All Chapters of 離婚翌日、消えた10億円と双子妊娠を告げぬ妻ーエリート御曹司社長の後悔ー: Chapter 11 - Chapter 20

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12.華の代替、玲・瑛斗の妻の座を奪う

「待ってください。報告が遅れたのは申し訳なかったと思っています。しかし、何故、俺と玲が一緒になるのですか?」 「この政略結婚はな、一条家と神宮寺家の後継ぎを作るのが目的なんだ。そのために華さんと瑛斗を結婚させた。しかし、お前たちは三年経っても子どもが出来なかったじゃないか。」 「子どもなら…………」 『華は妊娠している』そう言おうと思ったが口を閉ざした。玲の言う通り、もし華の子が俺の子ではなかったら華のことを苦しめてしまうだけだと思った。 「そのうえ、お前は嫁に愛想を尽かされて出ていかれたマヌケ者だ。しかも、いなくなったことを言わなかったせいで向こうから問われたんだ。こちらが隠していると思われても仕方ないんだよ。そんな状況なのに、神宮寺さんは娘がお前の妻として未熟だったことや、子どもができなかったことを謝罪してきたんだ。妹の玲さんに至っては、お前が今一人だから支えたいとまで言ってくれているんだ。玲さんに感謝するんだな。」 (後継ぎを作るための政略結婚……。そして華がいなくなった今、一条家と神宮寺家の血を引き継ぐ俺と玲が一緒になれば結婚の意味を成すということか……?俺たちはただの駒なのか?) 今まで自分の境遇が誇らしかった。一条グループの御曹司で若くしてCEOになり将来を期待されている存在として、常に周囲から羨望の目で見られてきた。教養やマナー・経営学など厳しい躾もあったが、時間とお金をかけて
last updateLast Updated : 2025-06-16
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14.邪魔するのは誰?迫る恐怖と刺客あらわる

瑛斗には、離婚を切り出されたあの夜から一度も会っていない。離婚協議書を渡された翌日に、瑛斗と玲が会社の地下駐車場で密会しているのを見てしまった。二人に裏切られたショックと気持ち悪さで急いでスーツケースに荷物を詰めて家を出た。 瑛斗とやり直せる可能性はないか、妊娠を伝えて、そこから誤解を解く糸口を探そうと思っていたが、私との離婚後の話をする瑛斗と玲を見てすでに心がないことを知り絶望した。 実家に帰れば玲がいるかもしれない。玲とも顔を合わせたくなかったので、誰にも言わずにその場でマンションを契約した。殺風景で何もなかった部屋だったが、今では家具や家電も揃い、一通り生活に不自由がないようになった。 誰かと話すことや、帰りを待つ相手がいなくなり一人の生活というのは寂しさもあるが、お腹の子どもたちの成長に気がつきやすくなるというメリットもあった。今後に不安がないと言えば嘘になるが少しずつ穏やかな日常を取り戻しつつあった。しかし、ここ最近誰かに命を狙われている恐怖に陥っていた。最初は妊娠中だから神経が集中し過ぎて気にしているだけだと思っていたが、ある日検診のために外に出ると目の前を猛スピードで自転車が通り過ぎていった。 この日、ロードバイクに跨ぎながら辺りをチラチラと見渡している怪しい人物を見つけた。自転車なのにフルフェイスで顔が見えないようにしているのが不審さを増長させている。意を決してエントランスから歩道に出ると、待っ
last updateLast Updated : 2025-06-18
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15.居場所をつきとめた玲の妨害

「みぃーつけた!これでもう逃げられないよ」 ついに姉の居場所を突き止めた。神宮寺家とも一条家とも縁もゆかりもない地で一人暮らしをしていることが分かった。瑛斗と空の様子も伺っていたが騒いでいないということはまだ分かっていないのだろう。 姉が失踪したことをきっかけに両家を納得させて瑛斗と結納の儀を交わした。その場で婚姻届に署名もして晴れて瑛斗と夫婦になった。夫婦にはなったが、姉とお腹の子の存在が邪魔だった。 特にお腹の子は瑛斗と血が繋がっている。瑛斗には別の男性の子を姉が身籠ったと言ったが姉が帰ってくれば嘘がバレてしまう。また後継ぎを作るために両家が結婚の契約を交わしたのに、姉の子が産まれてきてしまっては私が結婚する必要がなくなる。お腹の子たちを消す必要があった。 姉と子どもが不慮の事故で見つかり未亡人になった瑛斗と結婚するか、子どもだけを消して父親の存在も分からない汚れた姉を連れ戻してから神宮寺家と縁を切り今後一切接触しないように追放しようと思っていた。「は?また失敗したの?一体いくら払っていると思っているのよ。ふざけないで」 事故に見せかけようと運転手を雇ったがことごとく失敗を繰り返している。私の怒りは頂点に達していた。 「次はないと思って今度こそ
last updateLast Updated : 2025-06-19
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18.実家との決別、操作する玲

「お姉ちゃんは、瑛斗さんを支える役目を放棄して失踪したわ。だから私が一条家と神宮寺家の仲を取り持つためにも、お姉ちゃんの代わりに瑛斗さんの妻になったの。今は私が瑛斗さんの妻よ。」 「うそ……」 「だから、いくらお姉ちゃんの頼みだからって瑛斗さんをこれ以上苦しませるようなことは許さない。DNA鑑定で親子関係がないことを知ってショックを受ける瑛斗さんのことを思うと悲しくて悲しくて考えられないわ。」 「ショックなんて受けないわ、だってこの子たちは本当に瑛斗の子なのだもの」 私と玲が言い争っているのを見て、母が間に入ってきた。 「華ちゃん。今、玲のおかげで両家の関係が崩れることなく保たれているのよ。これ以上悪化させるようなことはしないでくれるかしら?それに父親が誰だって、離婚前の妊娠だから瑛斗さんの子どもになるのだもの。良かったじゃない」 母はそう言って微笑んでいる。母と玲は私の言葉を聞こうともせず、他の人の子どもという前提で話をしている。 「お父様…、信じて。本当にお腹の子は瑛斗の子で疑われるようなことは何もしていないわ。」 父は私の目をじっと見つめていたが、困
last updateLast Updated : 2025-06-21
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19.瑛斗の困惑、慰謝料十億円の真偽

「華は元気でやっているだろうか……。」 社長室の椅子に浅く腰を掛けながら華のことを考えていた。 デスクの鍵付きの引き出しをそっと開ける。そこには結婚指輪とサイン済みの離婚協議書、そして離婚届を隠している。 玲が帰国してすぐに俺のところへ華の本性を打ち明けに来た。『一条家の財産を得るためには、玲の存在が邪魔で海外へ行くように仕向けた。瑛斗も騙されている』 令嬢で裕福な暮らしをしてきた華がお金に執着しているなんて思わなかったが、玲のことを完璧にも無視できず俺は華を試すことにした。 離婚協議書の慰謝料を十億円と破格の金額を提示したのだ。本当に華が財産目当てだったら、すぐにサインをするかもっと要求してくるはずだと考えていた。もし要らないと拒否したり金額が多すぎると言ってきたら財産目的ではないと証明できる。 華の反応で玲の言葉の真偽を確かめようとした。しかし、俺の読みは甘かった。華はすぐにサインをしたが何も言わずに出て行ってしまったのだ。そして、失踪してから分かった双子の妊娠。 (すぐにサインしたのは財産目当てとも取れるし、子どもを育てるために貰ったとも考えられる。せめて華と話すことが出来た
last updateLast Updated : 2025-06-22
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