あ~、失敗した…。雪乃はため息をついて、自分の状況を嘆いた。まさか、女子高生までグルだったなんてね…。彼女のため息にビクッと反応をした女子高生、水野琴音(みずのことね)は、涙目で雪乃に謝罪した。「ごめんなさい…こんな事してしまって……」「……」なんと言われようと、後の祭りである。雪乃はちらりと隣の部屋の状況を窺って、小声で彼女に訊いた。「なんでこんなバカな事したの?犯罪だってわかってる?」琴音は悪い人間には見えなかった。実際、ここへ来てからもずっと自分の側にいて、気分は悪くないか、身体は痛くないか、お腹は空かないか…といろいろと気を遣ってくれていた。隣にいる連中も遊び半分な感じで、まったく必死さが感じられない。でも彼らは狡猾だった。ここへ来てからというもの、度々彼らは雑談のように「琴音がいなかったら成功しなかった」「琴音の行動がきっかけでスタートした」などと言い、あわよくば彼女を主犯に仕立て上げようとしていた。雪乃はそれが気に食わなかった。やった事の責任も取れないなら、やるんじゃないわよっ。だが、いくら腹立たしく思ったところで自分のスマホは取り上げられているし、どうしようもなかった。それで、彼女は一か八かで琴音に訊いた。「あなた、携帯待ってる?私の代わりに連絡してくれない?」「え!?」思わず大きな声を出してしまって、隣から「どうした?」と声をかけられた。それに彼女は「なんでもない」と答え、雪乃に対してヒソヒソと問いかけてきた。「私に裏切り者になれって言うんですか?」泣きそうな顔だ。でも雪乃はそれにしっかりと頷き、言った。「このままじゃ、あなた主犯にされちゃうわよ?いくら貰ったのか知らないけど、割に合わないんじゃないの?」そう言うと、彼女も同じ思いだったのか、その目に迷いを見せた。「主犯かそうでないかで、罪の重さは違うわ。いい?これは〝誘拐〟よ。罪は罪でも、誘拐は重罪なの。その主犯になってごらんなさい、どれほどの罪になるか考えてみて」「で、でも…私は未成年だから、大した罪にはならないって…」青褪めた琴音が言うのに、雪乃はゆっくりと首を振った。「いいえ。法的にどうでも、きっと私の婚約者が許さないわ。あなたたちは、良くて刑務所送りよ」「そんな!」今や彼女は身体全体でがくがくと震えていた。琴音には、身体の弱
Terakhir Diperbarui : 2025-08-04 Baca selengkapnya