梨花は驚きを隠せなかった。 まさか三浦家にそんな事情があったとは、夢にも思わなかったのだ。本来なら三浦家のお嬢様として、何不自由なく育てられるはずだったのに、今頃は……どこでどうしているのかさえ分からないなんて。紅葉坂における三浦家の権勢を考えれば、たとえ十数年前の話だとしても、娘を見つけ出せないはずがない。「妹は紅葉坂でいなくなったわけではないんです」彰人は梨花の驚いた顔を見て、さらに続けた。「ここ十数年、ずっと探し続けていますが、無事に生きているかどうか……」あの頃、父の淳平は雲見市の支社立ち上げに行き、母の真里奈も父に付き添って一緒に行った。そして、その雲見市で妹が生まれた。妹が二歳になった頃、敵対する組織に拉致された。すぐに警察に通報し、あらゆるコネを使って捜索したけれど、犯人の足取りは東南アジアの国境で完全に途絶えてしまった。それから何年も、三浦家は雲見市や東南アジアをしらみつぶしに探したけれど、結局何の手がかりも掴めなかった。所詮、梨花は部外者だ。彰人が医者である梨花にここまで家の内情を話してくれただけでも十分で、これ以上深く聞くのは野暮というものだ。梨花はただ慰めの言葉をかけるしかなかった。「妹さんはきっと、強運の持ち主です。無事に生きてらっしゃいますよ」「そうだといいんですけどね」長年、三浦家の人々はその言葉を何度も聞いてきたが、なぜか梨花の口から聞くと、彰人は不思議と救われたような気持ちになった。まるで妹が本当にどこかで生きていて、自分たちに見つけられるのを待っているかのように思えた。見つかりさえすれば、三浦家をあげて、これまでの分の何倍も何百倍も幸せにしてやるのに。「梨花先生と何を話しているの?」真里奈がダイニングから声をかけ、手招きをした。「梨花先生、早く座って。今日のアスパラの肉巻きはとても美味しくできたのよ」患者には年配者が多いため、梨花は目上の人との付き合いには慣れていた。その上、真里奈に対してもどこか親しみを感じていた。三浦家の和やかな雰囲気とは対照的に、原口家との会食に向かう車中では、篤子が激しく肘掛けを叩いていた。助手席に座っていた健太郎は、彼女が体を壊すのではないかと心配した。「大奥様、どうかお気を静めてください!」「気
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