優希は頷いた。「一気に10歳は若返りましたよ!」颯介は一瞬動きを止め、スーツの上着を腕にかけながら彼女に尋ねた。「俺は老けて見えるってことですか?」「32歳は老けてませんよ」優希は少し考えて、真剣な顔で答えた。「とても大人な方なので、一緒にいると、すごくリラックスできて、自然体でいられます」一方その背後で、プレゼントの袋を持った哲也がそれを聞いて、手をぎゅっと握りしめ、指の関節がゴキッと音を立てた。彼はもう我慢できなくなり、踵を返して立ち去ろうとした。しかし、皐月に強く腕を掴まれて引き止められた。「頭がおかしんじゃない?」哲也はそう言って振り返り、劇場に入っていく二人をちらりと見た。そして込み上げる苛立ちを抑えきれず、彼は皐月に冷たく言い放った。「君の元カレはもう他の女と結婚の話までしてるんだぞ。なんでわざわざ辛い思いをして確かめに来るんだよ?」「彼が本当に私を忘れたなんて信じない!」皐月は目を赤くして必死に言った。「あなたには分からないわ。あの男は昔、私のために命だって捨てようとしたのよ。彼が私を愛さなくなるなんてありえない!」「そんなことを言っていると、君のプロとしての能力を疑うことになるな」哲也は冷たい表情で言った。しかし嫉妬で理性を失った皐月は、哲也の腕を強く掴んだまま言った。「たとえ私を主治医から外すとしても、まずはこの映画を最後まで一緒に見て!」「ふざけるな」「二人が選んだのは恋愛映画よ。お見合い中の男女が一緒にそんな映画を見たら、何か起きるかもって思わないの?」哲也は言葉に詰まった。皐月は彼を見つめた。「とぼけないで。さっきからずっと二宮さんのこと見てるじゃない。彼女のことが好きなんでしょ?」「これは......」「いい雰囲気になったら、手をつなぐかもしれないわよ」哲也は黙り込んだ。「手をつないだら、次はキスをするかも......」そこまで言われ哲也は苛立ち、小さく悪態をつくと、皐月の手を振り払い、大股で劇場の中へ入っていった。皐月も急いでその後を追った。......劇場の中は、それほど混んでいなかった。スクリーンのかすかな光を頼りに、哲也と皐月は優希と颯介の姿を見つけた。二人は腰をかがめながら、彼らの後ろの空いている席に座った。優希と颯介は真剣に映画を見ていた
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