会場は豪華に飾られ、主な出品物はきらびやかな宝石だ。ライトに照らされ、きらめくファイアが人々の瞳の奥までまっすぐ映り込んでいる。今回、昊志は明らかに相当の資金を投入していた。競売人が登壇するとすぐに入札が始まり、美穂は怜司の同伴者として自ら札を上げ、彼の代わりに二千万円前後の価格で宝石を二点落札した。あまりに高価なものは避けた。噂になれば神原家のライバルに揚げ足を取られかねないからだ。最終的な支払いも美穂の口座から行った。ところが、「緑野」をテーマにしたカラーストーンのセットが出品された瞬間、美穂の澄んだ瞳がぱっと明るくなった。「これ、宣伝の写真よりずっと綺麗ですね」「気に入った?」怜司が横目で尋ねた。「じゃあ、落とせばいい」美穂はうなずき、ためらいなく札を上げた。ここには、代理で入札してくれるオペレーターなどはいない。「一億」言葉が落ちるやいなや、すぐ後ろから柔らかい女声が響いた。その価格は一気に倍に跳ね上がった。美穂の動きが止まった。考えるまでもない――声の主が誰かすぐに分かった。振り向くと、やはりそこには乳白色のスリットドレスを纏った美羽がいた。彼女はしとやかに席に腰を下ろし、その姿はまるで俗世を離れて咲く、一輪の白百合のようだった。美羽を見ると、ちょうど彼女もこちらを見ていた。視線を交わした瞬間、空気の中で音もなく火花が散った。美穂は、かつて莉々と競売で親の遺品を奪い合った記憶を思い出した。あのときは将裕が間に入ってくれたからこそ、遺品を取り戻せたのだ。しかし今回のカラーストーンには、彼女にとって特別な意味はない。美羽と争うほどの価値もない。美穂は静かに札を下ろした。周囲の人々も美羽の身分を知ると、誰も競らなくなり、結果としてその宝石は自然に彼女の手に渡った。怜司は終始、美穂の表情を気にしていたが、彼女が平然としているのを見ると、それ以上は口を挟まなかった。二時間後、オークションは終了した。美穂は疲れで少し眠気を覚え、怜司に別れを告げ、先に車を呼んで会場を後にした。怜司は昊志に挨拶するため会場へ戻ると、ちょうど彼が美羽と楽しそうに談笑しているのを見つけた。足を止め、少し離れた場所で静かに待った。「秦さん、また会ったね」昊志はプラチナのカフスを軽く叩き、ライトの
Read more