瑛斗side「あ、瑛斗だ。瑛斗電話に出たよ」「もしもし瑛斗ー、あれ?声が聞こえない?繋がっているのかな?」電話から聞こえてきたのは幼い子供たちの声だった。俺の番号を知っていて、下の名前で呼ぶのは、あの子たちしかいない。「慶くん?碧ちゃん?」「わー出た!!瑛斗だー!」二人は俺の声を聞くと、キャッキャッと喜んで声をあげている。その無邪気な声に、俺の緊張は一気にほぐされていった。「こんにちわ。今日はどうしたのかな?」「あのね、ママにばい菌さんが見つかったの。それで、みーみが退治するために、急にママがおうちに帰ってこなくなっちゃったんだ。今、ママと電話でお話をしたら、困った時はこの番号に掛けてって。ママとの電話を切ったらすぐに掛けるように言われたの」「華が!?ママは、今はみーみと一緒にいるのか?いつ?いつからいなくなった?」子どもたちを驚かせないように優しい声で話しかけたが、心の中では焦りで叫びたい気持ちでいっぱいだった。玲が逃走した以上、三上のことも限りなく黒に近い。そんな三上が、華と一緒にいるなんて危険な香りが漂っている。「うーんとね、十回ねんねした!場所は分からないの」「十日も!?そうか、分かった。ありがとうね」子どもたちの電話を切ると、隣にいた空が心配そうな顔をしてこちらを見つめている。俺は、空の顔を見て決意を固めた。「空、華が三上と一緒にいて、もう十日も家に帰ってきていないらしい。華の電話は、おそらく助けを呼ぶものだ。はっきり言わないということは、三上にこの会話を聞かれている可能性もある。華を助け出すぞ」「華さんが―――!?」空は驚きに目を見開いたが、すぐに大きく頷いた。
Terakhir Diperbarui : 2025-09-24 Baca selengkapnya