(ああ、私は何をしているんだ。)葵を部屋の外まで送ってから私は自嘲するように小さく息を吐いた。葵が部屋を出てから、ずっと後悔の念に囚われている。彼女が「この国のことをもっと深く学びたい」と申し出た時、私は驚きと同時に言いようのない喜びを感じた。この国の女性たちは皆、自信に満ち、愛されることを当然と受け止めている。明るく太陽のような存在の女性たちは一緒にいて元気を貰え活気が生まれるが、葵の持つ繊細な配慮や自ら「国のことを学びたい」と申し出た時、生まれて初めて女性に支えてもらっているという感情を頂いた。葵は、ただ愛されるだけの存在ではない。私と共にこの国の未来を創ろうとしている。彼女はこの国をさらに発展させるための「女神」としてこのバギーニャ王国へやってきたのではないかと。私の胸に熱い確信をもたらしたのだ。 しかし確信と同時に、私の中の一人の男としての感情が暴走してしまった。彼女の瞳の輝きと、私の手を握った時の温かい感触。それが私の理性を吹き飛ばした。まるで本能に突き動かされるように彼女を胸の中に引き寄せたあの瞬間。彼女が戸惑っているのが分かったのにすぐに手を離せなかった。私の腕の中で優しく髪を撫でた時、彼女がどれほど恥ずかしがっていたか。「ごめん、怖がらせたかな。今日はゆっくり休んでくれ」
Last Updated : 2025-07-01 Read more