空中の階段を登る足音は、まるで過去と未来を繋ぐ鼓動のように響いていた。遺跡の最奥──星の祈りの部屋は、浮遊する光の粒子がゆるやかに回る幻想的な空間だった。天井も床も曖昧で、まるで夜空の中を歩いているようだった。星屑のような粒子が舞い、時折小さな音を立てては消えていく。「……ここが、真実の中心か。」カイラムが呟くように言う。彼の言葉に応えるように、空気が震えた。光の粒が集まり、中央に一つの球体を形成する。まるで鼓動するかのように明滅する球体の内部には、星々の軌跡をなぞるような複雑な魔法陣が浮かび上がっていた。「これは……世界の記録装置よ。」ネフィラが慎重に口を開く。「この遺跡はただの記録庫じゃない。世界の記憶そのものを保持していたの。」「そんなものが、どうしてここに?」ユスティアが目を細める。「かつて、魔王と呼ばれた存在が……いや、もっと前からだと思う。『偽りの神』と呼ばれる存在に対抗するために作ったんだと思うわ。祈りと記憶、それは人類の武器だったから。」彼女の言葉に呼応するように、球体から光が放たれる。彼らの頭上に映像が広がり、星空をスクリーンにしたかのように、遠い昔の戦争の記録が描かれていく。灰色に染まった大地、泣き叫ぶ人々、崩れ落ちる都市。中には、エリシアたちが今いるこの地とよく似た風景もあった。「……これが、“記録の番人”たちの役目か。」エリシアがつぶやいた。だが、その瞬間、空間が揺れる。低い唸りのような音が響き、映像が乱れた。「妨害が入ったわ!」ネフィラが叫ぶ。「外部からの魔力干渉よ!これは──!」まるで裂け目のように空間が歪み、鏡の間にいたはずの仮面の男が、空間を切り裂いて転移してきた。「やあ、ようやく核心にたどり着いたようだね。」仮面の男は、どこか愉
Terakhir Diperbarui : 2025-08-08 Baca selengkapnya