蒼空は、瑛司の胸に強く抱き締められていた。全身が熱く震え、抑えきれない渇望とともに、両手で彼の衣の襟を掴みしめる。視界は霞み、息も乱れる。「えい......じ......」掠れた声が小さく震え、空気にさらされた瑛司の首筋から、彼女を惹きつけてやまない温もりと香りが漂う。暑い――体中から汗が噴き出すほどに。瑛司の匂いは甘く、それでいて彼女が渇望する冷気を帯びている。この人に触れていれば、きっと楽になれる。魅入られたように、襟を掴んでいた手をそっと離し、熱を帯びた両掌を彼の首筋に添える。指先で、首筋の滑らかな肌を夢中でなぞり続けた。小さく囁く。「ほしい......」ぼやけた視界の中で、彼の喉仏がひときわ大きく上下するのが見えた。誘われるように、親指の腹でその喉仏を押さえる。次の瞬間、低く沈んだ声が耳に届いた。瑛司は抱く腕に、さらに力をこめる。伏せた瞼の奥、鋭く黒い瞳が、読み取れない感情を宿して彼女を射抜く。「大人しくしろ」低く、豊かな声が耳の奥に染み込み、蒼空の心臓が跳ねた。彼女はゆっくりとまぶたを上げ、彼の顔を見つめる。だが、その輪郭は徐々にぼやけていく。これは......誰?自分は今、何をしているのか。わからないまま、彼の首にしがみつき、仰いだ顔を近づける。唇を伸ばし、必死にその首筋へ届こうとする。「......ほしいの......」けれども届かない。どうしても触れられない。「なんで......届かない......?」声は震え、涙混じりに滲む。爪を立て、首筋の肌を強く引っ掻く。「ちょうだい......ほしいの」再び喉仏が上下し、男はゆっくりと顔を近づけてきた。好ましい香りがますます濃くなり、蒼空は酔ったように唇を寄せ、喉仏に食むように触れる。焦れたように、そこを、そしてまた別の場所を、唇で何度も探った。男の低い唸りが耳に入り、頬が痺れるように熱くなる。数秒後、彼女は車へ運び込まれ、後部座席に押し込まれた。男は離れようとするが、慌てて彼の腰に腕を回す。「行かないで......」額の血管が浮き、眉間に深い皺が刻まれるのが見えた。彼は彼女をそっと引き剥がし、シートベルトをかける。「いい子にしてろ。病院に連れ
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