深雪は芽衣がついに食いついたことを知ると、口元に冷ややかな笑みを浮かべた。「あの女、やっぱり我慢できなかったのね」「それで、次はどう動く?」遥太が尋ねた。「次は芽衣に偽の情報を静雄に流させる」深雪は言った。「私たちの間に争いがあると静雄に信じ込ませ、油断させるのよ」「どうやって芽衣を信用させる?」遥太は眉をひそめた。「彼女はそう簡単には騙されないぞ」「心配しなくていい」深雪は答えた。「大介にはもう話をつけてある。彼が協力してくれるわ」「大介?」遥太は少し驚いた。「いつの間に大介と連絡した?」「君が芽衣に会いに行ったときだよ」深雪は淡々と答えた。「大介はもともと静雄の部下だったけど、今は完全にこちら側についている。彼は自分の役割を理解しているわ」「なるほど......」遥太は頷いた。「つまり、すでにすべて計画済みというわけか」「敵と己とも知れば、勝つはずだよ」深雪の目が冷たく光った。「静雄の性格は私が一番よく分かってる。独りよがりで頑固だから、その弱点さえ突けば、必ず倒せる」「じゃあ、後は見物だな」遥太は言った。「ええ、これはまだ始まったばかりよ」深雪の声には鋭さが滲んだ。「今度こそすべてを失わせてやるわ!」数日後。大介はうっかりと新規プロジェクトの機密資料を、芽衣がよく出入りする場所に置き忘れた。案の定、それを拾った芽衣は宝物でも手に入れたかのように飛びつき、その内容を静雄に伝えた。「静雄、見て!さっき手に入れたばかりの資料よ」芽衣は興奮気味に言った。「これは深雪さんの会社の新プロジェクトの企画書。これを先手で押さえれば、必ず勝てるわ!」静雄は書類を受け取り、じっと読み込んだ。眉間には深い皺が寄り、何か考え込んでいるようだった。「静雄、どうしたの?」芽衣は彼の沈黙に不安を覚えた。「何か問題でも?」「この資料......確かにいいな」静雄は低く唸った。「だが、どうにも引っかかる」「引っかかる?」芽衣は首をかしげた。「何か問題があるの?これは私が苦労して手に入れたのよ」「だが、深雪がこんな重要な資料を簡単に漏らすのか?」静雄は疑念を拭えなかった。「何か仕掛けがあるんじゃないのか?」「静雄、考えすぎよ」芽衣は言った。「彼女は今、あなた
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