All Chapters of 離婚翌日、消えた10億円と双子妊娠を告げぬ妻ーエリート御曹司社長の後悔ー: Chapter 191 - Chapter 200

264 Chapters

193.恐怖の一夜、三上の執着

華sideひどく長い一日がようやく終わろうとしている。昼間、三上に玲と会っているか尋ねたところ、はぐらかそうとしたので強い口調で問い詰めた。すると、三上は逆上し異常性が次々と明らかになる。今まで貯めに溜め込んだ盗撮写真や動画を見せつけてくると、椅子に縛り付け拘束。なんとか拘束を解いて脱出を試みたが、用意周到な三上の手中に嵌り、今もこうして同じ時を過ごしている。「華とこうして僕の部屋で夜を過ごせるなんて夢みたいだ」とても嬉しそうに三上は笑いかけてくるが、私は無表情で目を瞑って俯いた。子どもたちがいるため、この部屋に泊まったことはない。この部屋以外でも、こうして二人だけで一夜を共にするのは初めてだ。しかし、このまま助けも脱出も出来ないと毎日この生活が続いてしまう。そう思うとおぞましくて食事の味もよく分からなかった。三上は、そんな私の様子を気にすることもなく、まるで子どものように嬉しそうに無邪気に微笑んでいる。その笑顔は、私を支配していることへの純粋な喜びの表れだった。「おいで」三上に引かれて寝室へと導かれる。無意味だと分かってはいたが、嫌だと断ると既に目元を隠し加工済みの画像を見せられた。
last updateLast Updated : 2025-09-20
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194.華のSOS、歪んだ家族計画

華sideあれから一週間、三上の部屋で私は生活を共にした。私は、ここから出る方法を考えていたが、いい案は思い浮かばず、ただただ時間だけが過ぎていった。久保山には、私の血液検査の結果が悪かったためもうしばらく様子を見ると三上が連絡している。長年、神宮寺家に仕えている三上の信頼は厚く、久保山は心配はしていたものの、何の疑いの色も見せなかったようで、電話はあっさりと切られてしまった。「これで華がこの家にまだいても大丈夫だ。誰も疑いはしない。誰も僕らの邪魔は出来ないんだよ」三上は勝ち誇ったような表情で私の顔を覗き込む。私は、表情を変えずに無反応でソファに座っていた。もはや感情を外に出すことさえする気力も失せていた。三上への嫌悪感がなければ、これは同棲生活なのだろう。食事も三食しっかりと与えられ、家の中は不自由なく動き回れる。『好き』や『愛している』などの言葉を三上から何度も口にしているが、彼の悪事を知った今、私の心に届くことはない。私は、このマンションという鳥籠の中で、三上の思い通りの反応をするように求められる、心をなくしたただの人形だ。「お願い、子どもたちに話をさせて。急にいなくなって心配していると思うの」「子どもたちと言いながら、他のところに電話したりするんじゃないだろうな」
last updateLast Updated : 2025-09-21
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195.華のSOS、歪んだ家族計画②

「ママ?ママー?どこにいるの?元気?ママがいなくて寂しいよ」慶と碧は、私の声を聞くと、すぐに泣き出してしまい、電話口から聞こえてくる泣き声に、胸が張り裂けそうになった。今すぐにでも三上の元から逃げて、子どもたちを思いっきり抱きしめたかった。「ごめんね、ごめんね。ママね、身体にばい菌さんがいるみたいでしばらく帰れそうにないの。みーみがやっつけてくれるから頑張るね」「うん……、待ってるね。早く帰ってきて」「それでね、今、ママ、すぐに駆けつけることが、出来ないの。何か助けが必要なら久保山の携帯に電話出来るかな?久保山の番号、分かるかな?」私は、護さんの監視下で、必死にメッセージを送った。「……うん、8番!」元気よく答える声に、私の心に一筋の希望の光が灯った。「そうよ。あとでこの電話が終わったら、一回練習してみようか。久保山に練習のことを伝えたいから、電話代わってもらえる?」私は、久保山に子どもたちがスマホで電話を掛けられるか見て欲しいと伝えた後、電話を切った。英語を習っている子どもたちでも分かりやすいように「8番」に瑛斗の番号を登録した。ママがいなくて困ったことがあれば、「8番」を伝えるように約束していたのだ。(お願い、今ので分かって…。助けが必要なの。あの番号に電話を掛けて。)「慶くんも碧ちゃんも華に会えなくて寂しそうだったね。可愛そうに」「それは、あなたがこんなことしているからでしょ」私が殺意を持った目で睨みつけると、三上は嘲笑してこちらを見返してくる。「そんなことないよ。華が僕と結婚して、永遠に僕だけのものになるなら、子どもたちとも、すぐに会うことが出来るよ。そうしたら、誰も知らない場所に移って家族四人で暮らそう」子どもたちを身代わりにされたような気持ちになり、三上が憎くて憎くてたまらない。私は無言で、ただただ三上を睨みつけ、威嚇をしていた。
last updateLast Updated : 2025-09-21
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196.瑛斗、反撃の狼煙

瑛斗side 不正取引が疑われる会社の情報を得るため信用調査会社に調査を依頼したところ、思わぬ回答が返ってきた。「法人登録された会社ですが、郵送で送ったところ住所不明で戻ってきてしまいました。直接、現地に行くと看板はあったのですが、事務所に誰もおらず不在でした。電話をしても繋がりません」信用調査会社からの報告は、玲の不正を確信させるものだった。しかし、これ以上の調査は信用会社では限界があると思った俺は、より深く潜入調査を行う探偵に事務所の状況を調べさせた。数日後、探偵から詳細な報告が届く。「このビルですが、オーナーは外国人名義になっており連絡がつきません。二週間張り付きましたが、登録されてるフロアに人の出入りは一切なく、恐らく使用されていないでしょう」二つの報告を聞き、俺は空と目を合わせ、静かに頷きあった。探偵には、この実体のない会社の代表者の情報を渡し、徹底的に洗い出すように指示をした。俺の胸に、静かに燃え盛る怒りがこみ上げてくる。そして、その怒りは、玲の不正を暴くだけでなく、俺と華、そして子どもたちを引き裂いたすべての嘘を、白日の下に晒すための強い決意へと変わっていった。「空、玲を引きずり下ろすぞ。すぐに書類をまとめてくれ。俺は、会長への報告や今後の対応を練る」
last updateLast Updated : 2025-09-22
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198.玲の逃走、明かされる新たな真実①

瑛斗side「おい!玲、待て!」突然、勢いよく立ち上がり走り去る玲を、慌てて追いかけると副社長室の扉の前に何か置いたようで、びくともせず開かなかった。勢いよく体当たりするように身体全体で押すと、目の前に段ボール三箱と中に入っていた書類が辺り一面に散らばった。一瞬だけ、走って逃げる人影が見えた。(玲?それにしては少し小さかったような?)書類をよけながら、必死で玲を追いかけると、玲は、まっすぐとエレベーターホールに向かって走っており、このまま外へ逃げようとしているようだった。(ここで逃がしてたまるもんか。全てを明らかにするまで手放さないからな……)エレベーターがすぐに来るとは限らない。この角を曲がれば追いつける、捕まえられる、そう確信したときのことだった。「副社長、こちらです。急いでください。表に車……」エレベーターホールには、秘書の長谷川がぜえぜえと息を切らしながら、到着しているエレベーターの一機を手で押さえて待ち構えていた。俺も角を曲がり乗り込もうとしたが、玲が入るとすぐに「閉」のボタンを押され、無情にも目の前でエレベーターは下へ下へと下っていく。「くそっ……!!」(長谷川は、『表に車』と言っていた。車で逃走するつもりか?)この会社は地下駐車場は社内の車しか入れないよう、出入口で運転手の免許証の提示が義務付けられている。逃げる時にそんな時間を取られる手段を選ぶとは思えない。俺は、次に来たエレベーターに乗り込み「1」のボタンを勢いよく押した。
last updateLast Updated : 2025-09-23
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199.玲の逃走、明かされる新たな真実②

瑛斗side『――――――代表者には娘がいまして、その娘は一条玲の秘書・長谷川です。長谷川を通じて調査の内容が知られている可能性があります。』先ほど探偵が言っていた電話の内容が、頭の中で何度も繰り返される。架空の会社の代表者には離婚歴があり子どももいた。そして、その子どもの一人が玲が外部から呼びこんだ新しい秘書の長谷川だった。「あの会社について調べていたが、代表と秘書が親子なら情報は筒抜けだったってことか」俺は水面下で行っていた行動が玲たちに伝わっている可能性を知り、壁を思いっきり叩いた。エレベーターの扉が開くと同時に走り出した。ロータリーを抜けて玄関口に向かうと、玲の後ろ姿が見えた。玲は高いハイヒールで長い髪をなびかせながら一生懸命走っているが、次第に距離は縮まっていく。(これなら追いつける。タクシーを捕まえる前に、玲を取り押さえれば大丈夫だ)しかし、この逃走を知っていたかのように、玄関の目の前に黒い車が一台停まっており、玲と長谷川は迷うことなくその車に乗り込んでいる。二人が乗り込むと車は猛スピードで発進をした。後部座席に乗った玲が、こちらを振り返り小さく笑っている。それは、無事に逃げ切れたことへの安堵と、もう真相を問われることはないという、俺の怒りを嘲笑うような勝ち誇った笑顔だった。その笑顔に、俺は全身の血が逆流するような怒りを感じた。
last updateLast Updated : 2025-09-23
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200.玲の協力者と疑惑の闇

瑛斗side「玲さんが乗っていた車は、盗難車だったようで車のナンバーから所有者は割り出せなかった。あと、付近の防犯カメラらの映像からも運転手の顔も特定できなかった。」空が悔しそうな顔をして警察からの報告を俺に告げた。「秘書の長谷川もグルだったことを考えると、瑛斗と玲が副社長室に入っている間に、長谷川が車など逃走準備をしていたんだろう。」「くそっ、これで玲を捕まえられると思ったのに、あと少しのところで逃げられた。手に入れたのはこれだけか……」俺は、玲が睨みつけるようにサインをした離婚届と離婚協議書を力強く握りしめた。離婚届にあっさりサインをしたところを見ると、玲にとって大事なのはあのペーパーカンパニーの存在だろうか。「副社長の座をはく奪されて事情聴取されると思ったんだろうね。金額も多額だから、業務上の横領で捕まれば有罪判決になるけれど、逃亡した今、玲さんの居場所を掴まないと動けないとの事だった。もしかしたら、書類にサインをしたのは、逃走準備のための時間稼ぎだったのかもしれない」「玲が出てきてすぐ長谷川が荷物を扉の前に置いて時間稼ぎをしているようだった。指示も長谷川が出していたし、この逃走は長谷川が指揮を取っていたのかもしれない」「あと警察は、映像から対向車が来ても猛スピードで信号無視を繰り返す運転に躊躇を感じられず、一般人とは思えないと言っていたよ。」「一般人とは思えないって……怖いことを言うな。でも、神宮寺家がそんな怪しいところと繋がっていることなんてないだろう」三上を疑いながらも神宮寺家が犯罪に加担しているとは思えず、内心の不安を口にした。「そこまでは今分からないけれど、とにかく玲さんが繋がっている可能性は高いよ」その時、ブーブーブーとデスクに置いていた俺のスマホが着信を知らせた。画面には登録されていない番号が表示されており、俺は玲絡みかと思い、少し緊張した面持ちで「通話」へとスライドさせた。「はい、一条です」
last updateLast Updated : 2025-09-24
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