All Chapters of 離婚翌日、消えた10億円と双子妊娠を告げぬ妻ーエリート御曹司社長の後悔ー: Chapter 181 - Chapter 190

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181.瑛斗の反撃、空との友情

瑛斗side「空、玲の不正横領の件、本格的にメスを入れるぞ」空の大胆な仮説を聞き、俺はすべてを突き止める決心をした。このまま二人を泳がせておくわけにはいかない。「ついにやるんだね。玲さんだけでなく、会社にも関わることだ。必ず証拠を掴もう」空の顔に浮かぶのは、いつもの冷静な微笑みだった。俺たちは、玲の不正を暴くため、疑惑の会社の実態を徹底的に調べることにした。信用調査会社に料金はいくらかかっても構わないので、聞き取り調査なども含めて行うように依頼した。空の調べで、玲が指揮を執る案件で数年前から毎月定額の取引がある新規の会社があった。しかし、最近まで法人登録すらされておらず、企業のホームページも見つからず会社として営業しているのかすら怪しかった。そんな会社と一条グループのような大企業が取引することなど、本来ならありえないことだが、玲は副社長の地位を利用し、裏ルートで承認をして問題ないように見せかけ、支払いを行っていたのだ。「この会社の実態がなかったり、玲さんとの関与が証明されたら不正会計や横領罪で玲さんを追い詰めることができるね」空の言葉に、俺は強く頷いた。「ああ。この裏が取れた
last updateLast Updated : 2025-09-14
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183.華の尋問、護の答え②

「すれ違うくらいはあるかもしれないけれど、でも、華に話すほどのことではないと思ったんだ。華も玲さんとは上手くいっていなかったみたいだし、玲さんが帰国してから色々あったから思い出させない方がいいと思って」「私のため……なのね?」護さんの言葉に、私は冷たい笑みを浮かべた。「護さんは、前に私に『事実を知らない方が嫌だ』と言ったわよね?私も同じ気持ちよ。正直に答えて?」護さんは動揺を隠せないようだった。しかし、私の質問には答えず、逆に私を問い詰めてくる。「でも、なんで華がそんなに詳しく知っているんだい?華は神宮寺家とはもう関わりがないじゃないか。華のお父さんもその時間は家にいない。何故、必ずと言い切れるんだい?」「話を誤魔化さないで。父はいなくても継母や家政婦は覚えていて話しているわ」「へえ、継母や家政婦ね」護さんは私の言葉を疑っているようだった。このままでは、彼は言い逃れを続けるかもしれない。そう思った私は、最終手段に出た。私は、彼の手に力を込めてからまっすぐに瞳を見つめた。「三上!正直に言いなさい。ここからは、神宮寺家の娘として聞くわ!」「華?そんなに
last updateLast Updated : 2025-09-15
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184.護の本性、暴かれる秘密①

華side 「何を言っているの?どういうこと?」私が震える声で三上に問い詰めると、不気味な笑みを浮かべながら、私の耳元に顔を近づけてきた。今まで何度もこうして触れ合って温かい気持ちになったのに、今は全身を身震いさせるほど恐ろしく、不快だった。「いいかい?僕は、華がどうしてそこまで強気で問い詰められるのか聞いているんだよ」三上は私から視線を外さずに、獲物を追い詰めるような冷たい光を放ち、じっと見つめている。私は、質問の意図が分からず黙っていると、三上は小さく舌打ちをしてから口を開いた。「華に神宮寺家の現在が分かるはずはない。華はさっき『父に聞いた』って言ったけど、仕事で忙しく飛び回っているのに、家のことを把握しているわけないよね。」「それに継母の櫻子さんも、華がいなくなってから、裏では『これで前妻の血が流れる者がいなくなった』と喜んで、態度を変えてね。今では我が物顔で過ごしていて、夫婦関係は、もう何年も前から破綻しているんだよ。あの二人は会話すらしていない」(私がいなくなってから、父たちの関係がそんなことになっていたなんて……)私は、三上の言葉に言葉を失った。もう何年も神宮寺家から離れていた私には分かるはずのない事実を淡々と語っている。
last updateLast Updated : 2025-09-16
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186.逃げられない鳥籠①

華side「三上、自分が何をしているか分かるの?こんなことしてただでは済まさないわよ」三上は、私の言葉を無視するようにスマホを操作し、電話を掛け始めた。「あ、久保山さん。三上です。華さんですが、昼間から発熱しまして……。検査をしたら、感染症の陽性反応が出ました。慶くんや碧ちゃんへの感染予防と華さんがゆっくり休めるように、しばらく僕のところで様子を見ることにします。申し訳ないですが、双子ちゃんたちのことをお願いできますか」その声は、私たちが今まで知っていた「優しい護さん」そのものだった。その完璧な演技に私は身震いした。「ええ。何かありましたら連絡します。それでは」電話を切ると、三上は再び冷たい表情に戻り私を見下した。「華こそ、そんな口の利き方していいのかな?僕は、医者だよ。体調や症状の変化を医学的に説明できる。感染症と言ったけれど、一週間で帰れるとでも思ったのか?」一瞬間で帰れると思ったか?、嫌な予感はしたが、実際に言葉に出されるとより恐怖が湧いてくる。「あなた、何をするつもりなの?私をどうするつもり?」「どうって、それは華の態度次第だよ。これで少し
last updateLast Updated : 2025-09-17
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188.壊れたティーカップ、崩れ去る信頼

華side(今は三上を刺激しない方がいい。まずはここを出ることを考えなくちゃ……)狂気に満ちた三上を前に、私は思考を巡らせた。ここを出る、それが今、私がすべき最重要事項だった。「私次第って言うけれど、護さんは私にどうして欲しいの?」三上の期待に応えるように、あえて「護さん」と呼びかけた。その呼び方に、三上は一瞬だけ私の知っている護さんの柔らかい笑顔に戻った。『護さん』は、三上と付き合い始めてから呼ぶようになった呼び方だ。子どもたちが産まれてからずっと側にいてくれた護さん。その子どもたちも、もうすぐ七歳。私は、護さんと過ごした七年間を思い出していた。困ったことがあると飛ぶような速さで駆けつけ、いつも助けくれた。告白を断った後でも、変わらずにいつも穏やかな笑顔で微笑んで側にいて支え、私や子どもたちの誕生日も毎年欠かさずお祝いしてくれて、遠くの公園や動物園などにも連れて行ってくれた。本物の家族みたいだと思ったこともあった。そんな護さんだから、惹かれたんだ――――― 落ち込んだときに優しく抱き寄せて慰めてくれる、あの温もりや安心を感じることはもうないのだろう。そして、一緒に過ごしたとても幸せな時間の中で、護さんは純粋に思う
last updateLast Updated : 2025-09-18
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189.献身的な愛と見えかけた餌

華side「僕は、華に僕だけを見て欲しいんだ。僕の世界で華を包み込みたい。他に興味を持たないでほしい、いや、何も知らなければいい」三上の言葉は、優しさを装っているが、単に私を彼の世界に閉じ込めて、誰も入ってこられないようにしたいという歪んだ感情に満ちていた。「お父様に私があたかもプロポーズを受けたように感じさせて、別荘を他の場所に移したいって言ったのも、そのため?私たちを外の世界の人たちと関わらせないためなの?」私の問いに、三上はわずかに眉をひそめてから、すぐに元の表情に戻った。「ああ。長野の別荘は、あいつに知られてしまったからね。でもどうやって分かったんだろう。僕は見つからないように常に周囲を警戒し防犯対策もしていた。僕からじゃないとしたら…………」護さんは私を疑うような目でじっと見ている。ここで彼を逆上させるわけにはいかない。「違う、私じゃない。私は、私は本当に離婚後に瑛斗と連絡を取っていない」「どうだろう。でも、瑛斗が会いに来たけれど、僕の手に引かれて別荘に入っていた時は快感だったな。あの、瑛斗の悔しそうな顔ときたら……ふっ、ふふふふ。ああ、あの時も怖さで僕に抱き着く華も可愛かったな。離したくないと思ったよ」護さんは鼻で笑うと、初めて瑛斗が来た日のことを思い出し
last updateLast Updated : 2025-09-18
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