ストン、と腑に落ちた。そうだ、すっかり忘れていた。◇◇◇まだ俺がアスナを「唯一無二の親友」だと信頼していた中学のころのことだ。俺は自分と同じ名を持つアスカが、恵まれた能力を持ちながら断罪されていくのがはがゆかった。だって、俺は大した能力もなく、家族にも恵まれず。そんななかで必死で「家族を守る」という役目をはたしている。なのにアスカは愛してくれる家族に恵まれ、完全無欠というほどの能力を持ち、天使の美貌を受け継ぎながら、断罪される。すごく納得がいかない。普通ならアスカが不幸になるわけがない。「この悪役、なんで断罪されるんだろ?こいつのスペックがあればやりたい放題じゃん!いいなあ、俺がこんなだったら最高の人生を送ってやるのに!」俺は自分のままならない状況をアスカに重ねていたのかもしれない。アスカが幸せになれば俺も幸せになれるような気がした。そこで、なんとかアスカ救済ルートを探すべくひたすらにゲームをやりこんだ。もしかしたら裏ルートがあるのでは?隠しキャラがいるのでは?そんなありもしない希望を胸にひたすらやりこみ……撃沈したのである。そうだ、それでたしか、落ち込む俺をアスナが励ましてくれたんだ。「だ、大丈夫だって!ゲームはゲームだろ?飛鳥とアスカは違う」「分かってるけどさ。なんか……俺にとってアスカって特別なんだよなあ。異世界転生とかあるんならさ、俺がアスカになりたい。そんくらいには好きなキャラなんだよ。だってアスカって完璧なんだもん。俺がアスカだったらあんな攻略対象なんて無視する。黙ってやられたりなんかしないし、好き勝手に楽しく生きてやるんだ」「じゃあ、俺はレオンになってアスカの味方になる。そしたら断罪ルート全部へし折ってやる!」「ははは!だな。レオンも名前が一緒だし、俺たちこのゲームと縁があるのかもな」「じゃあ、約束な?生まれ変わるなら一緒だ。レオンとアスカになろう!」「あははは!なれたらな!約束!」◇◇◇俺がこの世界に来た理由は分かった。神様を罵ったからなんかじゃなかった。俺がそれを望んだからだったんだ。もしかして、アスナはあんな昔のことを覚えていたのか?俺本人ですら今まで忘れてしまっていた、子供同士の遊びの中で俺が言った戯れのような言葉。それだけをよすがにこんなところまで俺を追ってきたのか?あんな俺の一言を大事に持
Terakhir Diperbarui : 2025-04-24 Baca selengkapnya