息子の泣き声は、ついに星羅の母性本能を呼び覚ました。星羅は息子を抱き上げ、ソファに座ってあやしながら、泣きそうな声で言った。「丈、出て行って」「星羅......」「お願いだから、出て行ってくれない?」星羅はうつむいたまま言った。「お願い」丈は星羅の背中を見つめ、困ったような表情をした。しかし、今は自分が部屋を出るしかないと分かっていた。「夕飯はまだだろ?何が食べたい?作ってあげる」星羅は何も言わずにいたので、丈はため息をついて部屋のドアを開け、出て行った。ドアが閉まると、星羅の目から再び涙がこぼれ落ちた。彼女は手で涙を拭った。すぐに泣いてしまう自分が本当に嫌だった。しかし、腕の中の息子の柔らかくて小さな顔を見ると、心がまたもやキュンとなってしまった。30分後、蒼空はぐっすりと眠り込んだ。星羅が彼をベビーベッドに寝かせようとしたその時、ドアが開いた。丈がそっと顔をのぞかせ、「星羅、蒼空は寝たのか?」と尋ねた。星羅は彼を一瞥し、無視して息子を抱きかかえて立ち上がった。丈は静かにドアを閉めた。「私がやる」彼は星羅に近づき、慣れた手つきで蒼空を受け取った。お腹いっぱいになると、蒼空は深く眠り、大人に何をされても起きなかった。丈は蒼空をベビーベッドに寝かせ、小さな布団を掛けてやった。星羅はバスルームへ向かった。今日はあまりにも泣きすぎたせいで、目が腫れて痛かった。蛇口をひねった途端、バスルームのドアが開いた。星羅は顔を上げ、鏡越しに丈が入ってくるのを見た。4年間、夫婦として親密に過ごしてきた二人は、アイコンタクトだけで互いの気持ちを読み取ることができた。星羅は、丈が自分ときちんと話をしたいと思っていることを知っていた。しかし、今は気持ちが落ち着かず、何も話したくなかった。なぜこんな気持ちになるのか、自分でも説明できなかった。胸が詰まるようで、言いたいことは山ほどあるのに、どこから話せばいいのか分からなかった。「星羅」丈は近づいて抱きしめようとしたが、星羅は身をかわした。「少し時間がほしい。頭を整理したいの」星羅は丈の方を向き、「私たちがこんな風になってしまったのは、私にも責任があるのは分かってる。でも、少し時間が必要なの」と言った。星羅が真剣な口調で話すのを見て
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