Semua Bab 逆ハーレム建国宣言！ ～恋したいから国を作りました～: Bab 71 - Bab 80

朝の港に、白砂の帯が一本引かれた。帯の先頭には“開印（ひらしるし）”の旗、脇には“影写灯（えいしゃとう）”、そして道の縁には小さな鈴と四色の小旗（ホイップ/パセリ/ヘルプ/セーフ）。掲示板には大書き——『開印行列：家庭・店舗・船・学校に“鍵糸”を増やします/合図は旗と鈴/歩き食べ禁止（クレイン条）』。「行列の骨子。」ユスティアが短く板書する。「一、公開。二、撤回自由。三、合意明示。四、交差規を順守。五、笑いは半拍。」父は誇らしげに“行列ベンチ”を三脚担ぎ、「休憩は資本」と墨書き。母は今日の鈴を二粒、私の風綬に結ぶ。クレインは“行列用・冷めても美味しい”軽食の籠を掲げるが、同時に「歩き食べ禁止」の札を高く——「止まって食べる。」先導はリオーネの静かな鐘、指揮はユスティア。マーキングはリビアの影写、配線はセリオ、会計はコルナ、拍誘導はミナト、通行導はネフィラ、音律はアゼルとシハール、説明はライハルト。私は“開印”の押し役だ。「——始めます。合図。」『ホイップ！』行列が動き、最初の家に“開印”を押す。白砂刷り板で門柱の上に薄い印を写し、三穴（公開・撤回・合意）を穿ち、鍵糸を外へ出して結ぶ。影写灯が一度だけ明滅し、家の内外の“場”が細い糸で結ばれた。次は店舗。レジ横に“開印”、入口に共鳴札、床に敷石札。コルナが『重さ：荷→細く』と豆を置き、ネフィラが“並びの所作”を踊って列を丸く保つ。セリオは支払い紐を“公開撤回結び”に改め、鍵糸を外へ。学校へ。“開印”は門と教室の二重。ミナトが“起床前奏”

連盟の座は、四祠の境（さかい）がゆるやかに重なる高台に設けられた。中央に大きな渦盤（うずばん）、上空には鍵糸の梁（はり）が弧を描き、周囲には半月形の客席——いや、みんなの“場”を置くための縁台がぐるりと並ぶ。縁台の端には三つ穴の小旗（公開/撤回/合意）、柱には新しい“開印（ひらしるし）”。「議場の骨子。」ユスティアが板に刻む。「一、公開。二、撤回自由。三、合意明示。四、交差規順守。五、笑いは半拍。」父は早々と三脚の“議場ベンチ”を肩に担いで登場。「長丁場は腰にくる。俺が座る。」「交代制。」ユスティアは即答。父はしぶしぶ頷く。「合理。」先導の鐘が一度。四方から代表が入場する。風の王国は“開翼（かいよく）”の旗、海の学校は“開帆（かいはん）”、砂の宿場は“開幕（かいまく）”、鉱の町は“開坑（かいこう）”。王都からは公開散歩（オープン・ウォーク）採用後の“鍵糸札”を携えた弁務官、灰街からは影写灯を手にした帳主（とばりぬし）、筆匠会からは白砂刷り板を抱えた老書記が来た。リビアは四基の影写台を渦盤の周囲へ据え、翼膜に薄い光を通す。「文字は見える場所へ。影は怖くない——見せれば道になる。」私は手首の風綬を結び直し、宣言した。「——連盟の座を開く。合図は旗と鈴、『ホイップ/パセリ/ヘルプ/セーフ』。」『ホイップ！』◆◆◆第一議題“互換地図の承認”。ライハルトが互換地図（風令第十二号）を掲げ、各地の“開印”と三札（共鳴札・敷石札・輪札）の翻訳表を読み上げる。ミナトは遠見節（とおみぶし）を低く置き、コルナが注釈欄に砂を落とす。セリオは鍵糸

朝の港は、昨夜張った海梁（うみばり）に露がついて白く光っていた。鍵糸の梁（はり）は湾の外まで一本の弧を描き、浮標札（ふひょうふだ）が規則正しくゆれている。掲示板には新しい紙——『本日：島道—公開設計/潮目の案内人—指名/対象：群島連合・海の学校・外洋保険同盟』。「骨子。」ユスティアが短く刻む。「一、島道＝場＋梁＋札＋“潮の窓”。二、鍵糸は外。三、撤回は常時。四、命＞救難＞荷＞灯歌。五、笑いは半拍。」父は“防水ベンチ—島版”を二脚担いで現れ、「島は腰にくる。」「交代制。」ユスティアが即答。父は渋々うなずく。「合理。」いかだの上に渦盤（うずばん）、四隅に影写台（えいしゃだい）。セリオは係留を“公開撤回結び—島版”に組み替え、鍵糸を外へ出す。ミナトは“島道拍（しまみちびょう）”を鼻歌で置き、ネフィラは“濡れずの舞—浜道版”で足運びを示す。コルナは帳に“島枠”を新設、『潮窓（しおまど）』『寝息』『寄港』『修繕』の四小欄。アゼルとシハールは高所和音＋深呼吸で波と風の層を整えた。リビアは翼膜に薄い光を通し、影写灯（えいしゃとう）を三基点す。「“島道”は、島々の路地。海上の公開路地図を、影で見えるように。」「案内人、呼ぶね。」私は手を振る。“潮目の案内人”は、背のひらりとした若者だった。髪に塩をはらい、耳の軟骨に貝の小片を結っている。「カヤ。潮燕（しおつばめ）を飼ってます。」肩にとまった小さな黒い鳥が、ちいさく鳴いた。「ようこそ。」私は笑う。「——公開で、潮目を教えて。」カヤは頷き、影写台の前に立った。潮燕がふいっと飛び、海面

夕方。屋根の端が、かすかに鳴いた。黒い影が二つ、三つ。路地の掲示板へ、ひらり。『登録』『専用』『笑い義務』——黒紙が貼られるスピードが、昼より早い。「夜の便（たより）だね。」リビアが低く言う。「——“影継（かげつぎ）”。」影継。黒紙を夜に運ぶ走り手。筆匠会（ひっしょうかい）が残した“道”を、いまも走る。「やることは三つ！」ユスティアが指を三本。「一、見えるようにする（影写灯＋白砂返し）。 　二、話せる“場”を置く（泊まり木・公開机）。 　三、黒い道を塩にして、代わりの鍵糸（みんなで触れるひも）を張る。」『ホイップ！』◆◆◆夜仕度。屋根と路地に影写灯（えいしゃとう）を三十基。柱に開印（ひらしるし）。軒先ごとに小さな止まり台——『影継の泊まり木』。台の横には白砂刷り板（黒紙→白砂へ戻す板）。セリオは屋根の紐を“公開撤回結び”に直し、鍵糸は外へ出す。ミナトは“巡夜（じゅんや）拍”を鼻歌で敷き、ネフィラは“高所の足運び”を短く踊る。コルナは帳に“夜枠”を追加、『合図』『泊まり木』『返し箱』『見守り』。父は“高所ベンチ”を抱えてにっこり。「屋根でも腰は資本。」クレインは湯気の出ない夜食「巡夜粥（じゅんやがゆ）」を配りつつ、札を立てる。「止まって食べる。」◆◆◆最初の影継が、影写灯の輪に滑り込んだ。年は……十代後半。小柄。黒いマントの内側に、硬い薄板——写し紐の端子。「止まり木へどうぞ。」私は指で示す。「

朝の風が、少しだけ甘い。空にうすい段（だん）。白と灰の縞。——雲階だ。昨夜、天筆塔（てんぴつとう）で空の幕（そらまく）を開いた。なら、次は“端”。段差に、線が残っているはず。「やることは三つ！」ユスティアが指を三本。「一、段差に“場（ば）”を置く（空の休み石＋開印）。 　二、古い線を表へ出して塩にする（反転＋ほどき）。 　三、代わりに“空梁（そらばり）”を渡す（みんなで触れるひもの空版）。」父は“高所ベンチ—空版”を担ぎ、上を見上げる。「雲見も、腰は資本。」「交代制。」ユスティア。父は頷く。「合理。」クレインは薄い包みを配る。「雲もち二号。甘じょっぱくて喉が乾かない。止まって食べる。」私は風綬（ふうじゅ）を結び直し、合図。「——行く！」『ホイップ！』◆◆◆凧丘から上へ。梯子凧（はしごだこ）を重ね、影写灯（えいしゃとう）で段の縁を照らす。ミナトが“登り拍”を、ネフィラは“高所の足”を示す。セリオは結びを“公開撤回結び—空版”に改め、鍵糸は外へ。アゼルは高音、シハールは深い呼吸。コルナは帳に『空枠（二段）』を増設。最初の段の縁に、黒い字が薄く揺れた。『高度登録』『専用航路』『笑い義務』ライハルトが眉をひそめる。「“高さ”に名を付けて縛るやり方。古い。」「芯を表へ。」ユスティア。リビアが翼を細く光らせ、一瞬だけ反転。黒い字の結び目が浮く。カイラムが“コツ”。空気が半拍ずれて、セリオのほどき印が芯を抜く。—&m