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ディスポーサー

Author: をち。
last update Last Updated: 2025-09-13 10:52:28
俺は高々と宣言した。

「よし。では、聞け。

俺たちは『ディスポーサー』。血統を笠に着て貴族の名誉を貶める生ごみどもを処理する。

ここをその拠点とするぞ!」

リオが宇宙ネコのような表情になった。なんだその顔。面白いな。

アスナはさすが、当たり前のように受け止め、飄々とこう返してきた。

「ディスポーサー…生ごみ粉砕機、か。なかなかのネーミングセンスだな」

「煩い。いいだろう?分かりやすくて。文句があるなら今のうちに言え」

「もう決定なんだろ?いいよそれで」

「まだ調べていないがここにはきっと地下室もあるはずだ。そこでごみを分別できる」

「なんで分かったんですか?地下室もあります。ゴミを分別……ですかあ……ふぅ……」

そんなにイヤそうな顔をするな、リオ。

ある程度は処理済みのものになるから、そこまで面倒なことにはならない。たぶん。

「学園に……そうだな……意見箱を設置しよう。

横暴かつ不当な扱い、人道に反する行いなどの心当たりがあれば、匿名で告発してもらうんだ。

アスナはその裏を取れ。リオは告発者が誰なのかを突き止めろ」

「了解!方法は俺に任せてくれるんだろ?」

「ああ。好きにやれ」

「はい!質問させてください。

アスナ様の告発された側の調査はいいとして、ボク、匿名の告発者をどうやって探せばいいんでしょうか?」

そこからか。

「告発対象の近くにいるものから当たれ。お前のその顔を活かせばいい。周囲のものを誑し込んで聞き出せ」

「ええーー!」

「ゲームのお前の得意とするところだっただろう?周りを皆味方につけたピンク頭の主人公、エリオット。お前ならできるはずだ」

「あざといの、正直嫌いなんですよねえ。だからアスカ様が推しだったのに……。ふう……。いいですよ、やります!下僕ですもんね!やりますよっ!」

その後はワイワイガヤガヤ。

意見箱をどんなものにするか。(エリオットの出してきた画がいかにも厨二感満載のものだったので、俺とアスナは遠い目になった)

どうやって誰にも見られずにその中身を取り出すか。これは、アスナの黒魔法を応用することにした。その意見箱の中に疑似的にアスナの空間収納を付与する。そうすればアスナがどこからでも取り出せるようになる。

「お揃いの衣装とかどうですか?なんか秘密結社みたいでカッコいいの!」

「リオ、なかなかいい考えだ。色は黒一択だな」

「敢えての『漆黒の礼装
をち。

体調不良により少し間が空いてしまい申し訳ございません。 ここまでお付き合いいただきありがとうございました! ひとまずこれで完結となります。 ご意見、ご感想などいただけますととってもうれしいです♡

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    しばらく口を開けたり閉じたりと何かを言いかけてはやめ、やめては言いかけるのを繰り返していたエリオットだったが、ようやく理解が追い付いたようだ。「ええ?!な、なんですぐに教えてくれなかったの?俺、言ったじゃん転生者だって!しかも同じ日本人なんでしょ?おまけにチートじゃん!なんで?!俺、アンタのこと『推し』って言ったよね?そりゃゲームだと俺は敵だし、絡みたくないのは分かるけど!分かるけどさああ!敵じゃないって分かったんだから、せめてあのクソ豚始末した時に教えてくれてもよかったんじゃないのっ?どおりでおかしいと思った!だってアスカ様ってば、ツンデレハイスぺなのにちょっとなんていうか箱入り息子で陽とのこと疑わないでしょ?だからあんな主人公に嵌められちゃって断罪されちゃうんだし。そこが可愛かったのに!俺が守ってあげたかったのに!なのに、アンタってばツンデレにしてはなんつーか、わりと常識的だし。意外と優しいしさあ!おまけにそんなヤツくっつけちゃって!断罪だってサクサクっと回避してレオン殿下にも好かれまくってるし!どう考えてもおかしいじゃん?!でもそれって俺が転生したせいで変化があったのかな、って思ってたのに!思ってたのに!まさかアンタも転生者かよおお!それに、なんだよそいつ!前世からくっついてきた?そんなのアリ?絶対に敵わないじゃん!運命じゃんそんなの!ズルいよ!ずる過ぎるでしょ!!人間じゃないってチートがすぎるし!従魔なんて完全にあのゲームとは別もんじゃん。別ゲーじゃん!俺が転生したせいで変わったんじゃない。このゲームを変えたのはアンタたちだったんだ。じゃあなんで俺、こっちに来たんだよおおお!何したらいいんだよおおお!」ガクリと崩れ落ちて床ドンしながらの弾丸トーク。「……エリオット、お前……自分のこと『俺』って言うんだな。そっちが素か」「え?!ここ、慰めたり謝ったりするところじゃないの?!ひっかかったの、そこ?!そんなことはどうでもいいでしょうがっ!」「確かに。アスカ、ちょっとくらい慰めてやれよ。なんつーか、不憫」「お前の慰めなんぞいらねえんだよっ!俺は!アスカ様、いや、アンタに慰めて欲しいの!偽アスカ!慰めろ!!」「……良かったじゃねえか。俺が本物のアスカだったら、断罪を回避したらお前なんぞごみクズみたいに捨てているぞ?

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