なんとかしなきゃ…そう思って早くも半年が過ぎた。奈月は当初、いろいろ考えた末に山井家を頼った。彼女も彼女の両親も山井家にはとても傲慢だったが、でもきっと彼女から謝っていけばまた縁談を考え直してくれるだろうと思ったのだ。あの見合い相手の高雄の見た目には不満があったが、確かに彼の家はとても裕福だったし、彼の婚約者になればきっとこの借金も肩代わりしてくれるだろう。そう思った。だがー。「どういった御用でしょうか?」奈月は、自分の家よりも遥かに大きな邸宅に呆然としながら玄関先に立って案内を待っていたのだが、指示を受けに行って戻って来た使用人にそう尋ねられた。「ここで言わなきゃいけないの?」「何か不都合でもございますか?」そんな感じで冷たくあしらわれ、結局改めて縁談を考えてほしいとは言えずにそのまま帰って来た。事務所に戻ると神原からは早速次の仕事を入れられ、それはまた前と似たような、単に衣装が違うだけの恥ずかしい写真を撮ることだった。「何でこんなのばっかり!」「仕方ねぇだろ?稼ぐ為だ。」「…っ」どんなに嫌がっても最終的に「借金」の一言で奈月は言うことを聞くしかなく、悔しさに歯噛みしながらもそれから何度か意に沿わない写真を撮影した。奈月の自尊心はぐちゃぐちゃだった。その仕事以来、奈月は芸能関係?の仕事から一旦身を引いた。こんなこと、いつまでも続けていたら絶対にバレちゃうわ…。名家に育った連中があんな下賤な雑誌など見ないだろうとは思うが、回を重ねればどこからどう噂が回るか分からない。そして彼女は神原に言った。「お金になる普通の仕事、ない?」「……ないことはない」この時神原は、内心ほくそ笑んでいた。やっとか。意外と粘ったな。神原にとって奈月は単なる金づるだ。モデルの仕事のような若い奴らがどんどん出てくる業界では、奈月にはあまり需要がない。今回はたまたま彼女の〝名家の令嬢〟という肩書が新鮮で良かっただけだ。なので、早々にシフトチェンジすることにしたのだ。始めに彼女が「自分の所有するマンションを売って返済に充てる」と言った時は「なんでそんな余計なもん持ってんだ」と思ったのだが、どうやら彼女の実家の金回りが悪くなったようで、そこは親によって既に抵当に入れられていた。ラッキーだった。借金があってこそ、こういう生意気な女を好きに使えるっ
最終更新日 : 2025-11-29 続きを読む