な愛情に満ちた表情で続けた。「彼を忘れられなかったからこそ、前に二度も彼に騙されてしまったんです。でも、
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