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35話

작가: さいだー
last update 최신 업데이트: 2025-07-18 21:55:11

 陽川は、矢野さんの体に隠れるように体を埋めた。

 陽川のスレンダーな体が小さく震えているのが、見ているだけでわかった。

 緊急事態にも関わらず、相変わらず吉岡は頭を抱えて念仏を繰り返しているだけ。肝心な時に役に立たないタイプだなこいつは。

 本当に不審者が現れたのならば、蹴りでも入れて正気に戻す所だが、俺にとっては好都合だった。

 今、俺たちの前に現れた不審者には見覚えがあった。

 というか、そんなやつが世の中にゴロゴロいてくれたら困る。

 あの背格好。そして、あの日と全く同じ服装に、俺はなぜか安堵感を覚えていた。

「大丈夫。姫の事は私が守るから」

 こんな時でも矢野さんは健気に陽川の事を気づかっている。

 きっと自分だって怖いはずなのに。

 普通に考えたら、陽川の事を追ってやってきた不審者だと、そう思うはずなのに。

 ひとまず彼女たちの解釈は置いておくとして、この場で不審者の正体に気がついているのは俺だけ。

「桐生君。姫の事頼める?」

 普段とは違う、糸がピンと張り詰めたような緊張感を帯びた声色で矢野さんがつぶやく。

 状況的に、矢野さんが不審者を取り押さえるか、追い払おうとしていることは明白だった。

 もし、そうなればどんな事が起こるだろう……

 矢野さんがジリジリと近づいただけで、不審者はきっと、あの日のように逃げ出す。

 しかし、どんくさいアイツのことだ。きっと、けっ躓いて、五メートルもしないうちに顔面からアスファルトにダイブするはずだ。

 そうなれば、正体を看破され、なんやかんやいちゃもんをつけられて、今回の情報流出の責任をすべて負わされる可能性だってある。

 ……ある、と言うか極めて高いと言えるだろう。

 今まで矢野さんにしてきてしまった事の報い。そして、矢野さん、陽川にはよく思われていない事、それを加味して考えれば、必然だと言える。

 矢野さんは「大丈夫だよ」と声をかけベンチに震える陽川を残し、一人立ち上がる。

 相手が相手で無ければ友達思いで、勇敢だなと惚れ直していた所だろうが、俺の中では焦りが勝っていた。

 このまま矢野さんを行かせてしまえば、不器用な美少女の願いは、永遠に叶わぬものになってしまうだろう。

 ジリジリと矢野さんは進んでいき、不審者の五メートルほど手前で止まると声をかけた。

「あなた、もしかして姫への付きまとい?そういうのはとても
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