現皇帝である魏 宇沢は、この友中関で起きた事件に関わっている。 爛 春犂が集めたこの情報は、全 思風の瞳に焔を灯させた。くつくつとした笑みが、静かな関所の中を走る。 淡々と、呼吸すらも知らしめんと、男を見張った。 「……逃げた者たちは皆、怯えておった。夜も眠れぬ者、飯を喉に通す事すらできない者もいた。そんな彼らに聞き出すのは憚れたが……」 眠る美しい子供、華 閻李を間に挟み、彼は横に座る。前方にある薪を見据え、重たい口を開いていった。 「彼らは、こう言っていた。゛殭屍の群れに襲われた前日、白い服を着た者たちが、この関所に訪れた。゛らしい」 その者たちいわく、友中関に貼られている札は効力を喪っているとのこと。國の命により、札の全てを貼り変える作業をするとのことだった。 そして彼らは最後にこう告げる。 「゛これは魏 宇沢様、お達しの命である゛と」 後は知っての通り、この関所が殭屍の群れと化した。 そしてもうひとつ。白い服の者たちは皆、一様に、白い勾玉を首にかけていたのとこと。 ここまで一欠片も溢さず伝えた爛 春犂は、ふーと呼吸を整えた。 「……なるほどねえ、やっぱここでも絡んでくるんだ。あの白い連中は。小猫に、どうや
Last Updated : 2025-04-25 Read more