寒真は呆然としていた。夕梨が渡米する?以前、彼女は米国には行かないと言っていたはずだ。それなのに、なぜ今になって?彩望は彼の顔色を窺いながら、その赤い唇で妖艶な笑みを深めた。「以前行かなかったのは、あなたを愛していたからよ。好きだったから、あなたとずっと一緒にいたくて、キャリアアップの機会を捨ててまで副総支配人に甘んじていたの。それなのに、その健気な乙女心を朝倉監督は踏みにじった……手のひらを返したように別れを告げ、あの子が大雪の中で凍えながら待っているのを知りながら、霧島玲丹を連れて帰ってくるなんてね。私が彼女の立場なら、一生あなたを許さないわ。でも大丈夫よ。あの子は家柄もいいし、何より綺麗だもの。多くの男たちのマドンナよ。野暮な男の手に落ちたのが間違いだったのね。本当に残念だわ」……彩望の言葉は止まらなかった。玲丹の顔はどす黒くなっていたが、彩望の口を封じることはできなかった。司会者も気まずそうにしている。その時、格好のいい鉱山長が近づいてくると、彩望はすぐさま従順な子猫のようにその腕に絡みつき、「ダーリン」と甘い声を上げて玲丹に挑発的な笑みを投げかけた。彩望は先に会場へと入っていった。玲丹は寒真の失意に満ちた顔を見つめた。幸い無精髭を生やしていたため、表情の半分は隠れていたが、そうでなければ醜態を晒していただろう。玲丹は不機嫌そうに言った。「何?彼女が飛び立つと知って、名残惜しくなった?」寒真は表情を引き締めた。「そんなことはない」彼は玲丹を連れて宴会場に入った。その後はひたすら挨拶回りと社交辞令に追われ、夕梨の姿を見ることはなかった。もちろん、今夜の彼は大成功を収めた。彼の作品は監督賞を含む四つの賞を受賞し、栄光の頂点にいた。しかし、人々の歓声に包まれ、称賛を浴びているその瞬間にも、彼の胸には孤独が刻まれていた。夕梨がいない。彼女は、彼の隣にはいないのだ。……授賞式はまだ続いていた。寒真はトイレに行くと嘘をついて宴会場を出た。外の空気を吸いたかったし、何より夕梨を探したかった。本当に米国へ行くのかと聞きたくて。もしそうなら、せめてさよならの一言だけでも。夜は深く、空気は冷え切っていた。見上げれば、漆黒の空にまばらな星が瞬いている。中庭の芝生は広
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