金塊の山が築かれていた。それだけでは終わらず、裕子はまた別の箱を開けた。やはり、中には金塊がぎっしり詰まっていた。結衣は言った。「これは全部、あなたにあげるものよ。驚かせようと思って並べてみたの。後でまとめて、隼人に持たせてあげるね」月子は言葉に詰まった。晶は、自分に対して一度たりとも良い顔をしたことがなかった。結衣の立場は晶と全く同じはずなのに、自分への態度はまるで正反対だった。月子は、なかなか状況を把握できなかった。「鷹司さん、この前はもうお祝いをいただいておりますので、もうこれ以上は恐れ多いので」「それとこれは別よ。今日、あなたは私の家を訪ねてきてくれたのよ。お土産を用意しないなんて、そんなことできないでしょ?」お小遣いをあげるだけなら、結衣は得意中の得意。若い女の子が何を好むか、頭を悩ませる必要もない。それに、自分が月子を大切にすることで、隼人も母親としての自分の気遣いを高く評価してくれるんじゃない?月子は助けを求めるように隼人を見た。隼人は二人の間に割って入り、結衣を押しのけた。結衣は黙り込んだ。まあいいや。これくらい大目に見てあげよう。息子が珍しく自分に頼み事をしてきたんだもの、どうしても彼の願いを叶えてあげたかったのよ。結衣は傍らにあった箱を取り出した。「さあ、これはあなたも買ったの、ブレスレットよ、開けてみて」すると月子の目の前に、ほぼ透明で柔らかな光を放つ高級そうなブレスレットが現れた。宝石について少しは知っていた彼女は、肉眼で見て取れるその際立つ質感が最高級の中でもまさに最高峰のものだとすぐにわかった。「金塊はもあるんだから、宝石もないとね」結衣は有無を言わさずに月子の手首を取り、ブレスレットをはめてあげるとそれを、うっとりと眺めていた。「まるで透き通るような白い肌に宝石がよく映えてるね。本当に綺麗よ。今回は時間がなくて用意できなかったけれど、今度他の種類の宝石もプレゼントするから。もっと綺麗でもっと輝きが気高いものがいいわね」月子は、結衣が本当に素敵な人だと感じた。結衣はため息をついた。「もっと時間があれば、マンションと車も買ってあげたのに。隼人と付き合ってるんだから、あなたに苦労はさせられないよね」月子は何も言えなかった。この前会った時は、かなりクールな雰囲気だっ
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