未央は川本署長から受け取った証明書を看守に渡すと、すぐにある部屋の前に案内された。「お父さん!」ドアを開け、見慣れた顔を見た瞬間、彼女の目は真っ赤になった。宗一郎は今日の作業を終え、ベッドで休んでいたが、物音を聞くとすぐに起き上がった。しかし目の前の人物が誰なのか認識すると、その場で凍りついた。「未央?どうしてここに?」次の瞬間。未央はすでに駆け寄り、彼を強く抱きしめて嗚咽を漏らした。「お父さん、ようやくまた家族一緒になれるよ」「一緒になれる?」宗一郎は眉をひそめ、困惑の表情を浮かべた。あまりに突然のことで、まだ何も知らされていなかったのだ。すると、未央は証明書を彼に渡し、パッと明るい笑顔を見せながら説明した。「あの偽薬事件の真相が明らかになったよ。お父さんが冤罪だって分かったの。だからすぐ、出所できるって」透き通った彼女の声が部屋に響いた。宗一郎は目を見開き、信じられないという表情で声を震わせた。「ほ……本当か?」自分が冤罪であることはもちろん分かっていたのだ。だが、裏に関わっている勢力があまりにも強大で、ただ耐えるしかなかっただけだ。低い嗚咽が耳に入ってきた。我に返った宗一郎は娘を見つめ、胸が締め付けられるように痛んだ。「この数年、苦労をかけたな」ため息をつき、大きな手で未央の背中を優しく叩いた。一瞬、重苦しい空気が流れた。その時。宗一郎はふと入り口に立っている博人に気付き、表情が一気に険しくなり、拳を握り締めてギシギシと音を立てた。この数年刑務所にいたが、外のことを全く知ることができないというわけではなかったのだ。特に娘が面会に来る度に憔悴していく様子は、彼の心を蹂躙していた。この男がすべての原因だと思うと、宗一郎の怒りが爆発した。大きく声を上げ、右手を握りしめ拳を作り、まっすぐに博人の顔を殴った。「この野郎!」「義父さん、俺は……」博人はポカンとし、全く無防備だった。拳で頬を直撃され、顔を横に向けさせられた。その衝撃で口角から血がにじんできた。それでも宗一郎は怒りが収まらず、さらに踏み込んで拳を振り上げながら怒鳴った。「どの面下げてここに来た?お前が俺の娘をどんな目に遭わせたと思ってる!」博人はボクシングの経験があったが、相手が
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