片や、寧々は深夜3時に、はっと目を覚ました。嫌な夢を見たのだ。夢の中で、桜が海に落ちて死んでしまう夢だった。目が覚めても、寧々の胸のドキドキはまだおさまらなかった。考えた末、やっぱり桜の様子を見に行った方がいいと思った。寧々が身を起こすと、隣で寝ていた夏帆も目を覚ました。「どうしたの?」「なんでもない。桜さんの様子を見てくるだけ」夏帆に声をかけられた寧々はスリッパを履くと、ドアを開けに行った。だが、部屋を出たとたん、玄関のドアが大きく開けっぱなしになっているのが目に飛び込んできた。ドキッとして、寧々が桜の部屋に目を向けた。部屋のドアは全開で、中は真っ暗だった。嫌な予感に駆られ、寧々は部屋に駆け込んで明かりをつけた――すると、部屋には誰もいなかった。ベッドの足元には、桜のピンクのキャラクター物のスリッパが揃えて置いてあるだけだった。だけど、桜はどこにもいない。「桜さん?桜さん、どこにいるのよ!」最後の望みをかけて、寧々はバスルームに駆け込んだ。でも、桜はそこにはいなかった。一体どこへ行ったんだろう?物音を聞きつけた夏帆が隣の部屋から駆けつけ、辺りを見回して彼女はすぐに状況を察した。「手分けして探そう!」夏帆はスマホを取り出して言った。「あなたは岡本さんと我妻監督のところへ行って。私は碓氷さんに電話するから」「でも、桜さんは碓氷さんに迷惑かけちゃダメだって」「今、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」夏帆は寧々の言葉を遮り、真剣な顔で言った。「本当に取り返しがつかなくなってから、碓氷さんに知らせるつもりなの?」寧々は夏帆をぼうっと見つめたまま、たちまち涙をこぼした。「わ、わかった。今すぐ岡本さんと我妻監督を探しに行く!」「桜さんは裸足だから、きっとそんなに遠くには行ってないはず。我妻監督に、藤川先生も連れてきてもらうよう頼んで!」と夏帆は付け加えた。「うん!」こうして、寧々と夏帆は二手に分かれて行動した。その間、夏帆は安人の番号に電話をかけた。こんな時間だから、夏帆も安人がすぐに出るとは思っていなかったが、電話はすぐに繋がった。そして、電話がつながるなり、夏帆は単刀直入に切り出した。「碓氷さん、桜さんがいなくなりました!」……時間は1週間前の深夜
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