「あ、いや、それは大丈夫! 僕の方こそごめん!」僕が頭を下げると、「どうして、優樹が謝るんだ?」と、本宮さんがきょとんとしながらたずねた。「いや、えっと……僕が、起こしちゃったかなって。昌義さんの髪、なでてたから」と、僕はしどろもどろに答える。「別に、気にする必要ねえよ。遠慮せずに、もっとなでてもいいんだぜ?」なんて言って、本宮さんは微笑んでいる。その笑顔がとてもかっこよく見えて、僕はときめいてしまった。顔が真っ赤になっているだろうから、すぐにでもベッドに潜り込みたい。けれど、さすがに許してはくれないだろう。「そ、それじゃあ……失礼して」と、意を決した僕はおずおずと彼の頭をなでる。うっとりと目を細める本宮さんは、とても無防備で。普段はなかなか見られない彼の一面に、ドキドキする。とろけるような笑みを見せる彼を、とてもかわいいと思ってしまった。(大人の男の人に、『かわいい』は、おかしいかな?)ふと、そんな疑問が浮かび、僕は手を止めた。「どうした?」と、本宮さんが小首をかしげる。「あ……いや、何でもない!」唐突に恥ずかしくなった僕は、取り繕うように言ってそっぽを向いた。「何でもないって態度じゃねえな?」と、本宮さんが僕の顔をのぞき込もうとする。僕は、それを阻止するように彼に背中を向けた。「優樹? こっち向いてくれよ」本宮さんはそう言いながら、僕を後ろから抱きしめた。彼のぬくもりが心地よくて、身を委ねたくなってしまう。それを知ってか知らずか、本宮さんは、僕のうなじに何度もキスを落とす。その感触に、変な声が出そうになった。どうにか我慢していると、「なあ、優樹。何か思ってることがあるなら、お前の言葉で教えてくれないか?」と、本宮さんが僕の耳もとでささやいた。「――っ!」一瞬、心臓が止まるかと思った。い
Huling Na-update : 2025-10-08 Magbasa pa