天音はショックで呆然とし、かがんでアルバムを拾おうとした。手を伸ばすより先に、すっと伸びた大きな手がアルバムを拾い上げた。顔を上げた天音の憂いを帯びた瞳に、英樹の彫りの深い顔立ちが映った。英樹はアルバムをぱたんと閉じた。「中川さん、そんなふうに公私混同をなさるのは、いかがなものでしょう?松田グループがDLテクノロジーを招待した以上、責任者である加藤さんには出席する権利があります」「おばあさん、もうすぐ出番ですよ」大輝は、そう言って睦月の腕をとった。しかし睦月は引き下がらなかった。「あなたは『転生AI-ReLife』にとても興味があるみたいね。私にあなたを認めてほしいのなら、それもいいわ。要を菖蒲のもとへ返しなさい。そうすれば、あなたを認めるだけでなく、『転生AI-ReLife』のコードもあなたに渡してあげるわ」天音の心は、睦月に見透かされているようだった。これほど辱められても立ち去らないのは、恐らく……「そうなれば、あなたの母親を『転生』させられるわ」「おばあさん!そんな馬鹿なことを言うのはやめてください!要と天音はもう結婚してるんです」「結婚したって離婚できるわ!」睦月は天音を睨みつけた。「あなたは菖蒲のいとこよ。自分の立場が分かったでしょ。要は本来、菖蒲の夫になるはずだったの。少しでも分別があるなら、身を引きなさい。あなたが身を引くだけで、このAIホログラム技術はあなたのものになるのよ。それだけじゃない。松田グループのコンピュータ部門にあなたを招き入れることもできるわ。才能があれば、私の弟子にしてあげてもいい。私は誰にでもこんなに親切にするわけじゃないのよ。私の弟子になる意味は、言わなくても分かるでしょ。あなたは最先端のAI技術に触れられるの。たとえ才能がなくても、コンピュータの世界で地位を築けるのよ」その瞬間、数メートル離れた場所で、蓮司の足がぴたりと止まった。蓮司は、天音にとって恵梨香がどれほど大切な存在かを知っていた。大輝が壇上へ合図すると、すぐに司会者が、「それでは、チーフエンジニアの中村さんにご登壇いただき、『転生AI-ReLife』の理念と開発プロセスについてご説明いただきます」と言った。会場は鳴り止まない拍手に沸いた。天音の声は、その拍手にかき消されそうなくらい小さかった。でも
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