ふ、とエリオットの表情が変わる。「……やっぱりアンタ、アスカ様なんですよね。………どうしようもなくアスカ様なんだもん。俺の推しよりもアスカ様らしいなんて……皮肉でしかないですよ……ズルいなあ……そんなアンタだから俺は………」「ふは!だろうな。俺たちは来るべくしてこの世界に来たのだと、俺は思っている。いや、むしろこちらにこそ生まれるはずだったのだ。転生前の俺も、飛ぶ鳥と書いて飛鳥。まあ、苗字だがな。そしてこいつの前世の名は、阿須那レオン。これは推察だが……元来こいつもレオンに生まれ変わるはずだったのだと思う」「!!それって………!………ほんと、ズルイや。アンタ、ボクの見たかったアスカ様そのものなんだもん……」俯くその肩がわずかに震えている。目を瞑り、次に開いたときには……エリオットは「健司」の表情になっていた。「改めてご挨拶申し上げます。俺は坂本健司。そしてボクはクレイン侯爵家が当主、エリオット・クレイン。火、水、風、土の四属性に加え、闇、光魔法が使えます。隠していて申し訳ございませんでした。このボクの心からの忠誠を、アスカ・ゴールドウィン様、今のあなたに捧げます。仕方がないのでその異物にも忠誠を。その代わり……あなたはずっとあなたで居てください。何者にも負けず、折れず、自由な存在で居てください。ボクはゲームに描かれなかったあなたの行く先が見たい」俺を見上げるその瞳には、これまでにはない確固とした光が宿っていた。あのどこか焦燥に駆られるような奇妙な熱ではなく、しっかりと地に足をおろしたもの。これまでの彼はその立場を変えながらもあくまでも「ゲームの中のエリオット」を演じていた。可愛らしく健気なご令息。時に浮かんだ狂気にも似た光は、彼が求めた「自らの存在意義」が揺らいでいたからだったのだろう。それが俺たちにいらぬ警戒心を抱かせたのだ。今の彼は一皮むけたように見える。これまで俺たちに騙されていたという怒り。その怒りを凌駕する、この世界に転生してきたものが自分だけではないという安心感。そして……新たな希望。「……いい顔になったな」ゲームでのエリオットは、言葉は悪いが「誰かに甘えて生きていく」タイプだった。しかし健司の本質は違う。「誰かのために誰かを支えて生きていく」タイプだ。ならば、俺が貰う。俺の下僕として
Last Updated : 2025-09-04 Read more