あまりに長い時間が経ち、二人は分かれ道で違う方向へ遠くまで歩みすぎて、今さら振り返ろうとしても、もう間に合わなかった。涼介は無理に笑みを浮かべた。「安心してくれ、君に付きまとうつもりはない。今日は、君に渡したいものがあって来たんだ」「もし、私が以前あなたにあげた物なら、そのまま捨ててくれて構わないわ」涼介の表情がこわばった。「違う……別のものだ」結衣は眉をひそめた。「あなたに預けている物なんて、ないはずだけど」涼介は彼女に二、三歩近づいたが、結衣の警戒するような眼差しに気づくと、その場でぴたりと足を止めた。今や、彼女に近づくことさえ、贅沢な望みとなってしまった。涼介は彼女に向かって手を差し出し、手のひらを上にした。「結衣、これは以前、君と約束したものだ。約束を果たすのが今になってしまって、すまない」彼の手のひらにある鍵を見て、結衣は一瞬呆然としたが、すぐにその眼差しは氷のように冷たくなった。「長谷川、どういうつもり?」彼が今こんなことをして、自分がまだ感動するとでも思っているのだろうか?涼介は苦笑し、彼女を見つめるその眼差しには名残惜しさが満ちていた。「結衣、これは俺がかつて君に約束した一戸建てだ。実は三年前にはもう買っていたんだ。君を驚かせようと思って……」しかし、一戸建ての引き渡しを半月後に控えた頃、彼は玲奈と出会った。それからの三年間、彼はかつて結衣にした約束を少しずつ忘れ、何度も彼女を傷つけ、ゆっくりと彼女を遠ざけていった。結衣が自分を愛していないと完全に悟ってから、この間、彼はアルコールで自分を麻痺させようとした。しかし、飲めば飲むほど、彼女はもう二度と戻ってこないと、はっきりと意識させられるのだった……「一戸建ては君の名義になっている。内装も君の好きなスタイルにした。君に家を与えると約束したのに、食言してしまってすまない。これは、君への償いだと思ってくれ」結衣は無表情のまま、受け取ろうとしなかった。「いらないわ。あなたが二度と私の前に現れないこと、それが一番の償いよ」彼女は背を向けて立ち去ろうとしたが、数歩も歩かないうちに、涼介に呼び止められた。「結衣、この一戸建ては俺が一つ一つ内装を監督したんだ。頼むから、受け取ってくれないか?一度見て、もし気に入らなけ
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