放課後になっても滝沢の席には荷物は取り残されたまま。本人が戻って来ることは無かった。 あいつは、どうしてしまったんだろうか。 滝沢に連絡を取るべくスマホを開くと、目的とは違う人物からメッセージが一件届いていた。『陽葵の学校にストリーが居るんだってな!こっちでも噂になってる』 メッセージの送り主は笹川秋人。 既に昨日の出来事が他県の高校まで情報が拡散されてしまっているようだった。 しかし、不可解だったのはその後に続く文字列だ。『でもさ、それってある意味ニセモノなんだよ。 だって、本物は俺の側にいるから』 全くもって意味不明だった。 何をもって、何をニセモノと判断しているのか。 本文と一緒に添付されていた画像には、秋人とかなり可愛い女の子との自撮りツーショットが映っていた。 体を寄せ合い、腰に手を回している所を見るに、これが秋人が言っていた彼女なのだということを理解した。 この機に乗じて、可愛い彼女を見せつけたかったのか。まあ、男子高校生たるもの、そんな日もあるだろう…… 「ちょっと待って!誰だよその男!」 俺のスマホを上部から覗き込み、怒気をはらんだ声色で吉岡が叫んだ。 視線を合わせると目が血走っている。……ちょっと恐怖を感じたよね。「……ん?こいつか?俺の幼馴染だよ。今はサッカー推薦で他県に行ってるんだけどな────っておい」 最後まで言い終える前に、俺の手からスマホが奪い取られた。「やっぱり!」「やっぱりじゃないよ。返せ」 奪い返そうとしたスマホは、吉岡によってがっちりとホールドをされていて、微動だにしない。「ストリーちゃんだ!」「はあ?ストリーって今朝話題になってたやつか?それが、その写真のどこにいるってんだよ?否定したいあまり見えちゃいけないものが見えるようになっちまったのか?」 吉岡は血走った目をこちらに向け、力のこもった右手で俺のスマホ画面に指さした。「なにもかにも、ここにいるじゃないか!ストリーちゃんが。……志津里アイリたん! ここ最近全く姿も見せず、仕事もセーブしていたが男になんぞうつつをぬかしていたなんて。ぐぬぬぬぬ」 吉岡は悔しそうに唇を噛んでいた。唇から血が出てしまいそうな勢いだ。 そんな吉岡が指し示しているのは、秋人の彼女とみられる女の子。 そうそう偶然ってのが重なるとも思え
Terakhir Diperbarui : 2025-07-12 Baca selengkapnya