私の左の薬指で青い宝石が輝いている。 派手さはないけれど、とても上品な輝き。ゼノンの瞳そっくりな冬の空の色。どこまでも透明な青だった。「本当は婚約ではなく結婚を申し込みたかった。やっと僕も成人しましたからね。けれどこれから長い任務を控えていて、今すぐに結婚はできません」 ゼノンは私の手を包み込むように握って、残念そうにため息をついた。「焦ることないよ、帰ってきてからでいいんだもの。でも実を言うと、お付き合いの申込みじゃなくて婚約だったの、ちょっとびっくりしちゃった」 彼はいつから結婚まで考えていたのだろう。ゼノンのことだから用意周到に進めただろう。 ではそれなりに前からだろうか。考えると顔が赤くなる。 恥ずかしくなってうつむいた私に、彼は心配そうに囁いた。「嫌でしたか……?」「ううん。それだけ真剣に考えてくれたんでしょ? 嬉しいよ」 私が言うとゼノンはぱっと笑った。「良かった。エリーさんが誰かに取られてしまわないか、心配で。僕は年下だからどうしても不利だったんです」「取られるだなんて。そんな心配、ないのに」 自慢じゃないが私は特にモテたことがない。 ゼノンの担当訓練官になったおかげで、女子から多少のやっかみを受けるくらいである。 そういう心配はゼノンに対してするべきであって、こっちは必要ないと思う。 ところが彼は首を振った。「いいえ、心配でしたとも。準聖騎士や魔術士の中にも、エリーさんを気にしている人はけっこういるんですよ。薬草園の主で、有能な魔術士で、しかも優しくてかわいい。僕とお兄さんで牽制しまくったおかげで、悪い虫は寄ってきませんでしたが」 なんだと! 兄め、途中からゼノンと出かけることに口出ししなくなったと思ったら、一緒になってそんなことやってたのか。「お兄さんは最初、『エリーと付き合いたくば俺を倒してからにしろ!』と言っていまして。正式に手合わせして勝ったので、お許しをもらいました」「なにやってんの、兄&h
Terakhir Diperbarui : 2025-06-30 Baca selengkapnya