国王が分かってくださるわけないでしょう!ざわつく会場。剣を構えたルドルフォや私兵たちが誰も身動きできないよう目を光らせる。「それでは、リーア様は一体どうなるのだ?」誰かが、向こうでブルブルと怒りに震えているリーアを気の毒そうに言う。そうよ、この世界は元々男主人公であるエルミニオとリーアの物語。お願いだからこれ以上、私とルイスの穏やかな生活を壊さないで!「王太子殿下、いい加減に、手をお離しください!」「……っ!ロジータ!逃げようとしても無駄だ!お前が俺の王太子妃になることは14年前から決まっていたじゃないか!希望通り俺の刻印は元通りになった!お前だって、あれほど刻印にこだわっていたじゃないか!なあ、嬉しいだろう?これまでのことは水に流し、全てを元に戻してやるのだからな!それなのに何が不満なのだ!?言ってみろ、それともお前とルイスの間に本当に愛があるとでも言うのか!?」つかんだ腕に力を込め、恐ろしい顔でエルミニオが私を睨みつける。かと言って怖いわけでもなく、対抗して私もきつく睨み返した。「ルイスとの間に愛があるかですって!?ありますよ!あるに決まっているじゃないですか!ルイスほど温かく、優しい夫はこの世に存在しません!王太子殿下には想像もできないでしょうが、私たち毎日ラブラブなんです!これでもかと言うくらい幸せなんですよ!ですから、これ以上私たちの間を引き裂かないで頂けますか?迷惑なので!」「ロジータ!お前……っ!皆、少し俺は席を外す。祭りを楽しんでくれ。」「ちょっ……どこに連れて行こうというのですか!」会場の客にそう告げたエルミニオは、私を強引に外に連れ出そうとした。そこにリーアが真っ青な顔で割り込んできて、エルミニオに涙ながらに訴える。もうなりふり構っていられないようだ。「エルミニオ様!待ってください!私はどうなるんですか!?」だがエルミニオはリーアを冷たく一瞥し……「リーア。はあ。君には話したじゃないか。君は俺の1番の愛人だと。それの、一体何が不満なんだ?」「っ、何がって……」かつて私を冷たく振り払ったあの日のように、エルミニオがリーアの手を振り払った。ずっとリーアを宝物みたいに扱い続けた男が。手を振り払われたリーアは、またブルブルと震えて怒りを滲ませている。「行くぞ、ロジータ。」「行きま
Last Updated : 2025-12-01 Read more