「拓海、清澄市へ行ったからといって、枷が外れたとでも思うな。いつでもお前を連れ戻せるんだぞ!」拓海は冷笑を浮かべ、嘲るように言った。「いいよ。連れ戻してみろよ。そしたら、あんたが外で囲ってる愛人のところに毎日でも行って、面倒を起こしてやる。どっちが困るか、見ものだな」「お前!何度も言っただろう、あの人は藤崎美歩(ふじさき みほ)さんだ。ただの同級生で、お前が考えているような関係じゃない!」「へえ……大した慈善家なんじゃない?昔の同級生を、もう十何年も養ってるなんて。現代の聖人様だな」「そんな捻くれた言い方をするな!」「捻くれた言い方をされたくないなら、俺のことに口出しするな。暇があるなら、外で養ってるあの女のことでも心配してろ」そう言うと、拓海はそのまま背を向けて出て行った。拓海の父は彼の背中を睨みつけ、机の上の物を激しく床に叩きつけた。「全く、ますます手に負えん!」拓海が唯一の息子でさえなければ、とっくに見限っていただろう!書斎を出ると、拓海は伊吹家を後にした。車を走らせ、行きつけのバーに着くと、中に入った途端、何人かの知人と顔を合わせた。「拓海、いつ戻ってきたんだ?一言くらい連絡くれてもいいだろ?」拓海は淡々とした表情で言った。「今さっきな。こうして顔を出しに来たじゃないか」「はは、今夜一杯どうだ?久しぶりじゃないか。清澄市で頑張ってるんだって?」彼らは拓海と同じグループの仲間で、拓海が以前、両親と大喧嘩して京市を離れ、清澄市へ行ったことを当然知っていた。拓海は頷いた。「ああ。そうだ、お前ら、誰か清水雪乃の連絡先知らないか?教えてくれ」仲間たちは顔を見合わせ、皆、戸惑った表情を浮かべた。「清水雪乃の連絡先なんてどうするんだ?まさか、彼女に気があるとか言うなよ?彼女、お前より何歳も年上だぞ」拓海は眉を上げた。「いいから、連絡先があるのかないのか、どっちだ?」それに、何歳か年上なのがなんだって言うんだ?結衣だって自分より何歳か年上だけど、見た目は同じ年頃じゃないか。「あるある、すぐ教えるよ」連絡先を手に入れると、拓海は言った。「お前ら、先に個室に入っててくれ。後から行く」「おう、待ってるぜ。今夜はとことん飲むぞ!」仲間たちを見送ると、拓海は誰もいない個
続きを読む