All Chapters of 悪役令嬢と流星の約束〜婚約破棄と契約結婚で愛と運命を逆転させる: Chapter 91 - Chapter 100

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第二章:二つの刻印が導く答え

国王が分かってくださるわけないでしょう! ざわつく会場。剣を構えたルドルフォや私兵たちが誰も身動きできないよう目を光らせる。「それでは、リーア様は一体どうなるのだ?」誰かが、向こうでブルブルと怒りに震えているリーアを気の毒そうに言う。 そうよ、この世界は元々男主人公であるエルミニオとリーアの物語。 お願いだからこれ以上、私とルイスの穏やかな生活を壊さないで!「王太子殿下、いい加減に、手をお離しください!」「……っ!ロジータ!逃げようとしても無駄だ! お前が俺の王太子妃になることは14年前から決まっていたじゃないか! 希望通り俺の刻印は元通りになった! お前だって、あれほど刻印にこだわっていたじゃないか! なあ、嬉しいだろう? これまでのことは水に流し、全てを元に戻してやるのだからな! それなのに何が不満なのだ!? 言ってみろ、それともお前とルイスの間に本当に愛があるとでも言うのか!?」つかんだ腕に力を込め、恐ろしい顔でエルミニオが私を見下ろしてくる。 かと言って怖いわけでもなく、対抗して私もきつく睨み返した。「ルイスとの間に愛があるかですって!? ありますよ!あるに決まっているじゃないですか! ルイスほど温かく、優しい夫はこの世に存在しません! 王太子殿下には想像もできないでしょうが、私たち毎日ラブラブなんです!これでもかと言うくらい幸せなんですよ! ですから、これ以上私たちの間を引き裂かないで頂けますか?迷惑なので!」「ロジータ!お前……っ! 皆、少し俺は席を外す。祭りを楽しんでくれ。」「ちょっ……どこに連れて行こうというのですか!」会場の客にそう告げたエルミニオは、私を強引に外に連れ出そうとした。 そこにリーアが真っ青な顔で割り込んできて、エルミニオに涙ながらに訴える。 もうなりふり構っていられないようだ。「エルミニオ様!待ってください!私はどうなるんですか!?」だがエルミニオはリーアを冷たく一瞥し……「リーア。はあ。君には話したじゃないか。 君は俺の1番の愛人だと。それの、一体何が不満なんだ?」「っ、何がって……」かつて私を冷たく振り払ったあの日のように、エルミニオがリーアの手を振り払った。 ずっとリーアを宝物みたいに扱い続けた男が。 手を振り払われ
last updateLast Updated : 2025-12-01
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第二章:二つの刻印が導く答え

禁書庫で見た図版、二番目の妃の刻印———ルイスのお母様の刻印。エルミニオの二度に渡る刻印の変化。それに加えて、さっきの女性の声から私が推測した答え。「私たちはこのまま、みんなで部屋に戻って確認だけすればいいわ。」ーーー部屋に帰るとさっそく仕切りを使ってルイスたちには向こう側を向いてもらい、私はアメリアとベッド側に二人きりに。アメリアは慣れた手つきで、私の胸の包帯を解いていった。「これは……!」「ね?いつも私の刻印を見ていた、アメリアなら分かるでしょう?」熱くなっていた刻印の熱は引き、今は心地良くすらある。かつてエルミニオに無惨に貫かれた傷跡は、ルイスの治療のおかげでずいぶんと薄くなっていた。「ルイス、入っていいわよ。」アメリアと入れ替わりに入ってきたルイスが、私の胸元の刻印を見て、一瞬息を止めた。「ロジータ、それ……!」いつもは穏やかなルイスが私のことになると怒るし大声を出すし、嫉妬するし甘えてくる。そんなルイスが私はこんなにも愛おしくなっていたのね。「ロジータ、触れてもいいか?」「ええ、もちろんよ。だって……」涙ぐんだルイスは、私の元にフラフラと近づく。やがて私の胸元の刻印にそっと触れる。まるで宝物でも触るみたいに。またルイスの刻印が反応し、淡く光り出した。「俺は……ずっと孤独だった。だから俺にはきっと一生、刻印の相手など現れないだろうと思っていた。寂しい俺の人生を象徴するかのような刻印が、ずっと嫌いだった。それが……これは奇跡なのか?」「願ったのよ、私。どうやらヴィスコンティの神様が聞いてくれたみたい。」今度は愛おしそうに触れ、ルイスは声を震わせながら私を抱き寄せる。「ロジータ。
last updateLast Updated : 2025-12-02
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第三章:ヴィスコンティを覆う闇

その男は、一番に愛する妻を目の前で失ってしまうという事実を受け入れられなかった。「キアーラ!なぜ私に黙って禁忌の治癒力を使ったんだ……! こうなると、分かっていたはず!」暗い寝室には、彼と死にかけた彼の妻、神官と医者が佇んでいるだけ。「ごめんなさい、あなた…… でも私、どうしてもルイスを助けたかったの…… あの子には呪いがかけられていた…… だから、私……ゴホッ、!」「ああ、頼む。死なないでくれ、キアーラ。 君を愛しているんだ。君がいなくなるなんて、耐えられない。」「あなた……お願いします。 どうかルイスを、恨まないであげてください。 悪いのは彼ではないから…… どうか、エルミニオもルイスも、分け隔てなく愛してあげて…… それから、モンテルチには気をつけ……て……」「キアーラ!!駄目だ、キアーラ!!逝くな……逝くな……。 君の命と引き換えに助かったルイスに、これからどう接すればいいか、分からないじゃないか。」マルツィオは悲しみを消化できないまま、この場にいる全員に緘口令を敷いた。「この事実は、口が裂けても誰かに漏らしてはならない!エルミニオにも、ルイス本人にもだ!」冷たくなった妻、キアーラの遺体を抱きしめてマルツィオは喪失感に打ちひしがれた。 幼いルイスに対して、どう接していいか分からず、冷たく当たった。 ルイスが誰かに呪いをかけられ、そのためにキアーラが治癒力を使い、死に至ってしまったという事実が彼を深く傷つけた。「誰がこんな呪いを? モンテルチ。あの王女がいる国か。」彼は妻を亡くした悲しみに暮れる間もなく、真相を探るためにモンテルチの王女、ビアンカ・モンテルチを後妻に迎えた。 以前からビアンカは、マルツィオの第二の妻に迎え入れろとうるさかったのだ。 しかし誰も知らない事実がある。 実はマルツィオは彼女との婚姻後、言い訳して夜伽どころか初夜さえ避けていた。 理由はただ一つ。「必ず真相を暴いてみせよう。……無念の死を迎えた、私の最愛の妻のために!」マルツィオは強く心に誓っていたのだ。 最愛の妻を意図的に殺した犯人を、必ず突き止めると。 ーーー ルイスが王太子になってから、早1か月が過ぎた。 元々彼を推していた第二王子派の侯爵は嬉しそうにルイスの側で、必要な教育を施して回った。 だが、肝心のルイスは
last updateLast Updated : 2025-12-03
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第三章:ヴィスコンティを覆う闇

あれからもルイスの多忙は続き、私たちは見事にすれ違ったままだった。 たまたまアメリアとルイスの庭園を散歩していると、ダンテに出会った。 今日の護衛はマルコではなく、新人。 ただし、ダンテのことは知っているようで敬意を払うだけ。 アメリアも無言でそばに控える。「ロジータ様、お久しぶりです。」「お久しぶり……というか、ダンテ様、ここで何を?」ダンテは物語の都合上なのか、中立派である侯爵を父に持つ立場でありながら、王国のあらゆる庭園に出没できる。 エルミニオの親友という信頼もあるんだろうけれど……自由すぎない?「もしかして、私を警戒しています? ひどいですね。 あれだけ取引し合った仲なのに。」「取引し合った仲って……それより、何か用事ですか?」ダンテは被っていた帽子を取り、金色の髪を靡かせた。「つれないですね。 これでも、あなたの顔を見に来たんですよ。 ルイス殿下が王太子になり、色々なことがあったので、どうされているのか気になって。 しかもあなたの刻印が、変わったそうですね。 ……あれから、リーアとはどうです?」親友であるエルミニオが廃位したと言うのに、ダンテはどこか、淡々としている。「私に聞く前に、あなたこそどうなんですか? リーアへの気持ちに何か変化はありましたか?」ここへどうぞ、とダンテは庭園にあるベンチの上にハンカチを敷いた。 遠慮がちに座ると、彼はわずかに微笑する。「リーアは相変わらずです。 ですが以前と比べると、どことなく苛立っているようです。 本当なら今頃、エルミニオが彼女を王太子妃にすると宣言していたはずですから。 エルミニオもすっかり変わってしまったし、リーアも……」どこか寂しそうにダンテは俯く。「ダンテ様は、なぜそんなにお金が必要なんです?」思わず、ずっと気になっていた質問をぶつけた。 ダンテは面食らったような表情を浮かべて……「気になりますか?」原作で、ダンテの切ない恋心を書いたシーンはあったけれど、その人物像までは見ていない。 生誕祭が終わり、ルイスが処刑されると、今度はジャコモの悪事が次々と暴かれていく。 そのほとんどの過程が原作とは大きく変わってしまったから。 そろそろ私の原作の知識もこの辺りまでになる。 あの後小説が更新されてい
last updateLast Updated : 2025-12-04
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第三章:ヴィスコンティを覆う闇

ーーー「ねえ、ルイス。現王妃のヴィアンカ様について、どれだけ知っている?」「どうしたんだ?突然。ロジータ。」久しぶりに二人きりでゆっくりできる夜。先にお風呂に入った私の後で、ルイスもさっぱりしたガウン姿で、寝室へと入ってきた。ルイスはすぐに私に両腕を伸ばし、ごく自然に額にキスをする。照れながら私は「そうじゃなくて……」と言うのだけれど。少し拗ねたようにルイスはベッドに座り、私も横に並んだ。「継母上《ははうえ》か……そうだな。俺が幼い時に母上が亡くなって、すぐにヴィスコンティに嫁いできた、モンテルチ国の元王女。家族と積極的に接してこなかったから、あまり詳しくは知らないな。ただ、兄さんが彼女のことを毛嫌いしていた印象がある。」「エルミニオ様が?」「母上が亡くなって、すぐに父上が新しい王妃を迎えたことが、子供ながらに嫌だったんじゃないかな。確かに彼女はどことなく、俺たちには冷たいようだったし……」「そう。モンテルチ国の元王女様ね。原作にない内容だから、さっぱり分からないわ。」「何を悩んでいるんだ?」「あ、あのね。今日……って、ルイス怒らないでよ?絶対に。」「内容による。」まだ何も言ってないのに、ルイスは早くも唇を尖らせる。「今日、たまたまダンテ様に会って。」「……はあ。ロジータ。俺はこの間の島でのことも根に持ってるのに。兄さんーーエルミニオを殺さないよう必死に耐えてるのに。」って、ルイスあまりに腹が立って、エルミニオを呼び捨てにしてる?「あ、あれは不可抗力だわ!私だって嫌だったのよ?それに落ち着いて!ルイスがエルミニオ様を殺したら、色々問題が起きるでしょう?」何とかルイスの怒りを宥めようとする。「それで、ダンテは何と?」
last updateLast Updated : 2025-12-05
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第三章:ヴィスコンティを覆う闇

そう考えると辻褄が合う気がする。「ロジータ、お前……分かってはいたが、やはり賢いな。さすが俺の妻だ。」———と言ってルイスは私をベッドに、自分と一緒に横倒しにした。「きゃっ。って、何?ルイス、突然。」「だって、せっかく二人きりになれたのに。 確かに考えなければならないことはたくさんあるけれど、俺たち夫婦の時間が、あまりにも少なすぎると思わないか?」横に寝転んだルイスは、さらっと私の髪を撫でた。 私の心臓がまたうるさく騒ぎ始める。 最近ますます、ルイスの色気は炸裂している気がする。「きれいだ、ロジータ。お前のその碧い瞳とか、ちょっと下がった眉とか、長いまつ毛とか…… 蕾みたいなその唇が可愛い。 だから、キスしてもいいか?」「だから?って……まあ、……ど、どうぞ?」ルイスが殺し文句みたいなことを言ってくるから、実際の私はほとんどやられている。 だってルイスが、かっこよすぎるんだもの! そっとルイスの手が私の頬を撫で、顔が近づいたと思ったらキスされて——— 熱い体で抱きしめられて。 ああ、もう……耐えきれないほどの幸せ!「ロジータ、愛してるよ。」 「わ、私も……っ、て、ルイス?」いよいよ私たち、次の段階に進むのかと期待していたらまさかのルイスがお疲れ状態。 寝落ちしそうな雰囲気を出しているし、まあ最近忙しかったから仕方ないかなと思っていたら。 横に寝転んだルイスが、寝言みたいに呟く。「俺、こんな風に優しい気持ちで誰かを愛して…… 結婚式……ごめ、ん……な。 ウェディングドレス、あんなに楽しみに……して、たの……に。 病院……血液検査……あんなことに、……なっ」「ルイス?」しん、とした後、ルイスの寝息が聞こえてきた。 今は違う意味で心臓が音を立ててる。 眠っているルイスの顔を真剣に見つめた。「血液検査って、それ絶対この世界で使わない言葉だわ。 ルイス……あなた一体それ、どこで覚えたの?」温かいルイスに私はぎゅっとしがみついた。 違うと分かっているのに、ルイスが私に希望を抱かせる。 同じ刻印になれただけでも嬉しいのに、これ以上欲張ったらバチが当たる。 懐かしい彼の面影を重ねる。涙が溢れてくる。 忘れてないわ。 この世界で本当に愛したのはルイスだけど、前世で愛したのは間違いなく彼だから。「理佐貴……」
last updateLast Updated : 2025-12-06
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第三章:ヴィスコンティを覆う闇

--- 父、ジャコモ・スカルラッティの裁判が始まった。 王族専用の席には私とルイス、国王マルツィオと例の、ビアンカ王妃。 傍聴席側には、私の継母と異母弟もいる。 エルミニオは島でのあの一件以来、久しぶりに顔を見せたが、謝罪する素振りすら見せなかった。 危うくルイスが殺気全開でエルミニオを剣で貫きそうな勢いだったけれど…… 何とか私が宥めて、その場は収まった。 この場には当然、リーアも出廷している。 島で見せた悪女のような顔は一切なかった。 やはりいくらリーアでも、物語の脇役たちの前では何もできないのかも。 それに今のエルミニオも、操られているようには見えなかった。 ただ、時々私を妙な目線で見つめてくるのを除いては。「罪状。ジャコモ・スカルラッティは、娘を王太子妃にすべく、最もそれに近いリーア・カリヴァリオス伯爵令嬢を消すべく、偽の王命書を偽造し、あまつさえ王の偽の御璽までも作って、巧妙に周囲を騙し……」久しぶりに見たジャコモは頬がやつれ、髪や髭もほどよく伸びていた。 悪党らしくもなく、返って潔く、ジャコモはその場で自身の犯した罪の数々が読み上げられるのを黙って聞いていた。 あの後、マルツィオがかなり徹底的に調べたのだろう。 ジャコモの犯した罪が次々と明らかになっていった。 しかし、ジャコモが犯したとされる『星の刻印』の偽装工作については結局何も分からなかった。 だが、ジャコモは最後に悪党らしい顔つきをして、私の方を見上げて言った。「だから私は言ったのですよ。 もし、本当に私がロジータの『刻印』を偽装したのなら、わざわざ彼女が8歳になるまで待つ必要はなかったはずだと。 その証拠に……結局、エルミニオ殿下の刻印は変化したのですよね? それこそ刻印を偽装など、牢にいた私にはできない行為だ。 つまり元々、殿下とロジータは本物の相手だったということですよ。 まあ、今となってはどうでもいいことですが。」ジャコモは恨めしそうな目をして、私を見つめる。 確かに、初めに刻印が変化したのはエルミニオの方だった。 それならジャコモが彼の刻印を偽造するなどできなかったはず。しかし、私は決してジャコモから目を逸らしたりはしなかった。なぜなら、ジャコモのしたことは犯罪に代わりないから。
last updateLast Updated : 2025-12-08
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第三章:ヴィスコンティを覆う闇

ヴィスコンティの王宮は巨大で、一つの都市くらいの敷地面積を誇る。 ゴシック調の重厚な中央宮殿の他に、各王族が住む宮殿、政治を行う行政庁、裁判所や大聖堂など、どれを取っても広大で立派な建物ばかり。「はあっ、はあっ、はあっ……。」今私が懸命に登っている塔もその一つだ。 最近、マルツィオの命令で使用人になったばかりだという女性に案内され、私は王宮のやや外れにある塔の長い階段を登っていた。「ねえ、本当にこんな所にルイスがいるの?」遠くからは、国民の歓声や祭りを楽しむ声が聞こえてくる。 流星群は時間おきに、空からシャワーのように降り注いだ。「はい、ロジータ様。もうすぐです。」前を歩く使用人は淡々と言い、ランタンを掲げる。 もちろん普段は何の用もない塔だから、入り口に見張りが二人しかいなかったのも分かる。 けれど、内部があまりに静かすぎる。 妙ね……「ロジータ様、何か様子が変です。 お気をつけください。」「あなたもそう思う?実は私も……」マルコとは別にルイスがつけてくれた、もう一人の護衛騎士が、背後からこそっと囁く。 ふと足を止め、私は前を歩く使用人に問いかけた。「ねえ、あなた、ルイスが本当にここにいると言ったの?私を呼んでいると?」「はい、そうです。間違いありません。」「あなた、名前は?」「わ、私ですか?私は……」明らかに目が泳いでる。 名前を答えられないということは、どうやら普通の使用人ではないようだ。「悪いけれど、名前を答えられない人にこのまま着いていくことはできないわ。 引き返します。」「駄目です———!!このまま着いてこないと私が……!!」「ロジータ様!下がって!」同じく危険を察知し、私を庇うように護衛騎士が前に進み出た瞬間。 使用人の背後からブワッと黒いモヤが飛び出し、それが騎士に襲いかかる。「く……!」「何これ!……っ、彼から離れなさい!」「ロジータ様、私はいいのでお逃げください!」「そんなのだめよ、置いていけないわ!」必死に振り払おうとするが、私も一気にモヤに取り囲まれてしまう。 あっという間に騎士も、あの使用人の姿も見えなくなってしまった。「嘘でしょう?一体何なの?これ……」前に進もうにも、全体に不気味なモヤがあるだけ。 手で振り払おうとしても、まるで雲のようにふわっとすり抜けてしまう
last updateLast Updated : 2025-12-10
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第三章:前王妃の死の真相

一体この神官のような男は誰なのか。まず、ヴィスコンティの神官たちが着ている神官服とは違う。その時、ダンテの言葉を思い出した。うまい具合に、パズルのピースが当てはまっていく。脇役にいそうな、嫌な感じの糸目の男。「あなた、もしかしてモンテルチの神官?」「おや、バレちゃいましたか?やだなあ、上手く潜り込んだつもりだったのに。」「……身元がバレたというのに、ずいぶんと呑気ね。」男からはある程度の余裕が感じられ、返ってこっちが内心焦らされる。しかし、私は平静を装って二人から距離を取る。「く、く、く……なるほど。だから手こずるわけですね。ですが、ロジータ様。あなたが生きていると、“あの方”の邪魔になるんですよ。なので、死んでもらっていいですか?」一瞬この男が『神の声』をした原作者なのかと思ったが、明らかに声質が違う。「“あの方”って?まさか、リーア?」「そんなこと知ってどうするんですか?もうすぐ死ぬというのに。」男は人が死ぬのを当然かのように言う。でも、ここで怯んではいけない!刻印が熱を帯びてきてる。心臓も、もう少しで完治すると言われている。せっかくルイスが命懸けで治してくれた心臓。こんな所で、死ぬわけにはいかない。何とか時間を稼がないと!「あなたは、リーアや原作者の関係者?あなたも、私のような転生者?」「おや、ロジータ様は知りたがりですねえ。しかし残念ながら、時間切れです。大人しくエルミニオ様に殺されちゃってくださいね〜。さあ、エルミニオ様、あなたの憎いロジータ様を殺しなさい。」軽々しく私を指差し、男は再び剣を手にしたエルミニオを煽る。「ロジータ……」険しい顔をしたエルミニ
last updateLast Updated : 2025-12-13
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第三章:前王妃の死の真相

思えばエルミニオこそ私を殺そうとしていた男なのに。 いくら非常事態とはいえ、私は何を無防備に…… 首筋にふと、熱いものが触れた。「……っ!?」もう少しで、変な叫び声を上げるところだった。 エルミニオが顔を近づけ、吐息を吐いたのだ。 それも少し、わざとらしく。 怒って首を傾けると、鋭い銀灰色の瞳と目が合う。 ドクンと心臓が嫌な音を立てた。 何で……そんな目で見るの? 扉の隙間から少しだけ差し込む光りで、それが露わになる。 私は小声で囁きながら、手でエルミニオを押し退けようと力を込める。「何をしているのですか、殿下……、この非常時にっ。」注意したのに、なぜかエルミニオの口角が嬉しそうに上がる。「やっとお前と会えたと思ったら、まさかこんな風に誘惑されるとはな。」意味深なことを吐き、エルミニオはあろうことか私の首筋に顔を埋めた。 漆黒のくせのある髪が肌に触れ、いやでも反射的に体が跳ね上がる。「ちょっ……不愉快です、離れてくださいっ、」全身に悪寒が走る。 当然のように私はエルミニオを引き剥がそうとするが、全然離れてくれない。 この王子の頭がおかしいことを、もっと考慮するべきだった!「はあ、ロジータ。くそ、なぜ俺は……お前を。」 「しー…静かにしてください、殿下。神官が来ます。」内部で揉めている間に、神官が扉の前にまで迫っていた。「見つけましたよ。」「今です———殿下!」男が最接近した瞬間、逆に私は扉を思いきり開いて飛び出す。エルミニオも後に続く。「何を!———っあ!」ドレス姿で私は勢いよく男に飛びかかる。彼は派手に床に倒れ、短く叫び声を上げた。「くそ!ロジータ・スカルラッティ!」「刺し殺されたくなければ、手を上げろ。」抵抗しようとする男を頭上から制したのは、宝剣を構えたエルミニオだった。 すごい殺意。 ようやく男主人公らしい姿を見せたわね。 私は安堵し、男からゆっくりと離れる。 --- 「お前は、モンテルチの神官だな。 言え。このヴィスコンティに潜り込んで、一体何をする気だったんだ? ビアンカ王妃と何か関係があるのか?」神官を縄で縛り、エルミニオが尋問を始める。 外から流星群が降り注ぐたびに、国民の歓声が聞こえた。「私は何も企んでなどいません。 それ
last updateLast Updated : 2025-12-16
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