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35話

مؤلف: さいだー
last update آخر تحديث: 2025-07-18 21:55:11

 陽川は、矢野さんの体に隠れるように体を埋めた。

 陽川のスレンダーな体が小さく震えているのが、見ているだけでわかった。

 緊急事態にも関わらず、相変わらず吉岡は頭を抱えて念仏を繰り返しているだけ。肝心な時に役に立たないタイプだなこいつは。

 本当に不審者が現れたのならば、蹴りでも入れて正気に戻す所だが、俺にとっては好都合だった。

 今、俺たちの前に現れた不審者には見覚えがあった。

 というか、そんなやつが世の中にゴロゴロいてくれたら困る。

 あの背格好。そして、あの日と全く同じ服装に、俺はなぜか安堵感を覚えていた。

「大丈夫。姫の事は私が守るから」

 こんな時でも矢野さんは健気に陽川の事を気づかっている。

 きっと自分だって怖いはずなのに。

 普通に考えたら、陽川の事を追ってやってきた不審者だと、そう思うはずなのに。

 ひとまず彼女たちの解釈は置いておくとして、この場で不審者の正体に気がついているのは俺だけ。

「桐生君。姫の事頼める?」

 普段とは違う、糸がピンと張り詰めたような緊張感を帯びた声色で矢野さんがつぶやく。

 状況的に、矢野さんが不審者を取り押さえるか、追い払おうとして
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