天音は振り向くと、銃を構えた人物と目が合った。「松田さん?」天音は驚いた。菖蒲は特別な訓練施設にいるはずではなかったか?どうしてここにいるの?あの時、菖蒲は『転生AI-ReLife』の発表会にはいなかった。彼女がハッカー・ゼロのはずがない。「驚いた?京市はまだ要の好き勝手にできる場所じゃないのよ」菖蒲は唇の端を吊り上げて冷笑した。ショッピングモールの中、非常灯の明かりが菖蒲を照らしていた。肌は日に焼けて黒く、小さな顔は傷だらけだ。以前の長い髪は短く刈り上げられ、そんな姿でわざわざドレスを着ているのが、何とも異様だった。冷たい銃口が天音のこめかみに突きつけられた。菖蒲は怒りを爆発させた。「全部あなたのせいよ!あなたのせいで、私はこんな姿になったんだよ」天音は、入る前に警備員室から手に取っていたスタンガンを、菖蒲の手に叩きつけた。菖蒲は手の痛みに耐えきれず、持っていた拳銃を落とした。拳銃は数メートル先まで飛ばされた。天音は容赦しなかった。スタンガンで菖蒲の膝の裏を打つと、菖蒲はその場に崩れ落ちた。「前回、銃で私を殺そうとしたんだから、本当なら刑務所行きよ。訓練施設で済んだなんて、むしろ幸運だったんじゃない?あなたがそんな姿になったのは、私のせいじゃない。罪を犯したからでしょ」菖蒲は天音のスタンガンを掴んで叫んだ。「これで感謝しろとでも言うつもり?」電流が手のひらを走ったが、菖蒲は全く反応しなかった。そして、そのままスタンガンを天音の手から奪い取り、天音を床に投げ飛ばした。天音は痛みに顔をしかめ、地面に倒れ込んだ。菖蒲は天音の前に歩み寄り、見下ろした。黒い瞳には、激しい憎しみが渦巻いていた。「要はあなたのために、私との婚約を取り消した。お兄さんはあなたのために、私を訓練施設に送った。あなただって松田家の女でしょ!それなのに、お兄さんはあなたを大切に扱って、なんとかして家に連れ戻そうとしてる。なのに私は……松田グループのために、お兄さんに商品みたいに豪へ売り渡された。豪がダメになっても、また次の相手が現れるだけ!なんであなたが私の男を奪って、兄まで奪っていくのよ!あなたが存在すること自体が罪なのよ!どうしてあなたの母親みたいに、死ななかったの!なんで戻ってきたのよ!」菖蒲は理
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