朝日の差す街は、戦いの名残を残していた。瓦礫が散乱し、焦げた匂いが風に乗る。それでも人々は懸命に動き始めていた。バケツで水を運ぶ者、傷ついた者を手当てする者、泣きじゃくる子をあやす者……そこに、エリシアたちが駆け込んだ。「怪我人を集めて!急いで火を消して!」エリシアはすぐに指示を飛ばす。その声に、街の人々の顔に少しずつ光が戻っていった。カイラムは剣を収めると周囲を見回し、潜む敵がいないか探る。ユスティアは治療魔法で傷ついた兵士を癒し、クレインは自ら怪我人を背負って安全な場所へ運ぶ。「……まだ煙がひどいな。」カイラムが呟くと、ヴァルドが大きな桶を抱えて現れた。「井戸水だ!こっちの通りを手伝ってくれ!」ネフィラは子どもたちを避難させながら、踊るような軽やかさで瓦礫を乗り越える。「泣かないで。もうすぐ大丈夫になるからね。」エリシアは一息つくと、ふと城門の影で密やかに話す男たちの姿を見つけた。彼らは紋章を隠した外套を着ており、誰にも聞かれぬように何かを囁いている。目が合った瞬間、彼らはすぐに雑踏に紛れた。(……まだ何かある?)胸の奥に不安が残る。街は守られたが、戦いは終わっていない。いや、むしろこれからが本番なのかもしれない。クレインが歩み寄り、額の汗を拭った。「エリシアさん……街の人たちは、もう大丈夫そうだ。」「ありがとう、クレイン。」「でも……あの紋章をつけた奴ら、ただの残党じゃない。組織だった動きだった。」「そうね……私も見たわ。城門の影で何か話してた。」ユスティアが心配そうに眉を寄せる。「まだ敵が潜んでいるの?」「ええ。次はきっと、もっと大きな何かを仕掛けてくる。」エリシアの胸に、戦いの炎が再び燃え始めていた。カイラムが剣
Last Updated : 2025-07-30 Read more