私とルイスは、ジャコモの断罪に向けて本格的に行動を開始することにした。原作の知識でリーアの出自である伯爵家の家門名は特定できた。『カルヴァリオス辺境伯』だ。リーア・カルヴァリオス。それがリーアの本名だ。王都からかけ離れた辺境にあった家門だから、ルイスたちに認知されていないのは当然だ。「確か原作では、リーアの家門が王家に謀反の罪を働いたという理由で破門に追い込まれたはずよ。それにお父様は、自分の悪事が暴かれる前に『偽の王命書』を使って伯爵邸に押し入り、リーアの家族を粛清したはずだわ。唯一生き残ったリーアはお父様によって奴隷商に売り飛ばされた……」「そうか。だから王家にリーアの家門の記録が残されていなかったんだな。父上は自分に刃向かった者には容赦なかったから。つまりジャコモは王家すらも欺いたというわけだな……卑劣な男だ。」ルイスの意見は最もだ。それも、この世界の実の父親がしたことだと思うと悍ましくもある。私は何も知らずに呑気に……いつものようにランタンが灯った寝室で、私とルイスは秘密を共有し合った。「謀反扱いでリーアの家門が王国から抹消されているなら、ここで証拠を見つけるのは難しいと思うの。だから私は、お父様が秘密を隠していそうなスカルラッティ家の邸宅を調べるわ。」「それなら俺も一緒に行こう。」「いいえ。ルイスには他にしてほしいことがあるの。私が邸宅で調査をする当日、お父様の目を逸らしていてほしいの。そうね……親睦を深めたいと言って、お父様を狩猟にでも誘ってほしい。お父様も王子であるあなたの誘いは断れないはずよ。その間に私は証拠集めをするわ。」「……!分かった。じゃあその間にお前にはマルコを護衛につけよう。」「助かるわ。それなら、ルイスにはお父様のことを頼むわね。」
Last Updated : 2025-11-01 Read more