火ノ宮に三日ほど滞在した蒼愛と紅優は、火産霊の引き止めを押しのけて水ノ宮に戻った。 読書の他にも、炎の術の使い方など教えてもらって、蒼愛としてはとても楽しい時間だった。 水ノ宮に戻ると、淤加美が険しい顔で出迎えた。「予想通り遅かったね。火ノ宮に住むつもりかと思ったよ」 緊急事態でも起きたのかと思いきや、蒼愛たちの帰りが遅かったので不機嫌になっているだけらしい。 火産霊の引き止めを考えたら、これでも早めに切り上げてきたと思うのだが。 などと話すと淤加美がもっと不機嫌になりそうなので、黙っておいた。「戻るのが遅くなり、申し訳ありません、淤加美様」 紅優と一緒に蒼愛もぺこりと頭を下げた。「蒼愛が無事なら問題ないけれど。紅優も私のモノだと、あれ程、伝えたのにね」 淤加美に横目に流し見られて、紅優が苦笑している。「大事な話は、できたのかな?」 淤加美の問いかけに、紅優が一瞬、目を見開いた。「……はい。ちゃんと伝えられました。佐久夜の話を、火産霊と一緒に」 はにかむように笑んだ紅優に、淤加美もまた安堵の息を漏らした。「ならば、良かったよ。蒼愛も元気そうだしね」 淤加美に頬を撫でられて、蒼愛も笑んだ。「二人で佐久夜様を大切にするって決めたんです。どんな神様だったのか、僕も知りたいから、これからいっぱい紅優からお話を聞くんです」 淤加美がニコリと笑んだ。「そうかい。では私も、昔語りを蒼愛に聞かせようか」 「はい! いっぱい聞かせてください」 淤加美に頭を撫でられて、擽ったい気持ちになった。「先に大事な話を伝えておこう。色彩の宝石を瑞穂ノ社に祀る日が決まったよ。五日後だ」 「五日後……」 紅優の表情と纏う気が引き締まった。「五日後には、紅優の目が戻るんだね。そうしたら、完璧な番になれるよね」 紅優の袖を引く。 蒼愛を振り返って、紅優が笑んだ。「そうだね。今より蒼愛と深
Последнее обновление : 2025-07-25 Читайте больше